小馬太郎兵衛@タコのイカ踊りぃっ!!

ブログの老後をユラユラ楽しむ悦楽ブログって言ったけどさ、もう一発くらい狙ってもいいのかな。やってもいいかな?

プロレスの尊厳を返してくれ

2008-12-27 15:38:28 | Weblog
この話がニュースで流れたクリスマスイブの夜は、飯島愛さんの死亡が確認された日で世間は大騒ぎ。おいらもこの話も飯島愛さんのこともじっくり書こうかなと思っていたのだけれど、体調の回復を最優先させたために、ついつい3日遅れになってしまいました。
このニュースは、今まで流れた「プロレスの練習中にレスラーが亡くなった」という事例とは、全く違う意味を持つニュースなので、じっくりと書いてみましょうか。

会社員レスラー死亡 今年10月 危険技で首強打 警視庁が捜査 - 産経MSNニュース
東京都江東区の格闘技ホールで今年10月、プロレス団体に所属する男性が練習中に首を強打し、6日後に死亡していたことが23日、分かった。男性はプロレス歴6カ月の新人で、肩車された状態で技をかけられて頭から落下したという。警視庁東京湾岸署は、練習中の安全管理が不十分だった過失致死の疑いもあるとみて、技をかけた選手2人から事情を聴くなど詳しい経緯を捜査している。

「技の実験台に」弱小団体特有の事情も

 死亡したのは神奈川県平塚市の会社員、由利大輔さん(25)。

 現場を目撃した複数の関係者によると、10月18日未明、江東区新木場の格闘技ホールのリングで、由利さんの所属団体の代表(30)が由利さんを肩車してコーナーに近付き、別の男性選手(34)がコーナー上からジャンプ。水平にした腕を相手の首に当てて倒す「ラリアット」と呼ばれる技を由利さんにかけた。肩車された状態で技をかけられ高所から落下する危険性から「ダブルインパクト」とも呼ばれる。

 由利さんはリングのマット上に頭から落下。受け身を取れずに首を強打し、首から下のまひを訴えて救急車で搬送された。首の骨の一部が外れる重傷で、当初は意識があったが24日、死亡した。

 所属団体は他団体への参戦経験がある代表を含めて選手3人だけ。数回の興行実績があるが、自前のトレーニング施設はない。由利さんは4月に入団。会社員をしながら8月にデビューした。リング上での練習は今回で3回目で、ダブルインパクトを受けるのは初めてだったという。


普通のプロレスラーの練習中の死亡事故なのだから、ベタ記事あたりになったのかと思いきや、社会面トップでサブ記事も二つつくという、社会面ぶち抜きの記事になった。
ちなみにサブ記事はこちら。

弱小団体 チケット手売り利用も「実験台…起こるべくして起こった事故」 (1/2)
弱小団体 チケット手売り利用も「実験台…起こるべくして起こった事故」(2/2)

実はこの問題は、前から「起きた」という話だけは、某巨大掲示板のプロレス板で話が出ていたので知っていた。前からといっても、プロレス板住人というわけでもなんでもないから、この事件を知ったのは、たまたま休憩時間に覗いた時だったから、ネット上でこの話が騒がれ始めてからすぐに知っていたわけではない。
それに、この事故を引き起こしたとされる人物は、名前はどこかで聞いたことがあっても、実際に金を払って試合を見たことはないレスラーだし、監督責任者として名前が挙がっている某インディー系のレスラーも、名前は知っているが、どの程度のレスラーで…というところまでは全くあずかり知らない。
なもので、話の推移を見守っていたら、突如クリスマスイブの産経新聞の社会面にどーんと出た。それまでにも夕刊フジでは新聞記事にされたことがあったらしいのだけれど、そこまではさすがにおいらも追ってませんよ。
どのみち、おいらにとって、当事者の方々およびファンの方々には大変申し訳ないけれど、この事故を引き起こした人達というのは、所詮その程度の人達…という認識でしかないということを、予めお断り申し上げておく。つまり、その「選手」達の試合を、金を払って見に行ったこともないし、興味すらない。おいらにとっての「プロレス」とは、金の払いがいがあってなんぼのもので、興味がないのは即ち金を払えないから…ということである。

