ある日、マルコはディニス・ディアスという騎士がエンリケ親王の援助の元、西アフリカへの航海を企画していることを、魚市場で聞いた。
矢も楯もたまらず、両親に懇願し、魚舟でリスボン港に行った。
リスボンは目もくらむような大都会だった。
石畳の街中を駆けづり回った。
夕方、ようやく何隻かの帆船が係留されている波止場にたどり着いた。
波止場で一夜を明かした。
翌朝、探検船に乗る船乗りを募集している詰め所に出向く。
航海長のゴンザレスが希望者の面接をしていた。
「お前は漁師だが、大型船に乗ったことはあるのか?」
「はい、帆船の修理に何度か乗り、甲板作業もしました。」
「僕は高所作業が得意で、マストの上でも怖さを感じません。」
歯と手を調べられ、採用となった。
いざとなると、尻込みをする者が多いらしい。
すでに物資の積み込み作業が始まっていた。
食糧や水、ワインやビールの入った多数の樽を転がし、船倉に入れる。
多量のロープ、帆布や修理道具、航海器具、生活用品、医療具、現地住民との交易品もある。
マスケット銃や旋回砲、弓矢や槍などの武器も積み込まれた。
生きたままの豚も船内に追い込まれる。
出航の前夜、同じ甲板員のロドリゴと町に出かける。
波止場近くのバールでビールを飲む。
「昨夜、船もろとも奈落の底に落ちる夢を見たよ。」
「帰ってきたやつがいるんだ、心配するな。」
「金や香料のおこぼれを、この手に握れるかもしれないぞ。」
「神のお恵みを!」
「神のお恵みを!」
参考図:http://www.gregorius.jp/presentation/page_33.html
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