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アメリカにおける才能のある学習困難な子どもへの学校教育の取り組み─2E教育の可能性を探る─

2014-02-01 14:48:14 | ADHD

アメリカにおける才能のある学習困難な子どもへの学校教育の取り組み

─2E教育の可能性を探る─
野添絹子[早稲田大学大学院教育学研究科教育基礎学専攻博士課程]


アメリカでは、学習障がい児の才能を見いだして学力を高めようとする学校教育の取り組みがある。才能も障がいもある「二重に特別な」(twice-exceptional[2E])子どもたちを対象とすることから、こうした教育方法は「2E教育」と呼ばれている。
 本報告では、2E教育とはどのようなものなのか、理論的・実践的研究の第一人者であるニューロッシェル大学のスーザン・バウム名誉教授と、2E教育実践のパイオニアである南ウェストチェスターBOCES(Bord of Cooperative Educational Service)のロイス・ボールドウィン特殊教育部長にインタビューを行った。2人は理論研究と教育実践の橋渡しを共同で行っている。
 また、2E教育の実践について知見を得るため、その発祥地であるニューヨーク州ウェストチェスター郡の公立学校と、2Eの生徒だけを対象に大学進学のために学習支援を行うカリフォルニア州ストゥディオシティの特別学校を訪問した。インタビューと授業観察の結果を報告する。

日本の特別支援教育の課題点

 日本では改正学校教育法の施行を受けて、2007年度から特別支援教育の実施が本格化した。従来の特殊教育が対象とした障がい児に加えて、LD(学習障がい)、ADHD(注意欠陥/多動性障がい)、高機能自閉症などの軽度発達障がいを持つ子どもたちがその対象に加わった。
 文部科学省の全国調査では、こうした子どもたちは全体の約6%とされている。しかし、この数字には、知的発達等の遅れがありながら、通常学級にいる子どもは含まれていない。そのため、このような子どもたちまで含めると、特別支援教育を必要としている子どもは、1割近くになると推定される。このことは、愛媛県の特別支援教育体制推進事業(05年度)による調査において、多い学校では通常学級に在籍する児童生徒の10~20%に「学習や行動に気になるつまずきがある」(心理的、環境的問題も含む)と報告されていることとほぼ一致する。
 筆者は今まで、塾の講師、家庭教師、中学・高校での非常勤講師等を経験してきたが、その中で、診断名が下されるほどではないが、明らかに認知の偏りがあったり、暗記が非常に困難であったりする子どもたちを大勢見てきた。それらの子どもたちには、通常の教え方では対処できないもどかしさがあり、筆者は長い間、その原因となるものや、効果的な学習法について考えてきた。通常の学級にいるこうした子どもたちに有効な支援が行えていない点は、日本の教育が抱える大きな課題であろう。
 また、日本の特別支援教育が抱える課題として、治療的・補償的教育によって障がいを補うことが重視され、得意な分野を開発し、才能を伸長させ、子ども自身が自己の価値を見いだすような教育を提供する、といった発想を軽視してきたことが指摘できる。
 この原因として、日本における「才能教育」への抵抗感が挙げられる。特に、能力をIQ等で数値化し、一部の生徒を対象に特別な教育を提供するような措置に対しては、「エリート教育」だという批判も少なくない。筆者もその種の教育には懐疑的であるが、才能(長所)を伸長させるという発想が特別支援教育になければ、LD児は自分に価値を見いだすことができず、自信をなくし、二次的障がい*1を引き起こすような事態になることもあるだろう。才能教育の手法を日本社会に適するようにアレンジして、生徒一人ひとりが持つ、それぞれの長所を伸長させるような教育を行うことは、特別支援教育のみならず、個性化教育の一環として普通教育においても必要であると考える。
 以上のような問題意識を持って研究を続ける中で、筆者が出合ったのがアメリカで実践されている「2E教育」と呼ばれる教育方法である。認知能力の数値化の効果が実証され、障がい児教育の試みに生かされてきたという経緯のある2E教育を紹介することは、日本における特別支援教育の在り方について、何らかの示唆を与えてくれるものであると考える。本稿ではさらに、その方法論を普通教育にも応用し、学習につまずきのある生徒の学力向上を促す学習方略についても考察する。
*1 LDが原因で良い成績が取れず、自信も気力もなくなり、不登校になった
り、家族や周囲の者との間で軋轢を生じさせてしまったりすること等。

