6月15日(金)☼
5時過ぎに永田町駅についたので国会周辺を歩いてみた。首相官邸斜め前の衆議院南通用門前には人影もなかった。
1960年6月15日夜、日米安保条約の自然成立を前にして国会はデモで包囲され、この場所で樺美智子さんが圧死した。僕は浪人中で土佐・室戸岬の自宅でラジオを聴き続けた。
日記にはこうある。
「6・15(水) 今夜、全学連国会構内に入り、警官隊と衝突 一女性死亡の惨事 略 岸の首を切り、アイク訪日を阻止し、安保改訂を破棄し、積極的中立と議会民主主義を勝ち取ろう。 騒擾罪を適用するという警視庁 弾圧を跳ね返して保守党内閣を倒そう」
「警棒の嵐に傷つく学生 重傷数十人にのぼる 犬ども 警官の暴力 岸よ!死ね!」「憤怒 右翼の暴力 警官の暴力を排撃せよ!」「解散せよ!国会 総辞職せよ!岸首相と部下」
大きな字で「岸を殺せ!」と書きなぐってもある。ラジオ関東の実況を聞いたのではなかったか。
国会正面。
警備の警官に聞いてみた。ひとりは6・15を知らなかった。1968年生まれだという。ひとりは「あっちの方で女性が死亡した‥」。こちらは30代か。国会は頑丈な鉄柵で包囲されぼくが立ち入る自由はない。どこもとても綺麗。
なかで行われていることは談合。羊頭狗肉の民主党政権が言葉を空洞化させ、国会を完全に死滅させた。
首相官邸の近くに戻って歩道の行列の後ろに並んだ。もう定刻の6時をすぎている。先頭方向から続々と人々がやってきて行列は果てしなく伸びていくようだった。働き盛りの人が多く、学生や年寄りは少ない。「大飯原発 再稼働反対」。繰り返すスローガンはこれだけである。
人々が保つ整然たる秩序。「組織」などどこにもない。ひとりひとりがそれぞれの想いを込めて声を出す。「再稼動反対」。
僕の目の前は2歳くらいのこどもをベビーカーに載せた若い母親。メガホンを手に「再稼働反対」。写真を撮らせてもらった。
うまく撮れてなくてごめん! うちわに「NO NUKES」。小さい子がもっている。あれこれと工夫をし、やりくりをしながら時間を確保して、きちんと主張をする姿に聡明さと力強さを感じた。
政党や組合の力はなくなった。それを嘆く人もいるかもしれない。僕は違う。
今ようやく日本にも「市民」の運動が生まれ育ちつつあるのかもしれない。反原発はイデオロギーに関わりがない。「生きたい」「生きさせたい」という願いに基づく。
僕の若い友人たちよ、君たちはどう思っている?どう生きようとしている?智慧を絞り、生活のやりくりを上手にやって、ここぞというときに
はデモにも集会にも参加しようよ。この一年にこういうことをただの一度も考えてみなかったとすればどうかしているよ。
こんなことも僭越ながら思った。
7時過ぎに列を出た。脚が痛くなってきた。明日のことを考えなければ‥。南通用門のところまで来てようやく先頭部でやっていることがわかった。首相官邸に向かって人々が次々にスピーチしているのだった。
門の横に座り込んで30分くらい耳を傾けた。時々、挙がる「再稼動反対」にぼくも和した。周りにもそんな人がいた。
公安の刑事か、メモをとっている。仕事とは言え、なんのため?
8時前に有楽町線の電車に乗った。あす、首相は再稼働を決めるという。それを僕らは止められない。大変な事態である。
だが諦めることはない。若い人々が静かに決意して立ち上がっている。そう思うことができた。
寝る前に信江さんからのメールを読んだ。
「こんばんは。
原発反対集会のお知らせ、ありがとうございました。
明日に備えてお休みかと思いましたが、一言お礼を言いたいと思いました。
5時40分頃に国会議事堂前に着き、捜せば先生にお会い出来ると考えていた私が甘かったです(>_<)
シュプレヒコールし過ぎて、喉がイガイガ。
でも心地よい疲れです。
多分もう聞かれたと思いますが、参加者は1万人越えだそうです。
参加出来て良かったです。
ありがとうございました。」
そうだったのか。「若い」とは言えないが僕から見れば妙齢の友人からの激励の辞。
力をあわせて生きとし生けるものとともに生き抜こう。
参考●
タハリール広場化する官邸前の再稼働反対集会
一億総ざんげへの道。
この道は、いつか来た道。ああ、そうだよ、民族の歴史は繰り返す。
耐え難きを耐え、忍び難きを忍んで、もって万世のために太平を開かんと欲す。
座して死を待つか、それとも腹切りするか。 (私の父は、玉砕した)。
安らかに眠ってください。過ちは繰り返しますから、、、、
12歳のメンタリィティには、知恵の深さが見られない。
白く塗られた黒いオオカミの足を見破ることは難しい。
だます人は悪い人。だまされる人は善良な人。おとり捜査は難しい。
この調子では、人の命はいくつあっても足りるものではない。
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