
お昼は、奈良市ならまちセンター近く、南の角にある「そば処季のせ」というお店、美味しかったのでここに記録しておこう。お腹いっぱいになったので、興福寺を目指して歩き出した。しばらく北上すると猿沢池のほとりにでた。
池の向こうに見えるのが興福寺の五重塔
転害門で会ったボランティアガイドのおじさんが、もうすぐ大修理が始まるとおっしゃっていた五重塔は高さが50mくらい。古塔のなかでは京都の東寺の五重塔についで2番目に高い。インフォメーションの女性がライトアップも素敵で、食事の後ぶらぶら散歩するのもいいと思いますとおっしゃってた。夕食のアポを入れてるので無理かもしれないけど、春日大社回廊内の万燈籠に火が灯る様子はロマンチックで、若草山山頂で夜景を楽しめるバスも土曜日には運行されていると、バスが出る場所まで教えてくれた。秋だけのイベントらしいので、奈良にいくなら秋がいいのかもね。
来春から修理が本格化する五重塔の周りには見学者の長い列ができていた
明治33年以来およそ120年ぶりの大規模修理で、屋根瓦の吹替工事などが行われるため塔は素屋根に覆われる。そのため外観すらも観られなくなるという。ギリギリセーフで外観を拝めたのかぁと思うと、感慨深いものがあった。内部の見学はパスして国宝館に向かい、阿修羅像に久しぶりに対面した。
東博の阿修羅展の混雑ぶりが、幻だったかと思えるようなゆったりした空間での見学、しかも阿修羅像は乾漆八部衆立像のうちの1体でしかない、釈迦を守る八部衆の構成要素で全体の1/8でしかないという扱いなのか、みんなと横並び(ただその中央)に展示してあった。おかげでほぼ周囲に気遣うことなく、心ゆくまでじっくりと拝見できた。おまけにほとんどの仏像はガラスケースなしで対面でき、満足〜。今回面白いものを見つけた。阿修羅ほどは当然知名度はないのだけど・・・
龍燈鬼立像、国宝(興福寺のサイトから)
ふんどし姿の鬼が、角の上に置かれた燈篭のバランスを崩して落としてしまわないように、緊張からか尻尾を握りしめ、情けない顔で灯籠を上目遣いで見ている表情がなんとも笑える。この像と対になっているもう一体の龍燈鬼立像は、燈篭をラーメンのオカモチのように肩にかかえて「へい、おまちぃ」とでも言いそうな感じ。
と、ここまでで我が一族、かなり真面目に仏像を拝見したせいか、相当疲れてきた。朝5時に起きて移動して即観光だったので、無理もない。一旦撤収してチェックインを済ませてから、正倉院展に向かおうと、バスでホテルに戻る。JR奈良駅行きならなんでもオッケー、っていうのが便利。フロントに預けていた荷物を受け取りチェックインし、部屋に入って荷物をほどき、コーヒーを入れて一服して、ちょっと休んでから再び出動。
出かける前に、部屋の窓から見えた夕日
正倉院展の入場時間帯は17:00-18:00、駅前から朝と同じバスに乗り奈良国立博物館前で下車。17時ちょうどに入るにはしばらく並んでもらうことになる、できればばらけて入場してほしいとTwitterなどで呼びかけられていたし、幸い土曜日は20時まで開館しているし夕食のアポは19:45だったので、あまり急ぐこともせず向かったら、待たされることなく入館できた。
帰る時に撮影した人気のないエントランスホール、ここに列ができてたらしい
今年の第73回正倉院展の目玉は、螺鈿紫檀阮咸(らでんしたんのげんかん)と漆金箔絵盤(うるしきんぱくえのばん)など。奈良時代の筆と今の筆の構造的な違いがわかるような展示や、写経の裏に当時の戸籍情報が記載された紙、記録の必要がなくなった内容を記した木簡の表面を削るためのナイフなど、全体としては文房具が多く出展されていた。写経を行う官吏が古くなった筆の代わりの筆の支給を受けるために記した申請書(これだけ書いたから筆が古くなった、だから新しいのちょ〜だい的な)など、今の永田町なら捏造がバレるから1年経ったら廃棄してしまいそうなものが展示されていた。奈良県民の実直さのルーツはここにあるのかな?
昼間に見たあの正倉院の建物の中で大事に保存され、1300年経った今も素晴らしい保存状態であたしたちの前に姿を現す宝物、色褪せて擦れていてもなお当時の姿を伝えてくれる品々、高貴な人のプライベートな生活を垣間見ることのできるアイテム、しばしタイムトリップを楽しんだ。
出口は奈良県初の本格的な西洋建築の「なら仏像館」から
この奈良国立博物館・なら仏像館には、また来ねばと思っている。というのも例の藤山直美似のインフォメーションの女性が「金峯山寺の仁王門の修理中は、収められている金剛力士立像を奈良博の仏像館で預かって特別公開しています。素敵です、個人的にはすごく好きなんです、ぜひ見ていただきたい」と教えてくれた。熱意は十分感じたものの「そうは言っても、今回は無理だなぁ」と諦めていた。それが、いただいたパンフレットをよぉ〜く読むと、なんとその修理完了は令和10年を予定とある。じゃあ次に来た時に、ここをゆっくり拝見すればいいのね〜、と思った次第。
今西家書院同様、次回訪問時の宿題なのじゃ。
この日の観光は以上、では食事をば、と再びバスで移動開始。予約していたのは西木辻町の「四季彩料理利光」。盆地なので魚より肉かなと思って、本当はフレンチかイタリアンをと思ったけど、1ヶ月前の段階ですでにめぼしい店は全部満席だった。で、和食にした。
以前は呉服店だったという店構え「準備中」=本日予約で満席ってことかな?
1階にはカウンター席、テーブル席、個室があり、到着した時にちょうどテーブル席を占拠していたお客さんが出ていくところだった。あたしたちは個室に「隔離(笑)」。予約していたおまかせを運んでもらい、たっぷり2時間かけて夕食。
突き出しの子持ち鮎の甘露煮
「か、甘露煮?」とひるんだけど全然甘ったるくなく、骨まで食べてくださいと言われるほど柔らかくなった鮎は、フレッシュさすら感じるほどで美味しかった。これ以降はおしゃべりと食べるのが忙しかったので、写真はほぼない。デザートのちょっと前あたりに、なだ万で修行したという店主が挨拶とお給仕に登場。奈良の食材を使って丁寧に仕上げた料理、美味しかったので次回の宿題提出の際にはまたお邪魔したいと思っている。
駅前のホテルに泊まっていると言ったら、大将がお店の外まで見送ってくれて、大通りに出たら右、そのままずっと道なりに歩けば駅に着きますと教えてくれた。美味しかったね〜、楽しかったね〜とおしゃべりしつつ歩いたら駅まであっという間。部屋でちょっと飲もうと、途中で氷を買って帰還。
約2万歩歩いた初日は、かくして幕を下ろしたのでした。
娘の試験中にちょっと行ってくるという感じだったので
興福寺を訪れた時も それがどういうお寺であるかも知らないままでした。
庭を歩いているときに 国宝館も たまたま目に入り
へえ 入ってみるか~という感じでした。
そこで出会った阿修羅像には息をのみ立ち尽くしました。
こんなに小さいのに すごいオーラを放っていますよね。
教科書で見たことのある本物が 所狭しとあるのに驚きました。
何度か行った今までより、今回の方が奈良を楽しめました。自分の年齢準備して蓄積したものがそうさせたのかなと思います。
偶然の力も大きいですよね。国宝館、入ってみるか〜って、きっと阿修羅像に呼ばれたんですよ。