愛しあふ男女 8
小さい二つの心などは消されてしまふ
強い日の光は照りかへして白い矢のやうだ
どこかへ私たちは逃げなければならない
しづかなつめたい風が吹き音楽が聞える場所へ
ある時は虹色の雲がとどまり
夕暮が幕のやうに落ちてくるそのあとには
星が私たちを見つめるやうな
何事もおこらない場所へ逃げなければならない
私たちは すでに 方々から投げかけられてゐる
一歩 歩めば足の下の道ははげしい音をたて
階段からもたくさんの石がころがり落ちる
もんどり打つて落ちかかり来るはげしいもの
お前のやさしい手の中に私の手は支へられ
進めば日の光は白くするどい矢のやうだ