◆自由な投句箱/花冠発行所◆

主宰:高橋正子・管理:高橋句美子・西村友宏

今日の秀句/5月1日~5月10日

2023-05-01 14:26:58 | Weblog
5月7日(1句)

★葉桜を生き生きさせて雨の降る/多田有花
雨に降られて葉桜は、葉の緑がつやつや光り出す。それが生き生きして見えるのだ。(髙橋正子)

5月6日(2句)

★軽暖の日かげに入る信号待ち/廣田洋一
「軽暖」は、少し暑さを覚えるあたたかさ。この言葉の「けいだん」の響きには、それらしい感覚がある。人は、少し暑さを覚えれば信号待ちの時間にも、自然に日かげを求める。微妙な感覚がよく表現されている。(髙橋正子)

★雨勝ちのひとい始むる立夏かな/弓削和人
立夏は、雨勝ちの日として始まった。早やも夏の雨らしいそぶりが見える。立夏が感覚的に捉えらている。(髙橋正子)

5月5日(2句)

★天空の子らよ燕の軽やかに/多田有花
「天空の子ら」がやや観念的だが、「軽やかに」に救われている。空を自在に飛ぶ子燕は地にも触れず、まさに「天空の子」。子燕への温かいまなざしを感じる。(髙橋正子)

★役者かと思う化粧や豆の花/桑本栄太郎
役者かと思うような化粧をした人とすれ違った。ふと、ピンクに濃い紅がある豆の花を思ったか。あるいはそこに豆の花が咲いていたか。まなじりに紅を入れた役者を想像してみるのも面白い。そら豆の花でも、そんな役者を想像できそうだ。(髙橋正子)

5月4日(1句)

★ついついと白き筋見せ青すすき/桑本栄太郎
青すすきの葉の真ん中をすっとひと筋の葉脈が通る。これが白い。葉むらとなった青すすきは、白い筋が「ついつい」と見えるのだ。青についついと入る白が初夏らしい。(髙橋正子)

5月3日(2句)

★夏近き城どっしりと街なかに/多田有花
夏近い城は白壁が日を力強く反射し、街の中心にどっしりと座っている。城の印象は白壁の印象によって決まるのではと思える。ましてや白鷺城ともなれば。(髙橋正子)

★あおあおと湖の果てなし春惜しむ/弓削和人
「あおあおとした湖の果て」まで思いを行き渡らせる。それがつまりは春惜しむ心情となる。湖は瑠璃色の青さを誇る田沢湖。髙橋正子)

5月2日(2句)

★プランターの土入れ替へて夏隣/廣田洋一
プランターの土を入れ替えて、夏ものを植える準備。入れ替えた土がいきいきと元気で、夏が近づく嬉しさが、身辺にある。(髙橋正子)

<JR飛騨高山線>
★特急の「ひだ号」行くや桐の花/桑本栄太郎
高々とさく薄むらさきの桐の花の傍を過ぎてゆく「ひだ号」。飛騨へ向かう特急へ飛騨への思いを託す。(髙橋正子)

5月1日(2句)

★春日傘回し信号待つ子かな/小口泰與
春の日差しに開いた日傘をくるくる回し、信号を待っている。そのかわいい仕草をほほえましく見ている作者。(髙橋正子)

★メーデーや古き良き日の労働歌/廣田洋一
私の記憶に古き良き日のメーデーは昭和にある。労働歌は肉体あってこその人間の労働歌の印象が残って、労働歌の意味も大きかったように思う。(髙橋正子)
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7 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
御礼 (小口泰與)
2023-05-04 14:32:55
高橋信之先生、正子先生
4月1日の投句「春日傘」の句を今日の秀句にお取り上げ頂き有難う御座います。
今後ともよろしくご指導のほどお願い申しあげます。
返信する
御礼 (廣田洋一)
2023-05-04 17:54:20
高橋信之先生
  正子先生
いつも懇切にご指導いただき有難うございます。
5月1日の「メーデーや古き良き日の労働歌」及び5月2日のプランターの土入れ替へて夏隣」を秀句にお選び頂き、その上正子先生には素敵な句評を賜り、真に有難う御座います。
今後とも宜しくご指導の程お願い申し上げます。
返信する
御礼 (桑本栄太郎)
2023-05-04 19:00:15
高橋信之先生、正子先生
5月2日の今日の秀句に「特急の「ひだ号」行くや桐の花」の句をお選び頂き、嬉しいコメントも頂戴しまして大変有難う御座います!!。
嘗て会社の同期会にて今の時季「飛騨高山・穂高ロープウエイ」の旅に行きました。名古屋より高山線に乗り換え飛騨への途中の眼下に薄紫の桐の花の光景が続く所があり、今でも忘れる事が出来ません。その事を想い出して作句しました。
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お礼 (多田有花)
2023-05-08 13:36:01
信之先生、正子先生
「夏近き城どっしりと街なかに」を5月3日の秀句にお選びいただきありがとうございます。
姫路城は姫路の中心市街地のすぐ北に聳え、駅を降りるとすぐ目の前に見えます。
江戸時代なら、さらに遠くから見えたことだろうと想像します。
返信する
御礼 (桑本栄太郎)
2023-05-09 18:41:13
高橋信之先生、正子先生
5月4日の今日の秀句に「ついついと白き筋見せ青すすき」の句を、又5月5日の今日の秀句に「役者かと思う化粧や豆の花」の句をお選び頂き、嬉しいコメントも頂戴しまして大変有難う御座います!!。
「青すすき」の句は、近在の田園を散策していますと良く茂った青すすきを目にします。白い筋がみどりにとても爽やかです。「豆の花」の句は、本来「蚕豆の花」と承知致しております。この花を良く見れば、黒目を剥いたような花であり、歌舞伎役者を想わせます。
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御礼 (廣田洋一)
2023-05-10 11:19:06
高橋信之先生
  正子先生
いつも懇切にご指導いただき有難うございます。
5月6日の「軽暖の日かげに入る信号待ち」を秀句にお選び頂き、その上正子先生には素敵な句評を賜り、真に有難う御座います。
今後とも宜しくご指導の程お願い申し上げます。
返信する
お礼 (多田有花)
2023-05-14 09:22:41
信之先生、正子先生
「天空の子らよ燕の軽やかに」を5月5日の
「葉桜を生き生きさせて雨の降る」を5月7日の
それぞれ秀句にお選びいただきありがとうございます。

夏に入ってから毎週末ごとに雨になっています。
行楽にとってはやや残念な天気ですが、緑はそれで生き生きし、濃さを増していきます。
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