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第5話(3)

撤退(3)

 敵に包囲されたコロンバンガラ島の防衛は、何の意味もなくなってしまった。艦隊司令部は同島を守備している南東支隊、1万2千名を、大発数十隻から成る機動舟艇部隊で転進、実際は撤退させる、「セ号」作戦を発動した。

 第8艦隊は、この作戦用に巡洋艦1隻、駆逐艦8隻を牽制部隊として、駆逐艦4隻を輸送部隊として投入する。また、大発の護衛として10隻の艦載水雷艇と魚雷艇が加わる。機動舟艇部隊はブーゲンビル島ブインから、チョイセル島を中継地としてコロンバンガラ島に向う予定だ。

 コロンバンガラ島を取り囲む連合軍艦隊は、巡洋艦5隻と駆逐艦10隻、さらに数十隻の魚雷艇だ。これらがうろうろしている数十キロの海域を、低速の大発群で突破しなければならない。どれだけの犠牲がでるのだろう。

 大発は最大兵員120人しか積み込めないので、2往復が必要だ。速力は9ノット、今回の武装は強力で、固定式の3インチ対戦車砲×1、13ミリ機銃×2、擲弾筒×1を装備した。

 ブインを中心とした日本艦隊の動きが活発になり、それにつられる形で連合軍艦隊はコロンバンガラ島北方に引き寄せられた。この隙に基地隊員を乗せた魚雷艇隊4隻は対岸のチョイセル島スンビ基地に移動した。

 昼間は終日、基地上空を敵偵察機が飛びまわっている。移動した翌日、基地近くの入江に隠した舟艇群が発見されて、激しい銃爆撃を受け、大発10隻が炎上、沈没した。
〔参考文献:種子島洋二著「ソロモン海「セ」号作戦」、光人社NF文庫〕

     
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