kamacci映画日記 VB-III

広島の映画館で観た映画ブログです。傾向としてイジワル型。美術展も観ています。

イミテーション・ゲーム エニグマと天才数学者の秘密

2015年04月22日 | ★★★☆☆
日時:4月17日
映画館:サロンシネマ

とにかくくどい、実にくどい映画。(理由は後述)

第二次大戦中、ナチのスーパー暗号「エニグマ」の解読に取り組んだ天才数学者、アラン・チューリングの物語。昔から暗号解読の話は好きなので、実は天才数学者の「秘密」も既に知った上での鑑賞となった。

さて、戦争モノの読み物としては面白いのに、なかなか映画にならないのが「爆弾処理」と「暗号解読」だと思う。設定の緻密さと敵との知恵比べがなかなか映像にはしにくいんだろうな。

この映画も残念ながら、エニグマのシステムそのものについては触れられず、なんとなく「すごいシステム」で片付けられているのが残念。

ストーリーはチューリングの少年時代、第二次大戦中、戦後と3つのパートに別れて展開し、そこで暗号解読と天才数学者の秘密とその謎解きを同時に語ろうとするのだが、ちょっとそこに無理があった。情報量の多い話を多面的に語ろうとするから、ひとつひとつのセリフが説明調でクドイ。特にラストの解説文など長過ぎる。

このくどさにカンバーバッチがあの顔とエキセントリックなキャラクターで拍車をかける。疲れるなあ・・・。

映画後半で暗号解読に成功、それから情報の扱いを巡る駆け引きだの二重スパイ疑惑だのが始まり、その辺に「さすがイギリス。」とワクワクさせられるだが、そこから先にはあまり踏み込まないのも残念。それでなくてもいっぱいいっぱいのストーリーなので、その扱いは正解だったのかも。

一方、ディテールはすごく細かい。かなりリサーチしたことが画面中からにじみ出ている。この映画の見どころといってもいい。アカデミー賞美術賞ノミネートも納得。
特に初期のコンピューターであるボンブの歯車がカチカチと動き出すシーンやエニグマのスクランブラーを合わせるシーンなんて鳥肌もの。(エニグマは多分、本物。)隅っこに出ている当時のイギリス軍のトラックもええ感じ。
惜しむらくは予算の関係か、そのスケールの小ささ。ボンブもエニグマも暗号解読スタッフも映画の何十倍もあったらしいし、実際、半分手作業で暗号解読していたのだから、その人海戦術のスケール感は欲しかったところ。さも6人で全て解読できたかのような表現は、ある意味、名もなき先人に対して失礼だ。

キャスティング的にはキーラ・ナイトレイもいいのだが、やはり当代きってダブルのスーツとケースオフィサー役が似合うマーク・ストロングがすこぶるいい。独特の低い声で作戦を仕切るあたり、上から目線の嫌らしさがよく出ている。
あとはチャールズ・ダンス。「ラストアクションヒーロー」の殺し屋ベネディクトが最高に良かったですなあ。
あの頃から老けていたが、さすがにもう爺ちゃん。(で、中佐役って出世に見放された?)






題名:イミテーション・ゲーム エニグマと天才数学者の秘密
原題:THE IMITATION GAME
監督:モルテン・ティルドゥム
出演:ベネディクト・カンバーバッチ、キーラ・ナイトレイ、マシュー・グード、マーク・ストロング、チャールズ・ダンス

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