あ ど れ な り ん

主にブルベを中心に趣味と日頃の鬱憤を晴らすために書こうと思います。

2018 RM0810 R札幌 2400 / Around Hokkaido 2400 その10 斜里~根室

2020-05-05 10:51:01 | ブルベ
8月17日。スタートから8日目。
朝の4時半頃起きると生憎の雨だった。
気温も10度ほどしかない。
走り出せるかも不安だったが、ワセリンを体中に塗りつけてゴシゴシと擦り体を温める方法を思い出してそれを実践した。
ウェアを着込み、体の前にはタオルを入れた。

今日は根室までの225kmを走る。
雨の中を走り出すと、ワセリンとタオルのおかげで思ったより寒さは感じなかったので、これは行ける!と思えた。

天に続く道


海沿いに出ると荒れた波が断崖に叩きつけるのが見えた。
風が強く、下を向いて雨と風を凌ぎながら先へ進んだ。

7時42分。1889km地点。PC7のセブンイレブン斜里ウトロ店に到着した。
ここでは雨が止んでいたような気がする。
食事をした後、知床峠へと走り出した。
このブルベでは最後の厳しい峠になる。

登り口にある知床自然センターに着くと、ちょうど吉田さんから電話を貰った。
もう8時を回っており、車の往来が結構有ることを告げると安心してくれたようだ。

膝の痛みは続いているものの、登りの間は雨が上っており助かった。
しかし、峠の近くになると再び天気が怪しくなり、峠に到着すると暴風雨の中だった。
ここまでで一番強い風が吹付けた。
そしてメチャメチャ寒い。
それもそのはず。気温はなんと6度しかない。

気温6℃


知床峠


こんなところには居られない。
上記の写真を撮ってから急いで下りへと進んだ。

雨に濡れた体で下りは寒いこと寒いこと。
風も強くて自転車が煽られ、体はガタガタになってまともにまっすぐ進めない。
危ないので山側のクリートを外してゆっくり下った。

下りきって羅臼の街まで来ると、晴れ間が戻り、気温も16~17度を越えていたと思う。
予定通り、道の駅「知床・らうす」で休憩することにした。

ここで昼食的なもの(うに丼とか)を食べたかったがそれほど余裕はない。
結局は軽食だけで済ませた。
体温がなかなか上がらず、思ったより長居してしまった。

ここではキャンパーの男性に会い、「2400kmなんてすごいですね。ブルベやってる人は尊敬してしまう。」
「できれば前を引いてあげたいけど、ルール違反なんですよね?」なんて言われたりした。
なんかありがたい。

道の駅を出た後にロキソニンを買いたくてドラッグストアに寄ったが、取り扱っていないとのことだった。

この後は中標津へと向かう。
途中でさすがに暑くなってレインウェアを脱いだが、場所が悪く熊が出るのではないかとヒヤヒヤした。

中標津までは気温も上って順調に行けたと記憶している。
途中でバイクツーリングの集団とすれ違い。めちゃくちゃ応援された。本当に有り難かった。

中標津に向かう途中


少し雲が出てきた


7番目のフォトチェックポイントである開陽台へ到着した。
最後の急坂の途中で突風に煽られたので、思わず自転車を降りて押し歩きをした。
開陽台に着いたが、残念ながら誰も走者が居なかった。

フォトチェックポイントにて


景色が良かった。


この後、中標津市街へ入ると時間は16時を回っており、既に肌寒く感じたのを覚えている。
ロキソニンを購入しに薬局に寄った際、いつもこんなに寒いのかと聞くと
「これくらい寒いことは良くあるが、今年は暑いのと寒いのが極端だ。」と言っていた。
タイミングがことごとく悪いようだ。
時間は17時。早めの夕飯をラーメン屋(ラーメンさんぱち中標津店)で取ることができた。

味噌かな


夕方だが虹が見えた


この後は厚床を経由して根室まで行く。
途中で別海という街でお祭りが始まるところに出くわした。
別海という街が有ることを知らなかったので急にオアシスに出くわした気分になった。
陸の孤島と言っても過言でないと思う。

まつりだまつりだ


厚床まであと10kmくらいのところだったと思う。
道路の左側の茂みで急に、ガサッ と音がしたと思ったら鹿が道に出てきて直ぐに茂みに戻っていた。
思わず「だめだよ!」と声をかけた。
いや、本当に驚く。

