さゆりのひとり言-多発性骨髄腫と共に-

多発性骨髄腫歴15年/'08年4月臍帯血移植/「病気は個性」時にコケながらも前向きに/はまっこ代表/看護師/NPO所属

生かされて生きる

2006年11月07日 22時33分43秒 | MM闘病記
今日は昼間っから変だった。

昼食をとりに食堂に行けば、小鉢を取り損ねてしばし呆然と立ちすくんだ。
自分でも良く分からなかった。
何が起きたのか。
何かにひっかかったわけでもなく、手が滑ったわけでもなく、
気がついたら、小鉢を落として中の豆腐が散乱していた。

担当していた受診者さんを検査に案内する時に、意味もなく伝票を落とした。
落とした、というより何故か私の手元から伝票が落ちた、という感覚。
まあ、大したことじゃないのだけれど、
注意力が散漫なのか、
「おっと、しまった・・・」
という感覚はまったくもって皆無のままに、ドジっている自分が不思議だった。

極めつけはこうだ。

まだ火曜日だというのに、疲れ果てた私は5時には仕事を終えて帰宅。
階段を使いたくない、という理由だけで最近は職場から最寄の地下鉄の駅ではなく一駅分歩いてJRに乗る。
ただただ真っ直ぐ20分くらい歩くと駅に着く。
辺りは陽も落ち、かなり暗くなっていた。

ふと、ドラッグストアの店頭においてある商品を眺めながら歩いていた。

前を向きなおしたその瞬間・・・

目の前に、黒の軽自動車が立ちはだかり、更に私めがけてバックしてくる。
なになに??
危ない・・・と思いながらも身体は動かない。
何故か冷静に運転席を見つめ、すっかり白髪に覆われた老人の顔を確認する。
私は車の右後方に立っている。
まったく見てない、このジイサン・・・

なんてことを瞬時に考えているのに、身体というのは動かないものだ。
幸い、本当に目の前までバックしてきていたのだが、そして、最後まで私のことに気付くことなくマイペースに運転しているジイサンだったが、無傷だった。

「びっくりした・・・」

どのような状況でそうなったのか分からないが、
黒い車で、気がつかなかった・・・?
やっぱりちょっとぼ~っとしているらしい、私。

しかし、再び歩き始めて、

私、やっぱり守られてる・・・

そう思ったら、急に目頭が熱くなってきた。
よく分からないが、生かされている、と感じた。

家に帰り、普段は平日ほとんど目を通さない新聞をめくっていた。
大きな見出しをせいぜいパ~ッと見るぐらいなものだ。
なのに、何故か県の記事の、それも小さな小さな事故の記事に目が留まる。
県内で5歳の子供が30歳のお母さんの目の前でワンボックスカーにひかれ間もなく亡くなったというものだった。
ちゃんとは読んでいない。
ただ、母親の目の前であっという間に命の火を消されてしまった母子の思いや状況が目に浮かび、いたたまれない気持ちになった。

偶然なのか、必然なのか。

少なくとも今日、私は一日生かされて生きている。
その意味を、やっぱり重く受け止めたいと思った。

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5 コメント

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Unknown (ごろーちゃ)
2006-11-08 21:41:19
いつも拝見しております。
ずっと覗き見しているだけだったのですが、あんまりコメントがないと嫌気がさしちゃうんじゃないかと思って、ちょっとだけ。

ここのところ声のかけ難い状況があったのですが、こっそり見守るって方がきっと多きことと思います。私も母が同じ病で入院しており、厄介なことに慢性腎不全になっちゃったので、移植は厳しいんだろうなって感じです。この病と闘いながら社会復帰している方って、例外なく透析とは無縁なんですよね。

帰りたがっているけど、この前外泊させたら感染症で死に掛けたのでトーブン我慢してもらわなくっちゃ。

さゆりさんのブログ、これからも楽しみにしています。
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ごろーちゃさんへ (さゆり)
2006-11-08 21:48:21
ありがとうございます。

最近、なんとなく書き留めておきたい感じなんです。
思ったことを、表現するだけで少し整理されるというか。
だから、本当に独り言・・・。

もちろん、皆さんからいろんな意見とか感想とかいただけると、思考も広がるし、嬉しいです。

お母様は透析中とのこと。。。
ん~何と声をかけていいのかも分かりません。
ごめんなさい。

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同感です! (ahirokki)
2006-11-09 04:23:06
ahirokkiです。いつもコメントありがとう。

僕もね、最近気が抜けてしまったり、凡ミスをやったりするんだけど、それ以上に、天災、人災に出くわしそうな場面で自分は無反応なのにセーフって言うことがあるのを意識します。
これってきっと前からあったんだと思うんだけれど、そのときは注意力とかがもっとあったので、意識していなかったのだと思うんです。
自分も30代でMM患者になり、以前とは明らかに行動力、判断力のギャップが大きくなり、偶然とか運、何かに守られていると言うような自分ではない「力」を感じることがあります。  

僕は今この「力」も信じようと思っています、それに自分の力も合わせて、日々楽しんで、明日をより好転させたいなぁとも思っています。
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ahirokkiさんへ (さゆり)
2006-11-11 14:25:05
そうですね。
病気のせいなのだと思いますが「力」をとても身近に感じるようになったりしますよね。
前向きな感じ、良いですね!私もそれにのっかってみます!
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信じる (中雄)
2006-11-11 21:27:05
僕のBLOGの題名通りですが、僕は信じますよ、人、1人1人のことを愛して病まない超越的存在がいるということを。

こういう話を勉強してみたいない、という気持ちになったら、声を掛けてくださいね。
これ、期限なしにOPEN INVITATIONです。
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