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kebaneco日記

日々の出来事、考えたこと、行った場所、見たもの、なんかを記録してます

非ケインズ効果

2012年05月19日 | 折々の話題
消費税率引き上げの議論で、最近非ケインズ効果という言葉が出てくるようになった。要するに、これだけ財政破綻に近い政府が増税をするってことは、将来の財政破たんの可能性が低くなるということで安心材料であると国民が判断し、財政立て直しのための増税を行っても消費は冷え込まずむしろ消費が増えるというもの。デンマークが1980年代に財政立て直しをしたときに発現した効果として有名。

日本国民は労働から得た収入を、毎日の生活に必要な消費と「老後のための貯金」とに使っている。年金を使いきらないで貯金してる人すらいる。それは当然「老後の生活は年金に頼れない」「今の生活が今後も続くとは限らない」という不安感のたまもので、そのせいで所得が消費に回らない。エコポイントといったイベントを作らないと財布のひもが緩まないのである。っていうかエコポイントのようなお得感があれば物を買おうという気にもなるしその資金もある、でも普通の状態ではそのお金はいざという時のため・老後資金として貯蓄に回っているのである。これは、この国の先行きに不安感を持つ、賢明な日本国民の当然の生活防衛策と言える。

なので、もしも政府がこんな不安な時期に消費税率を上げても非ケインズ効果があるから大丈夫、と断言したいのであれば、いったい日本国民の不安がなにに起因していて、それを払しょくするには一体何が必要なのか?考えなきゃならないんじゃないだろうか。そして、なぜ消費税なのか?の議論も必要だと思う。

都合のいい理論をどっからか引っ張ってきて、日本よりももっと民主主義が成熟していて、政治家に信頼が置けて、行政にも政治にも無駄が少なく、税制の効率が良くて所得再配分効果がきちんと出ていて国民の幸福度指数が高いデンマークのような成功例を引っ張ってきて、「ほらね、大丈夫」っていわれても、あたしたちの不安をさらに増すだけ(苦笑)

ちなみに、アメリカですら税制の効率は高いとされており、たとえば経済成長1%で税収の自然増が1.6%あると言われている。日本はちなみに経済成長1%で税収自然増は0.6%。そもそもこの差がどこから生じているのかも考えるべきで、無駄なばらまきや無駄な控除をしてないか、取っぱぐれてないかなど税制の抜本的見直しが必要だと思う。それらを全部すっとばして、すぐに上げやすい消費税に頼るのはいかがなものかと思う。

自らの身を削るって言ったのはどの口だったかも、決して忘れてほしくないし、官だけが栄えててその官を支える民が疲弊する国という、ヨーロッパで破綻して何度も選挙やる国であったような例に酷似している今の日本の状況を、根本的なところから変えようと言う議論の前に消費税を持ち出すのって対症療法で、これこそ非ケインズ効果を生まなくする条件だと思う。

これって、原発がないから電気が足りない、原発がないからコストが高くなった、だから原発再稼働させよ、だから値上げに応じよ、さもなければ計画停電、と自分たちの独占企業ゆえの供給責任を果たせないことに何の反省もなく、供給しないぞって脅しにかかっている東電(や関電や御用政治家・御用学者)と全く同じ構造。財政をここまで悪化させた責任をだれもとらず、その反省もなく、「将来世代につけ回ししないためにここで増税しないと社会保障が立ち行かなくなる」という。

それってホントか?ってか、増税だけだと穴のあいたバケツに無意味にも一生懸命水を入れるだけようなもので、いくら入れてもバケツの穴が小さくならない限り水は貯まらないのである。でも既得権益を侵すことにつながる穴を小さくする努力のほうの議論は全く見えない。なのに増税を生産性向上につなげることができた、高福祉・高幸福度国の例を持ち出して「だいじょ~ぶ」と言う。そこまで国民を愚弄してはいかんぜよ、と思うkebaである。

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2 コメント(10/1 コメント投稿終了予定)

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Unknown (ちらり~ん)
2012-05-19 09:37:50
>増税だけだと穴のあいたバケツに無意味にも一生懸命水を入れるだけようなもの・・・・

上手い表現ですね~
旦那殿もいつもTVのニュース画像や新聞記事に向かって同じ様に憤っています。
その声はスルリと私の耳を通り抜けるのに、kebaさんの分かりやすくて、スーっと入ってきました。
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ちらり~んさま (keba)
2012-05-19 11:17:13
それにしてもよくいろんなもので理論武装するものだと呆れます。
あたしたち的には、理論じゃなくて実践でお願いしたいですよね~
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