アキちゃんが来た。
「何もできないけど、チーズケーキ作って来たの」
アキちゃんの手作りケーキは美味しい。
見た目は素人の作品だけど、味はプロ並みだ。
いや、プロ以上だ。
しっとりと舌にまとわりつくチーズの感触に、杏の香り。
おいしい。
ほかの客にも分けたが、みんなその美味しさに驚いてしまう。
ミユキちゃんからメールが入る。
「今日も仕事。誰かいる?」
「アキちゃん」
「わーっ、会いたい。アキちゃんは14日に来るのかどうか聞いてもらえる?」
「もちろん」
「よかった、じゃぁ会えるね」
こんなメールもうれしい。
昨夜は盛り上がったように思えるが、僕は冷めていた。
今夜は何となくうれしい。
僕の誕生日だからというわけではなく、いつものように、僕に配慮してくれる。
アキちゃんは、僕が動けないときに、ガジュマルの木や、起き上がり小坊師をプレゼントしてくれた人だ。
いつも気を使ってくれる。
素敵な人だ。
そしてアキちゃんが僕たち夫婦を誘ってくれた。
「もし、邪魔じゃなかったら、11日の誕生日に、イタリアンをごちそうさせてください」
うれしい。
本当にうれしい。
11日は、僕の誕生日でもあるが、結婚記念日でもある。
娘も嫁ぎ、女房もさみしいし、夫婦の会話もはずまない。
そんなときのアキちゃんの言葉と気持ちは本当にうれしい。
じつは、ミユキちゃんにも似たような誘いを受けていた。
ただ、11日ではないので、時間が合わなかった。
だから、12月に延期してもらった。
僕はこの二人と居る時が一番幸せだと感じる。
安心感と安堵感。
この二人にしかない優しさだ。
心から祝ってくれる人がいる。
昨夜の人たちが祝ってくれなかったということではないが、
この二人には心を感じる。
僕はアキちゃんによく似た人を知っていた。
もう20年以上も昔のことだ。
まだ、教壇に立っていたころだ。
小柄の素直な女の子だった。
僕が35歳で、彼女は22歳だった。
アキちゃんを見ると彼女を思い出す。
そして、アキちゃんには、彼女のような人生を送ってほしくないと心から思う時がある。
ボランティアのサークルで知り合った彼女は、純粋だった。
何をするにも一生懸命で、本当にアキちゃんに似ている。
そんな彼女を抱いた。
好きだと言われて、そのままホテルに行った。
躊躇の表情は演出だと思っていた。
拒否するでもないのに、体に力が入り、ぎこちない動きが気になった。
そして、抱いて初めてバージンだと知った。
僕も若かった。
教職の身で、狂ったように彼女を抱いた。
毎日毎日、彼女を抱いた。
そして2年ほどで、自然に離れて行った。
しかし、僕が40歳、発病の直後だったと思う。
偶然、病院で会った。
結婚していた。
そして再び、逢瀬が復活してしまった。
僕が入院しても、見舞いを装って、僕の息子を口で果てさせてくれた。
彼女は、離婚した。
ご主人とのセックスでは満足できないからと言った。
田舎に帰った彼女は今頃どうしているのだろう。
僕が彼女の人生を狂わせた。
アキちゃんには、そんな男とは付き合ってほしくない。
アキちゃんを見ると、僕はいつも、彼女のことを思い出すし、後悔してしまう。
情けない男だ。
最後までいたアキちゃんを見送って、幸せになってほしいと願う。
今日は、一人で寝よう。
僕の心は、それでも幸せを感じていた。
「何もできないけど、チーズケーキ作って来たの」
アキちゃんの手作りケーキは美味しい。
見た目は素人の作品だけど、味はプロ並みだ。
いや、プロ以上だ。
しっとりと舌にまとわりつくチーズの感触に、杏の香り。
おいしい。
ほかの客にも分けたが、みんなその美味しさに驚いてしまう。
ミユキちゃんからメールが入る。
「今日も仕事。誰かいる?」
「アキちゃん」
「わーっ、会いたい。アキちゃんは14日に来るのかどうか聞いてもらえる?」
「もちろん」
「よかった、じゃぁ会えるね」
こんなメールもうれしい。
昨夜は盛り上がったように思えるが、僕は冷めていた。
今夜は何となくうれしい。
僕の誕生日だからというわけではなく、いつものように、僕に配慮してくれる。
アキちゃんは、僕が動けないときに、ガジュマルの木や、起き上がり小坊師をプレゼントしてくれた人だ。
いつも気を使ってくれる。
素敵な人だ。
そしてアキちゃんが僕たち夫婦を誘ってくれた。
「もし、邪魔じゃなかったら、11日の誕生日に、イタリアンをごちそうさせてください」
うれしい。
本当にうれしい。
11日は、僕の誕生日でもあるが、結婚記念日でもある。
娘も嫁ぎ、女房もさみしいし、夫婦の会話もはずまない。
そんなときのアキちゃんの言葉と気持ちは本当にうれしい。
じつは、ミユキちゃんにも似たような誘いを受けていた。
ただ、11日ではないので、時間が合わなかった。
だから、12月に延期してもらった。
僕はこの二人と居る時が一番幸せだと感じる。
安心感と安堵感。
この二人にしかない優しさだ。
心から祝ってくれる人がいる。
昨夜の人たちが祝ってくれなかったということではないが、
この二人には心を感じる。
僕はアキちゃんによく似た人を知っていた。
もう20年以上も昔のことだ。
まだ、教壇に立っていたころだ。
小柄の素直な女の子だった。
僕が35歳で、彼女は22歳だった。
アキちゃんを見ると彼女を思い出す。
そして、アキちゃんには、彼女のような人生を送ってほしくないと心から思う時がある。
ボランティアのサークルで知り合った彼女は、純粋だった。
何をするにも一生懸命で、本当にアキちゃんに似ている。
そんな彼女を抱いた。
好きだと言われて、そのままホテルに行った。
躊躇の表情は演出だと思っていた。
拒否するでもないのに、体に力が入り、ぎこちない動きが気になった。
そして、抱いて初めてバージンだと知った。
僕も若かった。
教職の身で、狂ったように彼女を抱いた。
毎日毎日、彼女を抱いた。
そして2年ほどで、自然に離れて行った。
しかし、僕が40歳、発病の直後だったと思う。
偶然、病院で会った。
結婚していた。
そして再び、逢瀬が復活してしまった。
僕が入院しても、見舞いを装って、僕の息子を口で果てさせてくれた。
彼女は、離婚した。
ご主人とのセックスでは満足できないからと言った。
田舎に帰った彼女は今頃どうしているのだろう。
僕が彼女の人生を狂わせた。
アキちゃんには、そんな男とは付き合ってほしくない。
アキちゃんを見ると、僕はいつも、彼女のことを思い出すし、後悔してしまう。
情けない男だ。
最後までいたアキちゃんを見送って、幸せになってほしいと願う。
今日は、一人で寝よう。
僕の心は、それでも幸せを感じていた。
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