かつて銀昆で…

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夢の中にしか登場しない人

2022-02-22 11:43:39 | 日記

夢の中にしか登場しない人物がいるということを友人に指摘された。

まさにそのとおり。おれの夢にそのような人物がいる。

その人は女性で、年齢はよくわからない。20代後半から中年域だろうか。

とてもよく動き、背は高くなく、髪もさほど長くはないが短髪でもない。

とにかく動き回るのが得意なのか、あれこれ人の世話をしている。

おれも、一昨日見た夢の中で、なぜか画材道具を預かってもらった。

おそらくどこかで打合せをすることになり、道具を持て余していたのだ。

それを彼女が「預かってあげるわよ」と引き取り、どこかに保管してくれた。

おれはその場から移動して、保育園か小学校の教室みたいなところへいく。

そこには人々が集まっていて、おれはその人たちに授業をするのか、

講演をするのかよくわからないが、ともかく彼らの前に立った。

そしてテキストを広げて、みんなでディスカッションを始めた。

内容はわからない。歴史や文化、あるいは絵画の鑑賞法みたいな話か。

そのレッスンが終わると、集まっていた人々が三々五々散っていく。

声を掛けられて、茶話会のような催しに参加するようにいわれるが、

おれは、預けた画材道具を取りに行かなければという気持ちがあり、

夢の中にしか登場しない彼女に迷惑を掛けられないと思っている。

だけど、道具を預かってもらった場所に行っても、彼女は不在なのだった。

ちょっと残念な思いをして、その場に突っ立っている。

思えば、彼女はいくつもの夢に、さまざまな役回りで登場するのだ。

具体的にどんな夢か憶えていないが、しばしば登場しておれは意識している。

恋愛感情というのではなく、パートナーというほど相手はこちらを意識せず、

でも、おれが何か困っていると助けてくれる。

おれには姉はいないが、もしかしたら生まれて来なかった姉かもしれない。

姉さん、いつもすみません。ありがとう。


珈琲散歩

2022-02-15 17:33:51 | 日記

朝起きた時、おいしいコーヒーが飲みたくて、だけど切らしていて、インスタントは遠慮して、どこかのカフェに行こうと決めて家を出た。

大阪城公園に入り、JR環状線の大阪城公園駅から京橋方向へ行くか、ぐるっと回って天満橋に行くか、あるいは森ノ宮へ行くというコースも考えられる。歩きながら足の向くまま進んだ。

外堀沿いに建つ六番櫓を眺めながら、なぜ関西人は家康が嫌いなのか考えた。おそらく、秀吉が亡くなり五奉行なる大名が秀頼を支えてきたが、家康は天下を取りたくて仕方がなく、何か騒動を起こせばよいと思いつき、五奉行の一人である前田利家を敵にしようとした。「前田家に謀反の動きあり」と、根も葉もないでっち上げを家康はぶち上げた。だが、利家の方が一枚上だった。利家は即座に自分の母親を江戸に人質に出した。これには家康も黙らざるを得ない。次に敵にされたのが上杉景勝である。会津という新しい領地の整備をしていた景勝に対し、家康は「謀反の準備をしておるぞ!」と騒ぎ立てた。告げ口外交みたいなものである。結局、上杉討伐に同意した武将たちを引き連れて家康は会津に向かう。その間に、反家康グループが動き出すのも家康は承知していた。その先鋒が石田三成である。そして小山評定があり、家康は三成と関ケ原で対峙することになるのだが、この家康のやり口に対して「どやねんこれ?」と思う関西人、いや、豊臣支持の者は多いし、家康のやり口に呆れてしまうだろう。「性格悪いんちゃうん家康って」という声が聞こえてきそうだ。

……とそんなことを考えながら、徳川家が整備した大阪城公園を歩いて、結局、森ノ宮に出た。そうだ、コーヒーだ。森ノ宮には知る人ぞ知るコーヒーの名店である「ばん珈琲店」がある。ここへ行こう。木の扉を開けるとお客さんは誰もいなくて、2人掛けの席に案内された。メニューを見て、「濃いのはどれでしょう?」と聞くと「ばんブラックです」というのでそれにした。待っている間、店内を見渡す。以前にぷよねこ氏と来て、それからもう一度来たが、ずいぶん前のことだ。お客が一人入ってきた。若い中性的な人で、性別はわからない。その人は、ストレートコーヒーのコロンビアと、チーズケーキを注文した。声がよく聞こえたのだ。やがて運ばれてきた「ばんブラック」は、30ccの持ち手のない陶器のカップで、すぐに口を付けたが熱くない。ちょうどいい温度だ。そして味は……ブラックというのはこういうことをいうのだな、と思える深さがあった。うまいのである。ひと口、ふた口、三口と飲んだ。途中、水を二度飲んで、最終的には八口くらいで飲み干した。およそ10分もいかないか所要時間は。だが、満足度は高かった。コーヒーを飲んだ、という実感があった。濃いコーヒーを飲みたいという欲求が満たされたのだった。

