阿国桜

今年はきちんと花見をすることもなく季節が終わってしまった。

先週の金曜日、友人と銀座でランチした時に「ちょっと銀ブラしようか」って東銀座まで行き、竣工なった新しい歌舞伎座を拝んだ。東銀座駅から直結したため、地下コンコースも含めてとにかくすごい人でびっくり。若いころは銀座の買い物のついでに一番上の階の立見一幕席（正式には幕見席；とはいえ少ないけど椅子もある）と呼ばれる天井桟敷で、思いついた時に観たりしていた。見せ場になると、すぐ近くで「成駒屋ぁっ」「音羽屋ぁ～」とか叫ぶ人たちがいてびっくりするけど臨場感あって好きだったし、なにより一日ずっと歌舞伎づけになれるほど時間も根性もないので、一幕だけを格安で見られるチケットはありがたかった（ただ、新しい歌舞伎座では幕見席料金が跳ね上がっていて驚いた、ここはすでにアベノミクス化？）。

でも、五代目勘九郎（こないだなくなった18代目勘三郎）があまり好きではなかったあたし、だんだん足が遠のいたままになってた。自分より若い人が演じる歌舞伎って新鮮かも、また一幕だけ見るのも悪くないかな、それとも新しい歌舞伎座も「見学」するなら一度は「正札」で入場するのもいいかなぁ～、しかし一人２万円は高すぎるぞぉ、なんて久々歌舞伎座のチケットのことをちらっと思案したりした。

この日は立見一幕席を求める長蛇の列が出来上がっていて、とてもじゃないけど「ふらっと」加わるっていう程度の覚悟では無理。そのかわり、無料開放されている屋上庭園に上がった。すごく小さな庭園なのだけど、古い歌舞伎座の鬼瓦や先人の碑や灯篭などが配置されていた。写真の枝垂れ桜には「阿国桜」と立札があった。出雲阿国のゆかりの桜なのかしらん。これからここで大木になってほしいなぁと思ったのでありました。