日本の医療を語る時、下の資料〔=国民皆保険制度の意義〕に書いてあるように、「国民皆保険制度を通じて世界最高レベルの平均寿命と保健医療水準を実現」していると言われる。国民皆保険とは、読んで時の如く、国民全員が何らかの公的な医療保険に加入し、病気やけがをした場合に医療給付を受けられることを言う。この資料から多くのことを読み取ることができる。
「患者負担は国民医療費の12.7%と非常に小さくなっている」と書かれている。この比率が大きいか小さいかの基準は明確ではないが、これは時代によって変わる概念ではなかろうか。財政逼迫下では、明らかに「非常に小さくなっている」と言える。ここでは、患者負担率を引き上げることで医療保険財政負担率を引き下げるべきだ、という趣旨だろう。また、国民皆保険制度の特徴として次の4点が挙げられている。
(1)国民全員を公的医療保険で保障。
(2)医療機関を自由に選べる (フリーアクセス)
(3)安い医療費で高度な医療。
(4)社会保険方式を基本としつつ、皆保険を維持するため、公費を投入。
この中で、医療保険財政の持続可能性という視点で最も注視すべきなのは、どれであろうか。(1)と(2)は必要最低限の医療サービス(ナショナルミニマム)の根幹として性格があり、(4)は医療保険財政の仕組みとして当面はこれ以外はない。(3)もナショナルミニマムの一部としての性格を有していると思われるが、これは吟味が必要だ。「安い医療費」とは何なのか。自己負担額が安いということなのか、自己負担額と医療給付を合わせた医療費総額が安いということなのか。医療費総額が安い分には越したことはないが、自己負担額だけが安いままだとなると話は違ってくる。
国民皆保険制度は1960年代初頭から始まったもので、既に半世紀が過ぎている。その間、医療事情は飛躍的に好転し、今では世界最高の医療サービス水準と言われている。しかし、医療費を巡る状況は暗転し始めて久しい。国家財政の逼迫に連動して、医療保険財政も危機的状況にある。そうなると、医療を巡るナショナルミニマムの概念を修正していかなければならないのは明白だ。それは即ち、上述(3)の「安い医療費で高度な医療」という部分の見直しであり、患者の自己負担率の引上げである。時代の変遷とともに、ナショナルミニマムの概念も変わっていくものだ。
<資料>
(出所:厚生労働省)
「患者負担は国民医療費の12.7%と非常に小さくなっている」と書かれている。この比率が大きいか小さいかの基準は明確ではないが、これは時代によって変わる概念ではなかろうか。財政逼迫下では、明らかに「非常に小さくなっている」と言える。ここでは、患者負担率を引き上げることで医療保険財政負担率を引き下げるべきだ、という趣旨だろう。また、国民皆保険制度の特徴として次の4点が挙げられている。
(1)国民全員を公的医療保険で保障。
(2)医療機関を自由に選べる (フリーアクセス)
(3)安い医療費で高度な医療。
(4)社会保険方式を基本としつつ、皆保険を維持するため、公費を投入。
この中で、医療保険財政の持続可能性という視点で最も注視すべきなのは、どれであろうか。(1)と(2)は必要最低限の医療サービス(ナショナルミニマム)の根幹として性格があり、(4)は医療保険財政の仕組みとして当面はこれ以外はない。(3)もナショナルミニマムの一部としての性格を有していると思われるが、これは吟味が必要だ。「安い医療費」とは何なのか。自己負担額が安いということなのか、自己負担額と医療給付を合わせた医療費総額が安いということなのか。医療費総額が安い分には越したことはないが、自己負担額だけが安いままだとなると話は違ってくる。
国民皆保険制度は1960年代初頭から始まったもので、既に半世紀が過ぎている。その間、医療事情は飛躍的に好転し、今では世界最高の医療サービス水準と言われている。しかし、医療費を巡る状況は暗転し始めて久しい。国家財政の逼迫に連動して、医療保険財政も危機的状況にある。そうなると、医療を巡るナショナルミニマムの概念を修正していかなければならないのは明白だ。それは即ち、上述(3)の「安い医療費で高度な医療」という部分の見直しであり、患者の自己負担率の引上げである。時代の変遷とともに、ナショナルミニマムの概念も変わっていくものだ。
<資料>
(出所:厚生労働省)
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