今から8年前の日録を再録したい。
当時、KBS京都の番組『極上の京都』の構成を担当させてもらっていた。
京都在住の著名人が、わたし流の京都を案内するというもので、
伝統建築家の中村昌生さんが主役だった。
先生は、京都迎賓館の伝統的技能活用検討委員会委員長を務められ、
数寄屋大工平井家旧蔵の、
「小堀遠州好後藤勘兵衛宅茶室」(擁翠亭)を発見された方である。
番組で先生は曼殊院の数寄屋建築の美しさを語り、
宇治平等院向かいに建てられた茶室「対鳳庵」をめぐり、
千本通りにある銘木店を訪ねた。
京都を縦横無尽に歩く精力的な取材内容だった。
おれは撮影後も中村先生に懇意にしていただき、
先生が設計され、北山に建てられた茶室の建設現場にも出かけ、
三条のホテルで何度かお話を聞いたりした。
何らかの形でもう一度、先生を中心とした番組を制作したかった。
企画書も作成したのだが、結局のところ実現しなかった。
力不足である。
先生は2018年に91歳で亡くなられた。
「上野君、君が以前書いた企画の中村先生はご健在なの?」
先日、東京の番組プロデューサーから電話をもらった。
「いえ、あのう…3年前に亡くなられたのです」
「あゝ、そうか、そうなのか」
「……何かあるんでしょうか?」
「いや、ご健在ならちょっと考えたいことがあって。いや、それは失礼した」
「残念です……」
そんな会話だった。
常に好奇心とユーモアにあふれた表情で語ってくれた先生。
『極上の京都』という番組だけは残せたが、もう一つ作りたかったな。
この番組のナレーションを担当されていた、
五万回斬られた男、福本清三さんも2021年の元日、見罷れた。
合掌。
☆
「極上の京都」2013年 01月 28日
構成で手伝っているTV番組「極上の京都」(KBS京都)が、
本日の夜、オンエアされます。
京都在住の著名人が「私の京都」を紹介するという内容で、
今回は伝統建築家の中村昌生氏が案内人です。
御年85歳。とても元気な先生で、内容も充実しています。
もし視聴できる環境にあれば、ぜひ見て下さい。
KBS京都 1月28日(月)20:55〜21:20
三重テレビ 2月2日(土)12:00〜12:25
テレビ埼玉 2月17日(日)12:30〜12:55
BS-TwellV 1月30日(水)26:30〜26:55
2月1日(金)21:30〜21:55
今回登場される銘木店「松文商店」のご主人が、
HPで撮影内容をアップされています。
こちらもご覧下さい。
https://ameblo.jp/ege399/entry-11435376533.html
ナレーションは、「斬られ役」で有名な福本清三さんです。