ついに厚床まで来た。1週間くらい前に最低気温3.6℃を記録した場所だ。
ここで最後の休憩を取った。

一呼吸入れてからついに根室へ。
この頃になって、やっとエアロバーのしっくりくるポジションが出せた。
慣れてくると肘の間は狭くても大丈夫だ。
当初より、かなり狭くして走れるようになっていた。

根室半島の根本に有る温根沼橋は警戒していた通り吹きさらしで強い横風を受けて辛い思いをしたが、
網走で痛い目に会っていたので我慢してやり過ごすことができた。

22時。やっとの思いで根室に到着。
2073.9km地点。PC8のセブンイレブン根室敷島町店に到着した。
16時間半掛かってなんとか225kmを走りきった。

この後は宿の人に断ってラーメン屋に行った。今日2回目のラーメンさんぱち(根室店)。
店の入口では、このブルベで知り合いとなった二人目のOさんに会い、店の中では天塩でも話したOさんにも会った。
二人目のOさんの方は、もう納沙布岬を通ったのでこれから浜中(霧多布)まで行くというので驚愕した。
時間は22時半頃で、浜中は70km先だが、そこまでの両手で数えられるくらいの農家しかない。
宿を予約しているとのことだが、ゆっくり走ってもまだ日が昇っていない時間に着いてしまう。
未明に着いてもどこも開いてないはずなのだが…。
彼がこの後どうしたのかは知らない。

ラーメン美味いなあ


食後は宿に戻ってから風呂を浴び、0時過ぎに寝ることができた。
今日も何とか走りきった。残り330kmというところまできた。
明日は比較的天気が良い。
何とかなるんじゃないかと思えてきた。


2018 RM0810 R札幌 2400 / Around Hokkaido 2400 その9 紋別~斜里

2020-05-05 10:39:12 | ブルベ
8月16日。スタートしてから7日目。
ちなみに、この日は写真を1枚も撮っていなかった。
本当にそれどころでは無かったということを分かっていただければと思う。

1時間半寝る予定だったが、寒さでそれより早く起きてしまった。
熟睡も出来なかった気がする。しかし、寝てもいられない。
時間は3時。寒さに震え、体を擦りながら準備を整えて再スタートを切った。

今日は260km先の羅臼(知床半島の東側)まで行く予定だ。
まずは宿泊予定だった紋別のホテルへと向かう。
1番近いコンビニで朝食を済ませ、紋別の街中に入ってから、またも雨脚が強くなった。

ホテルに着いて、カクカク云々説明した後、泊らず、部屋にも行かず、着替えたら直ぐに出ることを伝えると、当たり前だが驚いていた。

なる早で準備したが、ここは最後のドロップバッグ地点。
入れ替えるものが多く30分ほど掛かってしまった。

北海道へ来る前に厚床で一桁の気温を記録したというニュースを見て北側は寒いと予想し、
長袖ジャージを用意しておいて助かった。
しかし、雨は普通にザーザーと降っているし、相変わらず向かい風及び横風で
時より台風のような強い風が吹付け、引き続き苦行を強いられた。
そして寒い。
相変わらずの厳しい天候にイライラして、ついには

 ちくしょう!

と、叫んでしまった。

 何だこの土地は…

ブツブツと、独り言が続く。
もっと景色が良く、走っていて気持ちの良い北海道を期待していたのに、気持ちよく走れたのはまだ1日だけ。。
台風の影響で納沙布1200が途中でキャンセルになったことは知っていたが、
こんなにも寒さと雨が続くとは予想だにしていなかった。

道中のことはもう細かくは憶えていないが、網走までの区間は空が薄く白く薄暗い途中の景色だけが印象に残っている。
途中のコンビニでは後に知り合いになる小径のMさんにコンビニですれ違ったり、
前日、数分だけ前を引いて貰ったお二人に抜かされたりした。
網走のクローズタイムが迫っており、雨の中でパンクが有るとギリギリになってしまうので、着実に前に進む必要があった。
眠気は思ったより無く、なんとか先に進めていた。

1808.9km地点。PC6のローソン網走大曲店。
クローズ38分前になんとか滑り込んだ。
吉田さん他のスタッフが待機してくれており、この先は通過チェックのみで良いと伝えられた。
とりあえずは食事を取って少し休憩した。