正直に申し上げて、この手の事故を起こす自称「プロレスラー」を「プロ」と名乗らせる方がどうかしている。
かといって、世の中「アマチュアプロレス」という、一見して理解不能の言葉がまかり通っているということ自体が、この業界がどれほどの無法地帯と化しているかを物語っている。
だってそうでしょう。
アマチュアプロ野球とかアマチュアプロサッカーとかアマチュアプロバスケットボールなんて言葉、普通はあり得ないでしょう。
かといって、この無法地帯と化したプロレスの世界で、統一機構を発足させてライセンスを発行する…という流れもなんだかナンセンスなような気がするし、もうこの際は「名乗りたければ勝手にどうぞ」という認識でしかない。
別においらは、「素人がリングに上がるな」と、神聖視するつもりはないし、ちょっと訓練しただけの選手達で試合をするなとも言わない。見せて金を取れるくらいの技量があるなら。
殴る蹴るとか密着技くらいしか出来ないだろう。
まるで全女の新人の試合の縛りのよう。
ドロップキックと逆エビ固めと押さえ込みしか出来ない…みたいな。
それくらいでなければ、逆に試合をさせるなと言いたい。

客が欲しているのか。
団体が勝手に欲しているだけなのか。
選手が勝手に欲しているだけなのか。

派手なアクションさえできれば、客が沸いてインパクトを残せると勘違い。
勘違いしているのは選手か、団体か。或いは客なのか。

このような環境でなければ、少なくとも、リングに2、3度しか上がったことのない新人を、ダブルインパクトの実験台にすることがどれほど危険かということは、ド素人だって判断できること。
満足に受け身すら取れない新人に、派手なアクションを求めること自体が、この当事者が、プロレスをどれほど冒涜しているかが理解できようというもの。
プロレス技一つにしたって、かけ方と力加減を間違えれば死に至らしめることもあるし、たとえば投げ技一つにしても、指のグリップを一つ間違えれば、かけた方が簡単に骨折する技だって無数に存在するのだ。
見てくれだけの華麗な技ばかりに走り、本質的な戦いを忘れたプロレス…というのは、以前のエントリでも触れたことだ。

その昔、全日本女子プロレスが隆盛を誇っていた頃、新人訓練の中に、先輩レスラーからひたすらボディースラムだけを食らうという、とてつもない荒稽古があった。本人からすれば筆舌に尽くしがたい痛みと辛さだろうが、その頃の全女は、何千人と集まってくるトップアスリートの中から選ばれた選手達。その彼女たちでさえ、筆舌に尽くしがたい痛みと共に受け身を覚えて、リングという戦いの場にデビューしていったのだ。つまり、プロレスにとって受け身とは、それだけの時間と痛みをかける必要性がある、命綱のような存在なのだ。
現に今、受け身だけで見せられるレスラーが、果たしてどれほどいるだろうか。ともすれば、ボディースラム一発でKOされる「プロレスラー」だっているだろう。
プロレスの命とも言うべき「受け身」を、数え切れないくらい存在するプロレス団体の中で、しっかり教えているという団体が、果たしてどれほどあるというのだろうか。

今の日本のプロレスの流れを作った、「娯楽エンターテイメントの最高峰」WWEでさえも、オーディション番組で、新人候補生の胸ぐらをコーチがつかみ、こう教えを説いている。

「お前はこいつに命を預けることができるか?出来なければ今すぐここを去れ」

この当事者達の間に、このような言葉は頭にあったのだろうか。
プロレスとは本来、どの戦いにも、この言葉が根底にあったはずだし、昔プロレスごっこで取っ組み合いをしたことがある世代なら、この言葉は心底身にしみているはずだ。

そんなプロレスを、返してください。
あなた方が粉々に打ち砕いた、プロレスの「尊厳」を。

お亡くなりになった方とその関係者の方々には、ご冥福をお祈りいたします。

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2 コメント

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違い (ときめき下メロン)
2008-12-28 02:49:54
プロレスくらいですからねえ、技を受けて頑丈さタフさを見せつけること=強さに繋がるのは。

格闘技みたいに一発いいの入ってノビたら負けとかそういう単純な世界じゃありませんからねえ。
受け身がどれほど大事なものか、それを理解した上での強靭な肉体づくり。

あのもやしみたいな香具師らが跳んだり跳ねたり回ったりするのがプロレスって言われてもそれはそれで「違うもの」としか言いようがないですからねえ。
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確かに (小馬太郎兵衛)
2008-12-29 01:12:26
「プロレス」と名乗られても、こちらは全く興味なしという意味で「ああそうですか」と返事するしかありませんから。彼らには。
その意味では、読売新聞では彼らを「プロレス団体」とは呼ばずに「プロレス愛好団体」と評したのは、当事者側が逃げの手で「プロレス愛好団体」と名乗ったか、記者が当事者を認めたくないばかりに、敢えて「プロレス愛好団体」と書いたかどうかは分かりませんが、もし後者ならこれも見識と評価します。
この人達に「プロ」とは名乗って欲しくありませんから。
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