kamacci映画日記 VB-III

広島の映画館で観た映画ブログです。傾向としてイジワル型。美術展も観ています。

ザ・フォッグ/ゼイリブ

2022年02月23日 | ★★★☆☆
日時:2月12日
映画館:サロンシネマ

ジョン・カーペンター・レトロペクティブ、「ニューヨーク1997」に続く残りの2作は「ザ・フォッグ」と「ゼイリブ」。



「ザ・フォッグ」
創立100周年を迎えた港町アントニオ・ベイ。しかし、同町は金銀を積んだ船を岩礁に誘導して沈没させ、引き上げた金銀で築かれた暗い過去を持っていた。100周年式典の夜、濃霧とともに沈没船の亡霊が町に襲い掛かる。

怨霊が濃霧とともにやってくるというアイディアはカーペンターらしく素晴らしいのだが、逆に脚本があまいという点もカーペンターらしい。亡霊のターゲットが町なのか沈没事件の子孫なのかイマイチはっきりしないし、ジェイミー・リー・カーティスのキャラクター造形は強引、実の母親であるジャネット・リーは何の役なのか最後まで分からない。亡霊も元々謀殺された犠牲者なので物語全体にはっきりとした悪役がいない。

が、それを補って余りあるのが、やはり夜の雰囲気と霧の演出、そしてカーペンターの音楽だ。霧の中に立ち並ぶ亡霊のビジュアルのインパクトは素晴らしい。物語の甘さを力技で押し切ってしまう。

主人公はこのころはまだヒロインだったエイドリアン・バーボー。こうやって見ると整った顔立ちだが、この後はそのキツさを活かして悪女・猛女役で大活躍。「アルゴ」でニセ映画の銀河の魔女役で登場した時は嬉しかったなあ(笑)

評価は★★★☆☆


「ゼイリブ」
今回上映された3作の中で唯一劇場で観た作品。当時、ロディ・パイパーとキース・デイビッドの延々と続くプロレスシーンに唖然としてしまい、それ以来見ていなかったので30年ぶりの再見。

流れ者のブルーカラーの主人公が偶然手に入れたサングラスを通して見た世界は、人間を装った異星人に乗っ取られ、大衆はヤツらに搾取されていた。

とまたもやワンアイディアで突っ走るカーペンター映画。全盛期にあった夜の描写も少なく、物語も一本調子。警官に化けている異星人に殺されそうになったことから街中にいるヤツら(見た目は一般人)を射殺しまくる主人公はさすがにヤバすぎるだろう。

なのだが、あれから30年、本作で描かれた世界がまさに今現実になっている。地球の富裕者層・指導者層とヤツらは手を組んで、地球の環境を改変し、大衆はメディアによって消費を喚起され、ゆりかごから墓場まで首根っこをつかまれ、貧困層は一層貧困になり、富裕者層は一層富裕になる。
もう、今の世の中を予言したかのような話でちょっと見る目も変わったな。これから革命も起きず搾取され続けるなら、いっそ南極から飛び出した「遊星からの物体X」によって27,000時間で人類が食い尽くされる方がよっぽどマシかとも思えたり・・・。

評価は★★★☆☆
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