障がい児教育の新たな可能性としての2E教育

 2E教育とは、才能と障がいを併せ持つ二重に特別な存在である「2E」と呼ばれる子どもたちの才能を伸ばす教育を指す。才能や障がいを脳の領域固有の機能として多義的に捉え、両者を同じ領域にカテゴリー化することによって、才能児と学習障がい児の教育に新たな可能性を見いだそうというものである。
 特徴は、ハーバード大学のガードナー博士(H. Gardner)の多重知能理論*2などに基づき、「弱い能力」を「強い能力」で補う点などにある。ある領域で障がいがあったとしても、それは、他の領域の学習機能には影響しない。より発達した他の能力で代償することによって、高い達成度を得ることができるというものである。ガードナー博士はアメリカでは広く受け入れられている研究者であり、知能指数だけで人間の能力を把握するのではなく、一人ひとりの可能性を模索するという考えを基にしている。
認知処理様式を活用した指導・学習方法の例

 2Eの生徒の強い能力と弱い能力は、一般的にWISC-III*3という知能検査に表れる特徴によって判別することができる。しかしながら、WISCでは、指導の際にどのような教え方や教具を用いればいいのかということまでは分からない。
 その際に参考になるのが、日本の一部の特別支援教育にも用いられているカウフマン夫妻*4が提唱した、「継次処理」と「同時処理」という認知処理様式に基づく指導方略である(図表1)。継次処理は、情報を一つずつ時間的な順序で、連続的に処理していく方法であり、同時処理は、一度に与えられた多くの情報を空間的、全体的に統合し、処理をする方法を指す。
 例えば、2E児は同時処理に強く継次処理に弱い場合が多いが、このことは、通常の授業では不利に働くことが多い。つまり、授業は板書(同時処理)もするが、多くの場合、口答での説明(継次処理)が中心だからである。そのため、2E児には、同時処理を生かす学習方法が必要となる。
 学習障がい児に限らず、一般の生徒もこれらの処理様式によって学習を行っている。一般の生徒でも苦手な科目がある場合には、教材の選択を含めて授業や課題をより継次処理的にアレンジしたり、同時処理的にアレンジしたりして工夫することで、苦手科目を克服できるのではないかと考える。



*2  人間の能力を言語的知能、論理数学的知能、音楽的知能、身体運動的知能、 空間的知能、対人的知能、内省的知能、博物的知能から成り立つと捉える 理論。すべての人間にこれらの能力が存在し、一人ひとり異なった形で機 能しており、幼少のころから特定の領域への傾倒を見せ始めるとする。
• *3  ウェクスラー(D. Wechsler)が1958年に考案した児童生徒向けの知能 検査。個々の知的発達の状態がプロフィールで表示されるので、個人内 差という観点から障がいを総合的に分析することができる。
• *4  カウフマン夫妻(A. S. Kaufman & N. L. Kaufman)は、1983年に「K-ABC 心理・教育アセスメントバッテリー」を作成した。

2E 教育の理論的枠組みについて
スーザン・バウム博士

2E教育のはじまりは?
1980年代初頭に、連邦政府が「才能のある障がい児」の資金供与プログラム実施校を募集した際、ウェストチェスター共同教育委員会の案が採用されました。同委員会の案は、才能教育と特殊教育両方の優れたノウハウを活かして融合させたプログラムとなっており、その後、他の地域の実践モデルとなったので、2E教育発祥の地と呼ばれています。
 2Eは、以前は「才能のあるLD児」という意味で、「GT/LD(gifted and talented students with learning disabilities)」と呼ばれていました。しかし、LDは他の発達障がいと併存することもあるので、学習障がいに限定せずに「広く学習困難を最適に処遇しよう」という意図で、ここ数年、広く2Eと呼ばれるようになりました。
2Eの生徒が学習を成功させるためには?

