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第1話(2)

 ビーグル号航海の旅へ(2)

 私はロバート・フィッツロイ、イギリス海軍中佐である。
このたび、海軍の測量艦ビーグル号の艦長に再任命された。

 ビーグル号の主な任務は、南アメリカ沿岸水路の測量である。
その後、オセアニア、インド洋でも測量を行う。

 5年間をかけ、地球を一周する大航海だ。

 近年、南アメリカ諸国はスペインやポルトガルのくびきを断ち切り、独立した。
わが大英帝国はこれらの諸国を支援し、友好関係を築いている。


 我が祖国は、海外において、世界帝国を築いていたスペインを撃ち破り、今世紀初めにはライバルのフランスを蹴落とした。
続いてオランダも退け、今や世界に冠たる大帝国を創りつつある。

 それに重要な役割を果たしたのは、世界最強の、わが国王陛下の艦隊だ。
制海権を握ることにより、我が国は世界に広がる植民地や各国と貿易することができ、発展しているのだ。

 私が王立海軍学校生だったとき、たびたび教官から、10余年前に我が艦隊がフランス、スペイン連合艦隊を破ったトラファルガー岬沖海戦の話を聞かされた。

 「ネルソン提督率いる我が艦隊は、敵艦隊の単縦陣に真横からぶつかっていったんだ。」
「まさに肉を切らせて骨を切る戦法で、敵艦隊を壊滅させることができた。」
「ネルソン提督は戦死されたが、我が艦隊将兵の日頃の鍛錬と気迫がこの勝利をもたらしたのだ。」

 卒業後、海軍士官として3隻の軍艦に乗り込み、我が帝国のシーレーン防衛にあたった。
そして2年前、ブラジルに寄港したとき、突然ビーグル号の艦長に任命された。
ビーグル号は南アメリカ南端水域の困難な測量を行っていたが、艦長が自殺したため、急遽その任務を引き継ぐことになったのだ。

 そのため、今回がビーグル号を指揮する2回目となる。

 参考図:「イギリス帝国の歴史」、秋田茂、中央公論新社、2012
     
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