老麗・美しく老いる

「美しく老いる」を余生の目標として、そのあり方を探る。

NO.527こじはん

2009-06-11 04:57:26 | Weblog
小学校の農繁期休みは大嫌いだったが、
「こじはん」は楽しみだった。

わが家は、貧農ながら米を作り、
大麦・小麦、ビール麦を作り、
また、養蚕もする農家だったから、
農繁期は寝る間も惜しむ忙しさであった。

この季節、
午前4時半にもなると、
太陽が顔を出す。
養蚕農家の朝は太陽よりも早く、
朝露の中で桑を刈る。
夏蚕は特に忙しい。

この季節、午後7時になって、
やっと太陽が沈む。
小麦農家の夜は太陽よりも遅く、
黄昏時まで麦を刈る。梅雨の晴れ間は特に忙しい。

わが家は、母子家庭だったから、
わが家の農繁期に手伝ってもらうために、
毎年、この時期になると
親戚の麦刈りや田植えを私が手伝った。 

「おーい! こじはんにすべえーよ!」

 畦道から、大声がする。
「こじはん」は、
「おにぎり」や「ふらい」など。
一日14時間労働の時期の「おやつ」である。
手で差し招かれるのを待つ迄もなく、
真っ先に痛い腰を伸ばし
上がるのは大人の後について上がる。