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起業家精神を育む(4)

2014-02-12 13:58:57 | 高等教育

 不確実性に柔軟対応する 早稲田大学教授 東出浩教

 ドトールコーヒー名誉会長の鳥羽博道氏がいまのコーヒーショップチェーンを始める前にパリを視察し、フランスには立ってコーヒーを飲む習慣があり、立って飲むと値段が安いという事実に気がついた。これがチェーン展開のヒントになった。鳥羽氏が私の授業での講演で披露した話だ。

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 視察旅行は団体だったが、鳥羽氏だけがこの「気づき」をチャンスととらえ、事業のイメージをふくらませた。フランチャイズの仕組みを取り入れて資金負担を軽減、ビジョンを実行に移した。

 米ハーバード大学のハワード・スチーブンソンは「起業家とは起業機会を、必要な経営資源を次々に獲得しながら『もの』にしていく人だ」と定義した。一方、大企業は社内の既存資源を使い事業を進めようとする。

 表では、いくつかの点について起業家(のような社風の企業を含む)と大企業(同)の対応の違いをまとめてみた。基本となっているのはスチーブンソンの理論である。

 起業家は、必要な経営資源を借りたりもらったりする。借りる場合もなるべく対価を低くしようとする。固定費負担の上昇を避けるためだ。事業機会を素早くとらえて戦略を決め、いつでも臨機応変に適応して成功を求める。

 通常の経営学の理論に従えば利益を最大化するように投資を決定するような場面でも、起業家はある程度の収益を犠牲にしてでも固定費投資を可能な限り避ける。必要な資金だけを不可欠なときに投資し、将来の不確実性へ柔軟に対応する。こうした起業家的な行動は大企業でも有効である。


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