レトロ

忘れてはいけない物は レトロな色合いで僕たちをみつめている

故郷は母のにおいが残る街

2024年01月04日 | ひとり言
家も都会に建てて仕事でも大成功して子供も立派になった男 彼は毎月田舎に帰ってきて必ず墓参りに通った。飛行機で2時間車で一時間の距離ではあるけれど。彼はそれを20年近く続けている。子供のころ一緒に遊んでいると「時間よ~みんなもう家にかえりなさ~い」と笑顔で声をかける綺麗なお母さんがいた。
綺麗でもルールに厳しいお母さんだったが、みんなから好かれていた。
でも、ある時そのお母さんが倒れたと連絡があった。彼はその時もう都会の第一線で働いていた。ましてや海外出張中の出来事だった。友達はみんなその空しさに心を痛めていた。それから一年がたったある日「墓参り行くやろ?」と電話がかかってきた。「おう、行くよ」というと「すまないが、日にちを合わせてくれるかな?」というので「うん、そのつもり」と言うと「ありがとね」と返した。
人生においては大成功に見える彼はそれでも毎月田舎に帰ってくる。
ある時「やっぱ、故郷はいいね~、ここは母さんのにおいが残ってるわ」と呟いた。いい大人が家族や部下に聞かせられないこころを、子供の頃のように話してくれた。きっと、そんなだから道が開けるのだろうと思った。


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