横山秀夫・著 (文春文庫)
2003年に発表された小説なのですが、
兎に角、熱い男のドラマでありました。
舞台は、日航機墜落事故が発生した群馬県の新聞社。
事故報道の全権を任された1人の記者が、
社内の軋轢、部下からの厳しい追及、
そして、不仲な息子への気遣い…。
墜落事故が起きた当日、
社内の親友と山登りに行く予定だったが、友は病に倒れた。
「下りるために登るんさ」。友の残したメッセージ。
そんな様々な思いが巡る物語。
全権を任された男が、社内の軋轢に破れ、
必死に書いた部下の記事をふいにしてしまう。
また、事故原因の大スクープを裏が取れないため掲載を見送り、
他者にそのスクープを取られてしまう…。
己の信念だけではままならない、組織の中間管理職の痛みが伝わってきます。
主人公は、上層部に喧嘩腰で戦いを挑んでいくのですが、
保守的で保身しか考えぬ連中に有効ではないと気づく姿は辛い。
辛い、痛い、蔑まれる存在が、ラストの一言で救われる。
その文章を思い出すだけでも涙が流れます…。
もう1つ、この小説の凄いのは、
日航機事故をテーマとしながら、事故現場のそれを描いていません。
記者の現場雑感、共同通信の電信だけしか直接描写はない。
それだけでも、事故の陰惨さが伝わるのは、
新聞社の記者たちの尋常でない姿も伝わってくるからだと思う。
この小説は、NHKでドラマ化されてます。
昨年末放映され、先日も再放送されました。
HDDに録画してあるので、観るのが楽しみであります。
ちなみに、次に読もうとしているのは、
豊島ミホ著 『檸檬のころ』(幻燈社)
2003年に発表された小説なのですが、
兎に角、熱い男のドラマでありました。
舞台は、日航機墜落事故が発生した群馬県の新聞社。
事故報道の全権を任された1人の記者が、
社内の軋轢、部下からの厳しい追及、
そして、不仲な息子への気遣い…。
墜落事故が起きた当日、
社内の親友と山登りに行く予定だったが、友は病に倒れた。
「下りるために登るんさ」。友の残したメッセージ。
そんな様々な思いが巡る物語。
全権を任された男が、社内の軋轢に破れ、
必死に書いた部下の記事をふいにしてしまう。
また、事故原因の大スクープを裏が取れないため掲載を見送り、
他者にそのスクープを取られてしまう…。
己の信念だけではままならない、組織の中間管理職の痛みが伝わってきます。
主人公は、上層部に喧嘩腰で戦いを挑んでいくのですが、
保守的で保身しか考えぬ連中に有効ではないと気づく姿は辛い。
辛い、痛い、蔑まれる存在が、ラストの一言で救われる。
その文章を思い出すだけでも涙が流れます…。
もう1つ、この小説の凄いのは、
日航機事故をテーマとしながら、事故現場のそれを描いていません。
記者の現場雑感、共同通信の電信だけしか直接描写はない。
それだけでも、事故の陰惨さが伝わるのは、
新聞社の記者たちの尋常でない姿も伝わってくるからだと思う。
この小説は、NHKでドラマ化されてます。
昨年末放映され、先日も再放送されました。
HDDに録画してあるので、観るのが楽しみであります。
ちなみに、次に読もうとしているのは、
豊島ミホ著 『檸檬のころ』(幻燈社)