日時:4月6日
映画館:横川シネマ
ワタシの好きな映画傾向として「崩壊する組織とその過程で混乱する人々」というものがある。その顕著な例として「ヒトラー/最後の十二日間」と「日本のいちばん長い日」が挙げられる。
さて、そんなドイツ第三帝国も風前の灯火となった第二次世界大戦末期、憲兵隊に追われるドイツ空軍兵士ヘロルトが偶然にも空軍将校の制服を発見し、空軍大尉と勘違いされたことを契機に偽りの権力をエスカレートさせていくというストーリー。
ヘロルトは敗残兵となった連中に頼られ、彼らをかき集めているうちに犯罪収容所にたどり着き、口八丁手八丁と暴力的な手段で収容所の実権を掌握する。
とこれが実話なのが恐ろしいところなのだが、ヘロルトの犠牲者たちが基本ドイツ人なので、終戦間際の混乱期に起きた内輪もめと捉えられ、知られていなかったのではないだろうか。
先に触れた暴力的な手段がなかなかなもので、ナチの非道さを表した映画とも言えるのだが、個人的には権力に対する寓話と捉えた。
たどり着く犯罪収容所では収容所内部は法務省が管轄し、警備は突撃隊が管理している。ナチスドイツでは一つの組織に強大な力を持たせないようにするため、複数の官僚組織がお互いに牽制しあうよう所轄が決められていた。
複数の組織が1つの案件に関わると、当然そこに権力の空白地帯が生じるワケで、ヘロルトも実は全く無関係な空軍士官であるにも関わらずそこに介入できる。
その一方で虎の威を借りようとする輩も出て来る。収容所を掌握する突撃隊は主人公を焚き付け大管区指導者(ガウライター)を巻き込むことで、自身の目的を達成しようとする。
また、周囲の人物たちも主人公たちが暴走していくのを、何かおかしいと徐々に気づきながらも誰も止められない。事態が混乱する中、大きな歯車が動き出すと一個人では止められなくなってゆく。
先に挙げた「崩壊する組織とその過程で混乱する人々」のいち風景とも言えるが、こういった話はナチスドイツに限ったことではなく、組織で働くと何かしら体験する話ではないだろうか。
日常生活でヘロルト化した人間を目にするし、逆に誰もがヘロルト大尉になりうる要素を持ち合わせているのではないかとも思う。
ところでドイツ映画の本作、登場兵器は少ないものの軍装類は見ていて飽きない。それ以上に対空機関砲の設置シーンは燃えるなあ。
映画館:横川シネマ
ワタシの好きな映画傾向として「崩壊する組織とその過程で混乱する人々」というものがある。その顕著な例として「ヒトラー/最後の十二日間」と「日本のいちばん長い日」が挙げられる。
さて、そんなドイツ第三帝国も風前の灯火となった第二次世界大戦末期、憲兵隊に追われるドイツ空軍兵士ヘロルトが偶然にも空軍将校の制服を発見し、空軍大尉と勘違いされたことを契機に偽りの権力をエスカレートさせていくというストーリー。
ヘロルトは敗残兵となった連中に頼られ、彼らをかき集めているうちに犯罪収容所にたどり着き、口八丁手八丁と暴力的な手段で収容所の実権を掌握する。
とこれが実話なのが恐ろしいところなのだが、ヘロルトの犠牲者たちが基本ドイツ人なので、終戦間際の混乱期に起きた内輪もめと捉えられ、知られていなかったのではないだろうか。
先に触れた暴力的な手段がなかなかなもので、ナチの非道さを表した映画とも言えるのだが、個人的には権力に対する寓話と捉えた。
たどり着く犯罪収容所では収容所内部は法務省が管轄し、警備は突撃隊が管理している。ナチスドイツでは一つの組織に強大な力を持たせないようにするため、複数の官僚組織がお互いに牽制しあうよう所轄が決められていた。
複数の組織が1つの案件に関わると、当然そこに権力の空白地帯が生じるワケで、ヘロルトも実は全く無関係な空軍士官であるにも関わらずそこに介入できる。
その一方で虎の威を借りようとする輩も出て来る。収容所を掌握する突撃隊は主人公を焚き付け大管区指導者(ガウライター)を巻き込むことで、自身の目的を達成しようとする。
また、周囲の人物たちも主人公たちが暴走していくのを、何かおかしいと徐々に気づきながらも誰も止められない。事態が混乱する中、大きな歯車が動き出すと一個人では止められなくなってゆく。
先に挙げた「崩壊する組織とその過程で混乱する人々」のいち風景とも言えるが、こういった話はナチスドイツに限ったことではなく、組織で働くと何かしら体験する話ではないだろうか。
日常生活でヘロルト化した人間を目にするし、逆に誰もがヘロルト大尉になりうる要素を持ち合わせているのではないかとも思う。
ところでドイツ映画の本作、登場兵器は少ないものの軍装類は見ていて飽きない。それ以上に対空機関砲の設置シーンは燃えるなあ。
題名:ちいさな独裁者 原題:The CAPTAIN (Der Hauptmann) 監督:ロベルト・シュヴェンケ 出演:マックス・ヒューバッヒャー、ミラン・ペシェル、フレデリック・ラウ |
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