4.原爆の起爆方法
爆弾として使用するためには、核分裂物質に高い衝撃圧を加え、
核分裂の連鎖を起こして、爆発を生じさせなければならない。
2つの方式が試みられた。
A 砲身方式(ガンバレル方式)
B 爆縮方式(インプロ―ジョン方式)
Aは単純な方式で、臨界量に達していないウラン235同士を爆薬の衝撃圧で
衝突させる。臨界に達したウラン235は核分裂の連鎖を起こし、爆発する。
この方式は、ウラン235では成功したが、プルトニウムでは不発に終わった。
プルトニウムに、別の同位体が含まれていたためだった。
Bは、臨界に達していないプルトニウムに、全周囲から、爆薬の爆発による
衝撃波を加える。プルトニウムはその衝撃圧により、臨界を起こし、爆発する。
短時間(マイクロ秒)で衝撃波をプルトニウムに集中できれば、
別の同位体が反応する前に、臨界を起こすことができる。
Bは理論上可能だが、実現のためには、一点に衝撃波を集中させる、
という難題が開発チームの前に立ちふさがった。
この難題を最終的に解決したのは、やはりマンハッタン計画に加わっていた
天才数学者、フォン・ノイマンである。
爆薬の配置と衝撃波に関する理論式を立て、複雑な数値計算を10か月
かけて行い、結果を出した。
「爆薬を、プルトニウムを中心とする32面体の表面に配置すれば、
衝撃波が中心に集まる。」
参考図:Wikipedia、核兵器の歴史