 「自分に合った学習法を見つけ出し、それを自分のものにすること」が大切です。例えば、読みに障がいがある子どもなら、歴史を漫画で学んでもいいし、教科書も図や絵を多く取り入れた視覚に訴えるものがいいでしょう。彼らなりの思考法、学習法を刺激し、弾力的に対処をすればいいのです。学習には、これらの子どもたちの持つユニークさや独自性を生かす工夫が必要です。  2Eに限らずLDの子どもにも同様のことがいえます。LDには、言語の操作に関係する能力は弱い代わりに、視覚的、空間的な操作に関する能力は強いというように、個々の能力による違い(個人内差)があります。ですから、視覚に弱い生徒には、聴覚刺激を工夫する方がいいのです。視覚的操作能力が弱いからといって、視覚刺激ばかりを与えると、本人に過剰な負担を押しつけることになり、かえって勉強嫌いになります。 強い能力(才能)に注目して、それを積極的に活用する指導が2Eの学習方略のベースにあります。

実践から見る2Eの目的と生徒の悩み
ロイス・ボールドウィン博士

2Eの生徒の悩みとは?

 2Eの子は知的発達に顕著な遅れがないので、自分の状態がよく分かり、そのことで深く悩んだり、周囲の反応を敏感に受け止めてしまって不安を感じたり、自信をなくしてしまいがちです。IQの高さがそのまま良い成績や精神的自立につながるわけではないので、その高さが逆に本人を追い詰めて、高い要求水準と現状とのギャップから、自己不全感につながってしまうことがよくあります。これが学習全般への抵抗感や意欲の低下につながっていってしまうのです。
 また、障がいが軽度であることから周囲に理解されず、勉強のできなさを「努力不足、やる気のなさ」と思われてしまい、適切な対応がなされないこともあります。そのため、本来の原因から派生する困難の他に、二次的障がいを引き起こすことがあり、事態を深刻化させてしまっているケースも見られます。これらに対処するために、2Eのプログラムができました。そこでは特別クラスを編成しますが、他の子どもと隔離することはしません。また、アインシュタインや、レオナルド・ダ・ヴィンチのような特別な子どもに育てようとするものでもありません(二人ともLDであり、脳機能が障がい部位を補償して天才になったといわれている)。
2E教育の目的は?

 あくまでも「通常学級で他の子どもたちといっしょに学習できるようになること」です。2Eの子どもが自分の長所・弱点を認識してその弱点を補うスキルを身に付け、学習する自信と意欲を持ち、通常学級へ帰って行けるようにすることが私たちの仕事です。  そのために、才能教育の方法である「早修」と「拡充」プログラムを行っています(早修とは、通常の年齢で行われる標準カリキュラムよりも進んだ内容の学習であり、拡充は、多様な学習の経験を通して、理解の深化・拡充を図る)。これらの子どもたちには、認知機能的に、「易しい内容よりも少々ハードルの高い内容の方が適している」のです。


≪学校事例1≫
メインストリート小学校
対象児の認定

 それでは、2E教育は学校現場でどのように実践されているのだろうか。筆者が訪問した二つの取り組みを紹介したい。
 まず一つ目の実践事例として、ニューヨーク州ウェストチェスター郡アーヴィントンを訪ねた。そこは、ボールドウィン博士が長年2E教育を実践してきたところである。現在もメインストリート(Mainstreet)小学校(K~5学年)、アーヴィントン中学校(6~8学年)、及びアーヴィントン高校(9~12学年)の3校の公立学校において、4~12学年の各学年数名ずつがプログラムの対象になって2E教育が行われている。ここでは見学した3校のうち、メインストリート小学校の授業風景を報告する。
 対象児の認定
 2E教育の対象とするのは、近隣校からも集められた、必ずしも発達障がいと認定されなくても、学習につまずきが見られる子どもたちである。才能の認定は、知能テストだけに頼らず、教師の観察など複数の評価方法を組み合わせて行っている。4~12年生の各学年数名ずつが対象児である。

