老麗・美しく老いる

「美しく老いる」を余生の目標として、そのあり方を探る。

NO.518野良の地球

2009-06-02 06:10:42 | Weblog
午前2時半、車で帰宅途中、
一瞬、
ライトに照らし出された道端の物に、
はっきりと見覚えがあった。
 
離れの軒下で、
野良猫の子が生まれた。
それを子供が連れてきた。

スペースシャトルが
宇宙と地球との間を盛んに往復した頃の事で、
野良猫の子は、
子供が「テラ」と名付けた。
「地球」という意味である。
 
野良猫の子供は矢張り野良猫で、
人間に食を頼りながらも、
決して許さなかった。

抱く事も触る事も、近づく事さえ嫌われた。
行動は野性的で極めて俊敏、
家の中にいる盗人猫のようだった。

そんな中でも、日中、
ただ1人だけ家に残っていた母には、
比較的心を許していた。
 
冒頭の一節は娘の話。
家から200mも離れている道端で、
テラが死んでいたのだ。
車にはねられたようだ。
どうしてこんな遠くへと不思議だが、
母が緊急入院した道筋だった。

それは、
母が亡くなって、
三七日(みなのか)後の事だった。