舘野さんが3年前に脳出血で右半身不随になったということを聞いた全国のファンはとても悲しみ心配をした。舘野さんは2年半に及ぶ苦闘の日々を不屈の精神でのりきって、左手による演奏会で復帰を果たした。舘野さんの強靭な精神力は驚きと感動、希望を沢山の人々に与えた。そしてテレビなどでもドキュメンタリ-として何度も放映された。
今日、札幌キタラホ-ルで日本フィルハ-モニ-との共演がある。
昨日から札幌入りし、舘野さんを囲んでファンクラブ北海道の集いが札幌・伏見の「エルム・ガ-デン」で開催された。
会場は緑に包まれた広大な日本庭園が私たちを迎えてくれた。室内は50年以上の歴史を物語る様な太い柱や調度品。とても落ち着いた雰囲気のくつろぎ空間にゆったりと浸ることが出来た。
参加された皆様方もファンクラブの方達がほとんどで、この会でなければお会いできない方もいるのでなつかしさと温かさでとても和やかな雰囲気だった。
和食をベ-スとした美味しいお料理に舌鼓を打った後は舘野さんのお話と演奏に入った。
最初に演奏した曲は吉松隆氏が舘野さんの為に作曲した「タピオラ幻景」という曲。これは5つの組曲で出来ている。光、森、水、鳥、風とフィンランドの自然を彷彿させるタイトル。
吉松氏はこの曲を作曲する時、イメ-ジを湧かせるために気候風土が似ている北海道を訪れたと言う。
舘野さんの演奏は太陽の隙間から覗いた光が差し込むように始まり、時には激しく時にはリズムカルに楽しげに演奏した。左手だけで織り成す音の世界はじっと目をつぶって聴いているとあたかも両手で弾いているかのような錯覚を覚えることも多々あった。左手だけの演奏が確実に舘野さんの中で実力となっていることがよく分かった。
このタピオラ幻景は今年の2月に初演してから今までに20回演奏。9月1日にはフィンランドでも初演し大変好評を博したと言う。
(タピオラというのはフィンランド語で「森の精が住む所」という意味)
舘野さんはこの様なサロンコンサ-トの時は色々なお話をして下さる。
その中の一つ。
筑紫哲也キャスタ-と対談した時のこと。筑紫さんが「左手だけで演奏すると言うのはピアノは独自の楽器になるのですね」とおっしゃたんだそうです。
ピアノというのは両手で演奏する場合は高音と低音の音を一緒に出すことができるけれど、左手だけの演奏だと一緒に出すことはできない。ギタ-などと同じ奏法になるという。う~ん。今まで考えたことがなかったけれどそういえばそうですね。
舘野さんの演奏が終った後はそれぞれに歓談したり、日本庭園をお散歩したり、記念写真を撮ったり至福のひとときを過ごした。
またこの時HBCテレビ局が取材に来た。
9月21日(水)午後6時20分頃から「テレポ-ト2000」で放映される。
北海道にお住まいの方はお見逃しのないように!!
*私がフィンランドと関わりを持つようになったのは、今から20年前に舘野泉さんの「ファンクラブ北海道」の事務局を4年間してからであった。それまでは余りフィンランドの国のことについては知りませんでしたが、今はフィンランドにすっかりはまっています。
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