上記のお二人と一緒に走っていた女性は握力が落ちてしまい、自分を抜き去った先の紋別でDNFしていた。
このブルベで知り合いになった道民のNさんは寒さに対する装備が足りないということで、
彼もここでDNFするとのことだった。
先に来ていた上記二人のうち一人はAJの副会長さんなのだが、
「行かざるを得ないんです!」という言葉を残し、休憩もそこそこにWさんと一緒に再出発していった。
小径のMさんは後から来たのに、小休憩だけで再出発していった。
上記の3人はがっしりした体型で体が太い。早いというより、強い人達だ。
自分はというと、もう皮膚の方まで雨が染み込んでおり、
止まって暫く経ったら体が冷えてしまい、なかなか再出発できないでいた。
体を拭いたりしたが、ウェアも濡れているため気休めでしかない。

体の前にタオルを入れ、気合を入れて再出発することにした。
近くに作業着などを売っている店が有るようだったので、そこで服がバタつかないようにするためのベルトを購入した。

網走の町中を抜け、涛沸湖へと向かうが町中を抜けてから台風のような突風が吹き付けてきた。

 う 、うぐぅ…

さらに濤沸湖の前から強烈な向かい風が吹き付けて、湖の横では時速が12kmまで落ちてしまった。

 先に進まねえ…

なんだこの天候は?
台風なんじゃないか?
こんな向かい風の中を進み続けるのは無理だ。
これはもう自転車に乗るどころではないんじゃないか。
というか乗り続ける事が出来ない。
今日は知床の峠を越えた羅臼までの予定だったが、とてもそれどころではないぞ?!
ゆっくり進んだ先に「はなやか小清水園」という道の駅が有ったので、一旦避難することにした。

このままではまともに先に進めない。体も冷えているし、昨日はまともに寝ていないし、膝だって相変わらず痛い。
この先に進む自信がない。
座りながら途方に暮れた。

DNFも考えたが、とりあえずは今日中に知床峠を越えるのは諦め、その手前で宿を取って休むことにした。
スマホで検索した結果、斜里という街のホテルに宿が取れた。
比較的近くなので直ぐに出発した。

出発した直後、道の駅の本の数十メートル先に、なんとモンベルショップを発見する。

 こんなところに!?

紛れもなくモンベルだ(モンベル オホーツク小清水店)。
喜び勇んで店に入り、アームカバーと太めの裾バンドを購入した。
裾バンドは腕に巻いてレインウェアのバタつきを抑えるためで、それとともに防風にも役に立つ。
早速身につけて斜里に向かった。

斜里第一ホテルに着くと、ホテルの方が良くしてくださり、汗と雨でぐっしょりした靴を乾燥室に入れてくれたりした。
実は自分の下調べと焦りのせいで、斜里が知床峠の手前かと思っていたら、37kmも手前だった。
(PC7が「セブンイレブン斜里ウトロ店」という名前だったので斜里とウトロがこんなに離れているとは思わなかった)
間違ってしまったが、途方に暮れていたところから40km以上を走る気力は無かった。
時間は16時前。少し早いと思ったが、3時発でほぼ200km走ったので十分だろう。

一つ分かったことは、濤沸湖の様に海沿いに有る湖と、海の間に有る土地が低い場合はとても風が通りやすいということ。
そこに有る道路は海の上を走っている様なものだ。
だから、その区間は猛烈に風邪が強いが、湖の脇の区間を抜けると風はそこそこ弱まる。
その区間は我慢して走れば良かったのだ。

どこかに食べに行きたかったが、着替えもないのでホテル内でゆっくりして、また明日から頑張ることに決めた。
夜になると、またショートメッセージが来て「知床峠付近で熊の目撃情報があり、夜間の走行を控えること」と有った。
更にその後、吉田さんから直に電話が有り、今どこなのか、宿が無ければ取る。
明日の朝はまとまって走り、車で前後に付くといったことを伝えられた。
現状を伝え、明日の朝の出発時間を伝えると、(一緒に走れないの)で吉田さんは一瞬固まってしまった。
そして時間延長をさらに10時間プラスするとも伝えられた(合計12時間の延長)。

そうなったら、思ったよりもゆっくりできる。
少しだけ落ち着きを取り戻した。
予報だと明日の朝もずっと雨だが、少しでも好転するよう祈りながら眠りについた。