レトロ

忘れてはいけない物は レトロな色合いで僕たちをみつめている

その目は その口は

2024年08月07日 | ひとり言
子供の頃、赤ずきんちゃんの物語を母親から聴いた時、おばあさんに化けた狼に「おばあちゃん、その大きな手は何のためにあるの?」と赤ずきんちゃんが聞くと「それはね、沢山の人たちを抱きしめて慰めるためにあるんだよ」と母は言葉を替えて読んでくれました。
赤ずきんちゃんは、おばあさんの声がいつもと違うことに気づきましたが、その答えに少し安心しました。
「おばあちゃん、その大きな耳は何のためにあるの?」と赤ずきんちゃんはさらに尋ねました。
「それはね、みんなの話をしっかり聞いてあげるためにあるんだよ」と狼は答えました。
「おばあちゃん、その大きな目は何のためにあるの?」と赤ずきんちゃんは続けて聞きました。
「それはね、みんなを見守ってあげるためにあるんだよ」と狼は答えました。
「おばあちゃん、その大きな口は何のためにあるの?」と赤ずきんちゃんは最後に聞きました。
「それはね、みんなに優しい言葉をかけて、笑顔にするためにあるんだよ」と狼は答えました。
赤ずきんちゃんはその答えに心から安心しました。「おばあちゃんは本当に素敵な人だわ」と思いながら、赤ずきんちゃんはおばあさん(実は狼)の隣に座り、楽しいお話をたくさん聞かせてもらいました。
その時、家の外から本当のおばあさんの声が聞こえてきました。「赤ずきんちゃん、私は帰ってきたよ!」と。
驚いた赤ずきんちゃんは狼を見つめました。狼は正直に話し始めました。「ごめんなさい、赤ずきんちゃん。私はあなたを怖がらせるつもりはなかった。ただ、一人で寂しかったんだ。」
赤ずきんちゃんはその言葉を聞いて、優しく言いました。「おばあさんと一緒に過ごせばいいのよ。きっとあなたも寂しくなくなるわ。」
おばあさんが家に入ると、事情を聞いて狼に優しく微笑みました。「ここでみんなと一緒に過ごしなさい。あなたも家族の一員よ。」
それ以来、狼は赤ずきんちゃんとおばあさんと共に平和に暮らし、大きな耳でみんなの話を聞き、大きな目で見守り、大きな口で優しい言葉をかけてみんなを笑顔にしました。