kamacci映画日記 VB-III

広島の映画館で観た映画ブログです。傾向としてイジワル型。美術展も観ています。

ひろしま美術館特別展「東広島市立美術館所蔵 版 技と美の世界」

2014年08月03日 | 展覧会
「東広島市立美術館所蔵 版 技と美の世界」
会場:ひろしま美術館
会期:2014年7月26日~8月31日

いつのころからか、版画の展覧会に興味が沸きつつあったのだが、特に今回は手法ごとに解説を加えた展示会だという。「印象派を超えて 点描の画家たち」でもそうだったが、手法にフォーカスした展覧会はワタシのように作品そのものより作家の思想や作品の成立過程に関心を寄せてしまう者にとっては非常に面白い。

今回の展覧会は東広島市立美術館が所蔵するコレクションが中心となっているが、言っちゃ悪いが、あの美術館にそんなものを隠し持っていたのか!(という展覧会までの経緯は一番最初に解説される。)広島市内3美術館もさることながら、美術館群としての展示会がどんどん実施されるのは良いことだと思う。

展覧会は凸版、凸版(小口木版)、凹版、孔版(シルクスクリーン)、平版(リトグラフ)ごとに分類され、特徴的な作品が解説される。この解説が多少、専門用語に基礎知識が必要だが、まあまあ素人にも分かりやすく、関心が深まる。

ワタシが特に楽しんだのは凸版コーナーだったが、元々この技法が好きなのには、まず、デフォルメされた形にあるのだと思う。計算されつつもざっくりした形が子ども心をくすぐるんだろう。
もっと言えば、マカロニウエスタンのタイトル字に通じるものがあるのは間違いないのだが。(マカロニウエスタンのタイトル字のフォント「Eastwood」。マカロニ野郎はこのフォントでビデオやDVDのパッケージを手書きする。(本当))

もう1つは自分がクラフトとか手作業が好きなので、彫りという工芸部分に惹かれる部分も大きい。作品に残った彫刻刀の跡に作家の思いとか使われた道具とか様々なものを読み取ってしまう。

愛嬌あふれる畦地梅太郎の作品なんかいいし、関野準一郎の「三千院」はシンプルなんだけど色の深みがたまらない。(「京都~、大原 三千院~」)

無知で知らなかったのだが、今回、強烈に印象に残ったのが凸版(木口木版)の技術。木版なのにエッチングのような細かい彫りに製作者の強い意志が感じられて、空恐ろしいものさえある。モノトーンな作風も印象的。

会場の随所に彫刻刀やバレン、版木などの制作道具も展示され、工具大好きなワタシはそれもまた楽しい。
地味だけど、なかなか面白い展覧会だった。


【ミュージアムショップで買った畦地梅太郎のポストカード。ワタシじゃない。】

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