学習活動

A. 時間割
  児童一人ひとりに応じた時間割を、個別に作成する(図表2)。
 A君は対人関係を築くのが苦手なので、社会的スキルを向上させることに重点が置かれている。これに対してB君には、文字の読み・書きを重視したカリキュラムが組まれている。これは、視覚認知の弱さ、目と手の協応の悪さ、短期記憶の弱さ等に対処するためである。水曜日と木曜日の三限の「単語」、「習字」が「おやつ」とセットになっているのは、苦手とする読み・書きに関する学習に、やる気を起こさせるための工夫である。


B. 学習内容と方法
 筆者がメインストリート小学校を見学に行った時には、グループ学習において、学習成果のパフォーマンス(演示発表)として、生徒が歴史上の人物になりきってスピーチをしていた(写真上)。A君のように対人関係能力が弱い生徒には有効な試みで、級友の前で発表をすることによって言語能力を鍛えること、そして、発表にリアリティを持たせることによって、興味を引き出そうというのが狙いである。
 また、創作した文章をまとめて綴じた本の作成など、「本物の成果」を創り出し、児童に満足感を与え、自信を付けさせていた。同校での「本物の成果」とは、それぞれの職業の専門家が創り出すように、社会生活と関連した、現実に意味のある、問題解決・創造的な学習を行った結果を指す。本の制作には、子どもの認知特性に応じて、手順を明確に言語化し、段階的に順を追って説明しながら制作する継次処理型学習者向けと、絵や図を用いて作業を図式化して制作する、同時処理型学習者向けの方法とが取られていた。また、アニメを書くことが好きな児童は、漫画本を作っていた。そして、ゲーム性を授業に取り入れて、友達と楽しく学習できるような工夫も行われていた。
 例えば、算数の時間に数の概念形成を学ぶ際にはサイコロを用いる。サイコロを振る、という運動的な動作と数字を対応させて具体的なイメージを持たせることで理解を促す。これは、同時処理的な工夫である。
 また、児童が取り組んでいたのは、二つのサイコロを振って出た目の数の合計値を、確率の知識を使って求めるという、中学校レベルの課題である。授業の最後で、教員が今回の授業内容を順番に説明していた。言語的手掛かりを用いて段階的に、順序性を重視して、継次処理的に理解をさせる工夫である。

C. 評価
 メインストリート小学校では、ポートフォリオで、学習成果を教科ごとにまとめて、現実の問題解決や創造活動の観点から、それぞれの職業の専門家の観点で、成果の出来映えを評価する「本物の評価」を行っている。評価は、形式的な一律の方法では行わない。
 ポートフォリオは、注意散漫や忘れっぽい子どものために、間違いなく収納できるように色ごとに分類され、大きな文字で書かれている(写真下、P.45)。これは、刺激コントロール(行わせたい行動があったら、その手掛かりとなる刺激を目立つように提示)の手法を取り入れた工夫である。


≪学校事例2≫

ブリッジズ・アカデミー

 2Eの生徒だけを対象に学習支援を行うブリッジズ・アカデミーは、ロサンゼルスの郊外、ユニバーサルスタジオの近くにある。
 この学校は、1996年にプロ並みにテニスを続けながら、大学進学を目指すといった、特別な事情を抱える2Eの生徒らを支援する目的の小規模校が統合して「ブリッジズ・アカデミー」となった。2Eの生徒だけを対象とする全米唯一の学校である(他の地域での2E教育は、学区単位の公立学校で行われている)。そして、98年にインディペンデント・スクール*5として認定を受け、現在に至る。この学校は、WASC(the Western Association of Schools and Colleges)の認定を受けているので、大学進学が可能である。生徒数の増加に伴って校舎が2年前に移転し、現在は大阪産業大学LA校の2階にある。
 対象は5年生から12年生で、今年度の在校生は82人である。授業は少人数で行われている。2Eの生徒特有の学習方略を用いて理解を促し、独特の学習スキルを身に付け、全員が大学に進学することを目的としている。大学進学率は90%である。進学先は、州内の大学が多いが、これまでに全国的に有名な大学を含めて40数校を数える。
入学者の選定

 この学校では、入学者の選定にWISC-IIIを用いるが、入学基準は言語性IQ、動作性IQなどのいずれかが高ければよく、全検査(総合)IQにはこだわっていない。そのため、個人内差のズレが大きい生徒が多い。また、深刻な症例を持つ場合や、日々の治療が必要な生徒、反抗的、暴力的で行動に問題がある生徒は受け入れていない。そこに、この種の学校の運営上の難しさがある。
学習活動

