勝田茂樹の活動BLOG

子育て・車・バイク・読書の情報BLOG

「本居宣長」を読んだ所感。

2015年11月04日 21時57分36秒 | 読書


本居宣長

創元社
定価(1200円+税)
2015年5月10日発売

我が松阪市が誇る国学者、本居宣長を紹介した本です。
筆者は吉田悦之さん、本居宣長記念館の現館長さんです。

本の内容としては、
本居宣長がこれまでに書いたり、弟子などに伝えてきた言葉の数々を紐解き、解説しています。
右ページに原文、左ページに吉田館長なりの意訳や背景の説明があり、
端的で、歴史的事実や宣長の思いなどを感じることができます。

巻末には宣長の人生を表した年表などもあり、
人柄と功績、宣長の人生をバランスよく知ることができる、
宣長入門編のような一冊と感じました。

特に印象的だったのは、宣長がこだわって伝えようとした当時の空気感。
日本最古の文章として残る古事記の音読を心がけ、
その当時の魂や清らかさを伝えようとしている表現の数々や哲学には、
驚くばかりでした。

本居宣長を知る一冊として大変お勧めできる一冊です。
最後に勝田が印象的だった文章をいくつか紹介。

・深い思いで相手を感動させることもあるでしょうが、
 誠意のない人だとわかっていてもその声や言葉が聞き手の心をとらえることも
 あるということでしょう。

・つまり、和歌の技巧(表現技術)は発展するが、
 それは技巧のための技巧ではなく、
 歌を生み出す人の心に芽生えた感情の深まり、
 またそれを表現するための発展であるという考え方なのです。

・そもそも人は命ばかり重き物はなきを、
 それ続てながらうることは、もはら稲の功にしあれば、
 世にこればかり重く尊き宝は何物かあらん。

・生産性が高く、しかも食べ飽きないというこんな食物が、
 光と水と空気、あとはお百姓さんの働きでできるのです。

・宣長には古代を絶対視する思想はありません。
 逆に、豊かな今の代も、後の人からはきっと不便な時代に見えるはずだとも思っています。
 いつも時代の推移を見据え、ことの発展を信じるのです。
 学問もまた同じです。


最新の画像もっと見る

コメントを投稿