田園都市の風景から

筑後地方を中心とした情報や、昭和時代の生活の記憶、その時々に思うことなどを綴っていきます。

王仁博士顕彰公園と鰐神社

2020年09月24日 | 日々の出来事

 久し振りの投稿になります。

 昨年の秋、吉野ヶ里歴史公園にほど近い九年庵へ紅葉を見に行きました。吉野ヶ里からはシャトルバスで行くのですが、途中、神埼市の田園地帯で車窓から立派な門が見えました。はて、こんな田舎にと印象に残っていました。あれから1年近くたち、思い立って先日に訪問しました。

 案内板には「王仁博士顕彰公園」とあります。応神天皇の時代、命に応じて百済が王仁博士を遣わし、千字文と論語を天皇に献上したと古事記や日本書紀に記されています。王仁博士に関する記述は日本の史料にしかないそうですが、韓国では全羅南道の霊岩郡が王仁博士の生誕地とされています。

 手前が百済門、向こうの建物は交流広場と情報交流館です。

 この門は霊岩郡にある百済門を模したものです。神埼市は20年ほど前から霊岩郡と交流を始め、2年前にこの公園が整備されました。

 公園といっても、百済門を潜ると休憩所のほか千字文のモニュメントと記念碑があるだけで、ほかにこれといった施設はありません。広い駐車場と大きな構えの門なので期待しましたが、少し拍子抜けでした。

 韓国といえば木槿です。行ったのは8月の終わり。それにしても神埼市が王仁博士とどんな所縁があるのか。

 答えは公園のすぐ裏にありました。鰐神社です。創建は定かでありませんが、鳥居は元禄時代のもの。ここには鰐大明神と熊野三社が祭られています。

 振り返ると鳥居の向こうには田畑が広がっています。

 本殿はなく、拝殿の向こうには右手に鰐大明神、左手に熊野社の祠があります。鰐大明神というと因幡の白兎説話を思い浮かべます。すぐ近くには吉野ヶ里遺跡があり、有明海からも遠くないので、もともと航海の安全を願った神社なのでしょうか。 

 「肥前国風土記」には近隣の小城郡を流れる佐嘉川(現在の嘉瀬川)を、海神の鰐が世田姫をしたって毎年遡上したという記述があります。

 境内には寛政年間建立の王仁天満宮の石祠があります。当地における王仁博士の渡来伝説はここから始まったようです。小さな石祠の存在が韓国との交流や立派な顕彰公園の建設にまでつながりました。「鰐」と「王仁」とは関係があるのかどうかは寡聞にして知りません。

 王仁博士の伝承や墓などの史跡は大阪近辺に多く存在しています

 鰐神社を後にして公園に戻ります。この千字文は時の大臣から中学生まで、日本と韓国の人々が揮毫したものです。文字のタイルは佐賀らしく磁器質の陶板です。

 このところ遠くへ出かける機会が減り、読書に親しむ時間が増えました。図書館から1冊、2冊と借り出しては読み、持ち歩き用には文庫本を買っています。インターネットは調べ物やニュース閲覧で毎日のように利用しています。しかし、うたかたのようなネット情報の海を漂っていると、本は岩か島のような確かな存在に感じられます。

 

 

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4 コメント

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広い (tyako)
2020-09-24 08:24:31
おはようございます。
日本は広いですね。
知らない事がたくさんあります。
貴重な情報ありがとうございました。
まだまだ勉強しなくては・・・
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こんにちは (九州より)
2020-09-24 12:59:09
各地には昔から伝わる伝説が残っています。
根幹には共通するものもあるようです。
時どき、思いがけずそうしたものに出会うと
先人たちの精神的な営みを垣間見るような気がします。
コメント有難うございました。
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心配しました (tango)
2020-09-25 09:03:13
先日、呼子から小城に回って高速を走るとき
みやき・吉野ヶ里・・九州様のことを思いながら
走って帰りました。ドライブでは見ることが多くて
たまに呼子に行き、紹介のあった佐賀空港に行く予定がラッシュで行けませんでした
いつも情報を参考にしています(^^♪
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こんにちは (九州より)
2020-09-25 09:56:47
夏の間、出歩くことも少なくショッピングモールと図書館に通っていました。
朝晩が涼しくなってきたので、また田舎道でも歩こうかと思っています。
唐津には数年前に行きましたが、呼子は十年以上ご無沙汰しています。
イカ定食が美味しかったことを思い出しています。
コメント有難うございました。
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