A. 時間割
 1日4時間で時間割が構成されている。同じ時間割を持つ生徒もいるが、配慮の必要な生徒については、先に紹介したアーヴィントンの学校と同様に、一人ひとり個別の時間割が組まれている。

B. 学習内容と方法
 学習は、情報入力、処理、表現の各プロセスで、聴覚と視覚をできる限り補い合う方法を用いて行われている。そのために、生徒は絶えずノートパソコンを携帯して利用している。パソコンは必須アイテムで、コミュニケーションの手段にもなっている。休み時間に友達と話すときにも、パソコンを操作しながら談笑をしているたくさんの生徒を見かけた。
 理科の授業では、継次処理の弱さを同時処理の強さで補うために、発表内容をパワーポイントで作成し、それを用いてプレゼンテーションを行っていた(写真)。2Eの生徒は単語を瞬間的に取り出すことは困難だが、時間をかけて準備をすれば、思考力の高さからアイデアを図式化したり、文書の概略をあらかじめつかむことで内容の深い発表ができる。そのために、このような発表形態を取っているという。テーマは生徒によって異なり、この日は「進化」「ほ乳動物」などであった。

C. 評価
 生徒にはLD特有の能力のばらつきがあるため、特定の領域で才能があったとしても、内容を暗記し、それを記述するような学習には困難を抱えていることも多い。そのため、ペーパーテストなどを用いて成績を評価することが難しく、同校では、生徒の達成度を測る指標として、ルーブリック(評価基準表)を広範に用いている。
 例えば、理科のパワーポイント・プレゼンテーションは、5段階に分けられた14項目のルーブリックによって評価されているが(図表3)、評価基準は、生徒の学習・発表活動に観点別に着目したものである。能力のばらつきを前提とした上で、生徒の取り組みを適正に評価するための工夫がなされているのである。
 ルーブリックを用いる場合、よりよい評価を得るためにはどうすればよいのかを、子どもが前もって知ることは重要である。すなわち、成績を付ける上で必要な条件、情報が事前に提示されていれば、「あらかじめ設定された基準」に沿って子どもたちは努力できるのである。教員による一方的な評価ではなく、基準が教員、生徒双方の共通認識であることによって、子どもたちは自分が評価されたいレベルに目標を設定することが可能となる。
 このように、2Eの生徒に適したきめ細かな評価方法を用いることは、学習到達度の向上にも役立っている。例えば同校の生徒のSAT(大学入試で使用される全国統一学力テスト)の平均点は、全国平均が約1580点であるのに対し、1600点台後半である。

*5 授業料や寄付金によって運営される非営利目的の学校で、国や地方自治体 からの資金援助はない。

おわりに

 軽度発達障がい児の部分的特性によって「勉強のできない生徒」「問題のある生徒」としてレッテルを貼ってしまうことは、教育の可能性を制限してしまうことを意味する。このような生徒には、治療的・補償的教育と同時に、将来への可能性を高めるような才能伸長の機会が必要である。それは、両博士へのインタビューの際に強く感じたことである。障がいだけでなく、才能も併せ持つという自覚、そして成績の向上が、子どもにやる気を起こさせ、自尊心を持たせているのである。
 また、日本の通常学級においても、軽度発達障がいが疑われる子どもに加えて、学習上の困難や行動上の問題から特別な配慮・支援を必要とする児童生徒は数多く存在する。彼らには特別な学習方略が必要であり、その糸口として2E教育の方法論が参考になるだろう。具体的にいうなら、授業を行う際に、同時-継次処理の方法を教員が認識した上で、教え方を何通りか用意して生徒の反応を見ながら授業を行ったり、両タイプのプリントを作成したりすることである。
 一人ひとりの子どもの得意な認知能力を活用して学習の改善を図ったり、さらなる促進を図ったりするという、もともとは学習障がい児向けの学習方法が、普通教育の授業改善にも応用でき、役立つ可能性がある。それは、学習につまずきのあるすべての子どもへの新たなアプローチになるだろう。







