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第2話(3)

 ティコとケプラー(3)

 ある日、ハンスはティコの部屋に呼ばれた。
ティコの隣には、青白い顔をした神経質そうな青年が座っていた。

 「こちらはグラーツで大学の先生をしていた数学の天才、ヨハネス・ケプラーさんだ。」
「今日から私の助手として、ここで働いてもらう。」

 「仕事は、今まで私が集めた観測資料のとりまとめだ。」
「お前は記録表になれているので、先生の手伝いをするように。」

 ハンスは大量の資料をケプラーの部屋に運び、整理を始めた。
まず、対象星別、年月順に分類する。

 ケプラーは最低限度のことしか喋らず、書類に没頭し、ペンを走らせる。

 しばらくして、ケプラーは火星の運行軌跡に注目した。
「何なのだ、この動きは。逆行しているぞ。」
さらに詳細に調べ、火星の動きをまとめた。

 「ティコ、この火星の動きは、あなたの宇宙体系(地球を中心に、5つの惑星を従えた太陽が回っている)では説明できません。」
「火星の軌道が太陽の軌道を突き抜けてしまいます。」
「そんなはずはない、もっとよく調べろ!」


 ティコとケプラーは正反対の性格だった。
よく、ケプラーは頬を引きつらせ、部屋に戻ってきた。
「あの頑固者め、事実を認めようとしない。」

 その後、ハンスは小声で呟いたケプラーの言葉を聞き取った。
“しかし、このティコの観測資料は是が非でも全部手に入れ、私の研究に役立てるぞ!”

 参考図:「ヨハネス・ケプラー」、アーサー・ケストラー、河出書房新社、1982
     
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