ビーグル号は排水量242トン、全長28メートル、3本マストの帆船だ。
測量艦とはいえ軍艦で、大砲6門を装備している。
士官と兵65名が乗り、さらにダーウィンのような専門家が9名おり、かなり手狭だ。
プライス艦医は、もう年配の気さくな人だった。
「フィッツロイは有能な艦長だが、気性が激しく、気むずかしい。政治や信仰の話はしないように。」
「長期の航海なので、皆の健康管理が大仕事だ。」
「毎日のライムジュースと歯磨きは忘れるな。虫歯になったら、痛い目に遭うぞ。」
大西洋に出るとビーグル号は激しい波のうねりにもまれだし、私はひどい船酔いになってしまった。
ベッドに横になっていると、艦長がやってきて、私に一冊の本を手渡した。
ライエルの「地質学原理」だ。
「読んでみたまえ。私は、彼の言うように、地球の変化が小さな変化の積み重ねで今のようになった、とはとても信じられないがね。」
「聖書の言うように、天変地異により、旧い世界から一挙に、今の世界に変わったのだよ。」
「私は、この測量行でノアの言う“大洪水”の形跡が見つけられたら、と思っている。」
私は気分を変えようと部屋を出て、デッキで前方に無限に広がる大海原を見つめた。
“人間の存在など地球の歴史を考えたら、小さいものだ。”
“この地球の仕組みを知ろうなどとは、身の程知らずの行為なのだろうか?”
参考図:「ダーウィンと進化」、ストーンハウス、玉川大学出版部、1991
***パソコン修理につき、次回配信は遅れます。ご容赦を!****
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