それから森ノ宮から南下して長堀通まで。清水谷高校の前を通って、上町筋を越え、久々の隆祥館書店へ。書店というより、誰かの書棚を覗いているような感覚になる書店。もちろんすべて新刊書である。セレクトされているから、その傾向にそぐわない人には合わないだろう。地酒を置いている店で大衆的な酒がないように、この書店は店の方向性を静かに打ち出している感じだ。決してポリティカルなものじゃない。30分ほど滞在し、普通の書店では売っていないと思われるブックレットを一冊購入する。そして、そのまま谷町筋の一本東の通り、起伏がある道を谷町四丁目まで戻ってきた。総歩数8000歩くらいか。


米子城

2022-02-10 12:34:44 | 日記

朝のTV番組「こころ旅」の再放送で、火野正平さんが米子城を訪ねていた。
おれがこの城址に出かけたのは2020年秋のことで、別の仕事の取材でのことだった。
麓から30分ほどかけて天守台まで登った。途中の石垣がなかなかいいのだ。

米子城は吉川広家が改修して築城した城郭である。
関西テレビの城紀行番組では紹介しなかった。
建物が残っていなかったからだが、今なら石垣や土塁、堀跡などで作れそうだ。
演出する側からしたら難しいかな。

米子城天守台からの眺めは最高だった。
秋晴れで、大山から日本海まで鮮明に見えた。
もう訪れることはないだろうな〜。

 
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知らないことだらけ

2022-02-07 10:55:38 | 日記

半藤一利さんの本を読んでいて、
和製漢語のことが出てきたので、
メモ代わりに書き記しておこう。

明治維新によって外国語が流入してきた。
そこで時の文人たちは懸命にそれらを翻訳したわけで、
「社会」「経済」「科学」「汽車」「野球」などが有名だ。
森鷗外が訳したものとしては、
「交響楽」「詩情」「空想」「民謡」「女優」「長編小説」「短編小説」
といったものがあり、夏目漱石先生には、
「不可能」「価値」「連想」「打算」「電力」「無意識」
といった新しい言葉がその著『吾輩は猫である』に登場するという。

どれもよく使う言葉である。

この年齢になっても勉強になることが多い。

春のうららの隅田川~♪は、滝廉太郎の「花」だ。

 春のうららの隅田川 のぼりくだりの舟人が
 櫂のしづくも花と散る ながめを何にたとふべき

この詩に原典があることを知らなかった。

 春の日のうららにさしていく船は棹のしづくも花ぞ散りける
 
『源氏物語』の「胡蝶巻」にある歌である。
ちゃんと調べてみよう。


政治的小説家

2022-02-03 22:52:24 | 日記

石原慎太郎の小説は中学生から高校生にかけての時期に初めて読んだ。文庫本を何冊か買ったのだが、大江健三郎や福永武彦、遠藤周作などもこの時期、初読だった。ようするに好奇心で読みあさり始めた年齢に出会ったというものだった。読後感は明確に覚えていないが、乾いた修飾のない文体で、それ以前に読んでいた三島由紀夫の作品と相当異なるな…という印象だった。アメリカの作家たち、特にヘミングウェイの文体に共通している感触があると感じた。その後、石原慎太郎は政治者という印象しかない。小説も発表されていたが読んでいなかった。『秘祭』は購入している。この人の対談はたまに読んでいた。文人のと対談が多かった。三島由紀夫との対談が面白かった記憶がある。野坂昭如とのも面白かった。

 
石原慎太郎のことをおれは女友達と話したことがない。女性たちはこの作家にほとんど興味を示さない…というのがおれの感覚だ。あまりに政治的だからであろうか。あるいは、氏のどこかに女性に対する、幾分突き放したような視線の持つ冷徹さを感じ取っているからだろうか。
 
「太陽の季節」だけがクローズアップされるが、「行為と死」や「完全な遊戯」などの作品から、『青春とはなんだ』や『おゝい、雲!』といった痛快青春小説もあるし、政治の世界と通底するのかもしれないが、新宗教の世界をルポした『巷の神々』という書もある。おれはこの本を数回読み返している。また、名言集本も出していて、寺山修司の言葉集と対になっているような格言が集められている。だが、共通項もあるのが面白い。たしか、石原も寺山もAB型ではなかったか。非常に広範囲に物事や状況を眺めることができる才能を持っているのが特徴だと思う。石原慎太郎は、五木寛之と全く同じ生年月日だ。五木さんの言葉を聞きたい。五木さん、日刊ゲンダイにまだ連載されているのだろうか。また、石原は立川談志と親しかった。面白い組み合わせだな。ある意味、良質な東京人。偽悪的なところがよく似てる。