保護者から 子どもを医者にしたいと・・・・・

2014-01-23 21:12:56 | ADHD
保護者から 子どもを医者にしたいとメールでリクエストが

保護者の気持ちを尊重したい。しかし・・・・
自分の中では複雑でした。

愛媛大学の吉松先生に相談したところ

このような実践をしてみたらどうかというのを教えていただきました。
それは、病気についてどんどん調べていくものです。
(実際にある特別支援学校の生徒が、いつも病気の話をしていて、担任の先生はそれを止めさせたいと吉松先生にお話したところ、アドバイスをもらい実践したことみたいです。)
「どんな病気があるのかというのを知るのはもちろん、その原因となるウイルス等にも調べてみればいいかと思います。」と

なるほど
彼は、ウイルスなどの話はとても好きだと思うので、意欲的に取り組めます。また、それらを調べた上で、予防法を考えていくのもいいと思います。
このような、病気図鑑を作っていく中で、彼の自信の一つになれば最高ですね。
他の子に、この病気はどうなの?と聞かれてたり、予防法を教えてあげていく中で、コミュニケーション力も少しは、ついていくのかな、と感じます。

ひとりで悩むより、いろいろな人から意見を頂くことがいいですね。


医師の立場から

2014-01-23 09:57:00 | ADHD
医師の方からも 意見を頂きました。

発達の問題を抱える人で,病院がかかわっているケースは本当に一部分です
ライフステージにあわせて,支援者は変わっていくと思います
義務教育期間は,教育者のかかわりでうまくいけばそれが一番です.
どこで誰がヒットするか分からないところがありますので,支援者の柔軟な対応が必要です.

発達相談業務

2014-01-22 20:27:22 | ADHD
相談業務をしている方から 伺えました。
これが、現実かと驚いています。

相談室に来られる方も、公の相談室には来やすいけど、医療機関受診は抵抗があるようで、なかなか医療に繋げるのが難しかったのを記憶しています。

発達障害の認識が進んできた今も、やはり医療機関や、特別支援学級に対する抵抗はまだまだあるなあ…と感じてます。
受診しても、根本に治る治療をしてもらえる訳でもなく、深刻な2次障害が出てない状態だど、尚更難しいです。
(今は、抵抗がない方も増えて来ているとは思いますが)

でも、日々親御さんの思いに寄り添いながら、医療に繋げるタイミングがあれば、その時にはいつもより強めに勧めてみたりと、試行錯誤してます。

親御さんの真のニーズにあってないと、支援の継続が難しく(特に、公のサービスは無料のため動機付けが低い方もおられるので)、もどかしく思いながらも、どうしたら支援が上手くいくか、日々、奮闘中です。

愛媛大学の吉松先生

2014-01-22 10:09:26 | ADHD

ADHDらしき子どもを持つ親の大変さが少しずつですが
理解できるようになりました。
私が接している子どもは、あくまでも『らしき』です。

愛媛大学の吉松先生に、アドバイスを受けながら指導をしています。

昨日、とても共感したことがありました。

私は、しゃくし定規に ADHDらしき子どもの親に
「医学的な視点から、教育を考えませんか」と伝えました。
ところが、保護者は「もう少し大きくなってから」と 返事が帰りました。
私は、子どもの二次障害を考えたのですが・・・・・

吉松先生に、相談したところ

コメントは、
現時点で医療面を検討するメリットや意義が保護者に感じられなければ積極的に
はなれないと思います。「もう少し大きくなったから」ということばに,不安や迷いがある
ように感じます。
なんか 胸のつかえがなくなった感じでした。

さらに、吉松先生は、
重要なのは,このお子さんの特性を見極め,特性から困るであろうことの予防法
や現在困っていることへの解決法をみつけることと特性をいかして才能にする方
法の2点を見いだすことです。その点が,保護者と共通理解できなければ医療面
の話は進まないと思います。

明快なアドバイスを頂きました。

昨日午前中は、松山市内の小学校の校長と同じ話をしました。
テレビに出てくる芸能人のコメンテーターのような感じで
具体的な解決の糸口を私に伝えることはできませんでした。