あさねぼう

記録のように・備忘録のように、時間をみつけ、思いつくまま、気ままにブログをしたい。

死者の書

2020-01-05 13:33:17 | 日記
平城京の都の栄える頃のことである。春の彼岸の中日、二上山に日が落ちたとき中将姫は尊い俤びとの姿を見た。
千部写経の成就に導かれ、非業の死を遂げた大津皇子の亡霊とまみえ、尊い俤びとと重なるその姿を蓮糸で曼荼羅に織り上げた姫は、さまよう魂を鎮め、自らも浄土へといざなわれた。

『死者の書』は、釈迢空(折口信夫)による幻想小説。当麻寺に伝わる当麻曼荼羅縁起・中将姫伝説に想を得て書かれた。
初出は1939年(昭和14年)に『日本評論』一月号・二月号・3月号にそれぞれ「死者の書」「死者の書(正篇)」「死者の書(終篇)」として掲載される。1943年(昭和18年)9月には青磁社から雑誌掲載分を各章の入れ替え・増補校訂した単行本『死者の書』として出版された。
現行版(文庫)は、青磁社本を底本とした中公文庫(改訂版1999年)、岩波文庫(2010年)、角川ソフィア文庫(2017年)。