徒然なるままに・・・

映画よりJAZZにシフトチェンジ中・・・。

告発のとき ★★★

2008-07-16 | 【映画感想・カ行】
ストーリー:
2004年、ハンクの元に息子のマイクが軍から姿を消したと連絡が入る。
イラクから戻ったマイクが基地へ戻らないというのだ。
ハンクも引退した元軍人だった。
息子の行動に疑問を持ったハンクは基地のある町へと向かう。
帰国している同じ隊の仲間たちに聞いても、皆マイクの行方を知らなかった。
やがてマイクの焼死体が発見されたという連絡が入る。
ハンクは地元警察の女刑事エミリーの協力を得て、
事件の真相を探ろうとするが…。
(goo映画より引用)

出演:
トミー・リー・ジョーンズ、シャーリーズ・セロン、
スーザン・サランドン、ジエームズ・フランコ、ジェイソン・パトリック

監督:
ポール・ハギス

アメリカ映画には、戦争における負の面を描く作品が多々ある。
古くはベトナム戦争を描いた『プラトーン』、『ディア・ハンター』、
湾岸戦争を描いた『戦火の勇気』がそれにあたると思う。
兵士の心的犠牲から戦争の愚かさが描かれている。

監督のポール・ハギスが脚本として参加した、
『父親たちの星条旗』もそんな作品群に含まれる。
そして、今回はイラク戦争での負の面を赤裸々に炙り出している。

突然姿を消した息子を探すハンクを主人公として、
息子が残した携帯電話の画像を途中に織り交ぜながら、
イラクで何があって、息子はどうなったのかをミステリー調に話は進む。
結果的に息子は惨たらしい死体が見つかり、話の論点は、犯人探しに変化する。

そこで息子が残した携帯画像が軒並み挿入され、
彼が捕虜虐待や弱者の命を奪うという悲惨な場面、
それを淡々と見続けるハンクは息子だけはという思いに駆られるはずだ。

戦場に放り込まれ、殺人マシーンとして任務を遂行した後、
無事帰還した際、彼らは人を殺したことに罪悪感に苛まれる。
イラクでの出来事を後悔し、現実逃避しようと麻薬に手を出したり、
最悪人を殺めたり、常軌を逸した行動に出てしまう者も現れる。
「息子だけはそんなはずでは…」と思うハンク。
それは、息子を殺した犯人の人物にも同じような意識が生まれる。
「一体イラクで何があったのか?」と…。

ハンクは気づく。全ては狂った戦場が悪いことを。
息子が戦地から掛けてきた悲痛の叫び。「ここから出してくれ」と。
軍人家系の彼にとっては、ありえないことと思っていたかもしれない。
がしかし、息子の辿った道を知ることで、全てを悟るのだ。

戦争は加害者・被害者の双方共、
何も生まないことを如実に描いている。
悲劇しか残らない負のスパイラルの根源が戦争そのもの。

ラストでの逆さの星条旗。これは危機的状況時に掲げられる。
他国のことより、自国での悲劇が消えないことこそが、国家の緊急事態なのだ。
アメリカが戦争を悪と気づくのはいつの事なのか…。

(ピカデリー6にて鑑賞)


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