6.セオドア・ホールの動機
ホールのソ連への原爆情報提供は、上からの指令によるものではなく、
自分の信念に基づく、自主的なものだった。
従って、情報の対価は受け取っていない。
〇動機の推定
・原爆の破壊力の大きさを知る。
・アメリカが、この究極の兵器を独占したら、ナチス・ドイツのように
世界の軍事的脅威になるのではないか。
・アメリカの核の独占を壊せば、恐怖の均衡により、
平和が保たれる。
・アメリカと敵対すると予想されるソ連が原爆を開発すれば、
アメリカの独占は失われる。
・ソ連へ原爆情報を提供する。
「かなり幼稚な論理であり、早熟な天才科学者の思い込みがあったと思われる。」
戦後、ホールはスパイ容疑でFBIの取り調べを受けたが、告発を免れた。
しかし、50年後、ホールは、ソ連への原爆情報提供は事実であった、と認めている。
彼は、ロスアラモスを離れた後、シカゴ大学で生物学の研究に転向し、
数々の業績をあげている。
参考図:Wikipedia、セオドア・ホール