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『支那そば館の謎 裏京都ミステリー』 北森鴻

2024年06月29日 22時16分21秒 | ■読書
北森鴻の連作ミステリ短篇集『支那そば館の謎 裏京都ミステリー』を読みました。
ミステリ作品は『パンドラ'S ボックス』、『狂乱廿四孝/双蝶闇草子』に続き、北森鴻の作品です。

-----story-------------
元怪盗の寺男と慈悲深い住職が、難事件を次々と解決する。
京の風情がてんこ盛りの傑作本格推理!

僕の名は有馬次郎。京都でも指折りの貧乏寺、大悲閣千光寺の寺男だ。
怪盗と呼ばれた過去もあったが、縁あって慈悲深い住職に拾われ、表の世界の住人となった。
厄介なのは、寺に奇妙な事件ばかりが持ち込まれること。
持ち前の身軽さと裏の人脈を駆使、住職の智恵をお借りして、解決にひた走る毎日だ。
京の風情と垂涎の料理の数々も楽しい、本格推理の傑作登場!
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光文社が発行しているミステリ専門誌『ジャーロ』に2002年(平成14年)から2003年(平成15年)に掲載された後、2003年(平成15年)3月に刊行された裏(マイナー)京都ミステリの第1作です。

 ■不動明王の憂鬱
 ■異教徒の晩餐
 ■鮎躍る夜に
 ■不如意の人
 ■支那そば館の謎
 ■居酒屋 十兵衛
 ■解説 大林道忠

元広域窃盗犯にして寺男の有馬次郎と、穏やかな相貌と鋭い観察眼をあわせもつ住職の二人が、みやこ新聞の自称「エース記者」折原けいや、京都府警の碇屋警部と共に、難事件の謎に迫る! 京の風情と人情と、密やかな悪意と……傑作本格推理。

京都を舞台に、銭湯の構造、鯖寿司(棒寿司)、五山送り火、藍染め、町屋建築 等々、本格ミステリに京都文化と密接に結びついたネタをバランス良く織り込んだ作品でしたね……元怪盗である寺男の有馬次郎と洞察力に優れた住職が、京都の大悲閣千光寺で奇妙な事件に立ち向かう様子がコミカルに描かれていました、、、

みやこ新聞の自称「エース記者」折原けいや、京都府警の碇屋警部 等を含めた登場人物たちの軽妙な掛け合いや、京都の料理の描写も魅力的でした……独特の味わいがあり、本格ミステリや京都のことが好きな人にオススメですね。

以下、登場人物です。

有馬 次郎(ありま じろう)
 大悲閣千光寺の寺男。けいからは名前をもじって「アルマジロ」と呼ばれる。
 数年前まで関西一帯を活動範囲にする広域窃盗犯だった。
 身のこなしの軽さなどから大阪府警・京都府警から「怪盗」扱いを受けた。
 大悲閣に忍び込んだところ階段から落ち骨折し、温情ある住職に助けられ、寺男として表の世界に戻ることができた。

折原 けい(おりはら けい)
 京都みやこ新聞文化部の記者。
 折に触れて大悲閣を取り上げる、自称「大悲閣千光寺の守護神」。

住職
 大悲閣千光寺の住職。
 盗みに入った次郎を警察に突き出すこともなく、寺男になるよう諭した。
 洞察力に優れており、時には推測ではあるものの、次郎さえ解けない謎を解くこともある。

碇屋(いかりや)
 京都府警捜査一課の警部。
 常に「警部元気で暇がいい」と標榜し実践に務め、そのくせ重大事犯になるとしゃしゃり出てきては現場を混乱に導く。
 次郎からは「正真正銘の税金泥棒」と評される。

十兵衛の大将
 次郎行きつけの割烹店「十兵衛」の主人。
 懐の寂しい次郎に、手頃な値段で数々の絶品料理を供してくれる。

水森 堅(みずもり けん)
 『鼻の下伸ばして春ムンムン』で大日本バカミス作家協会賞を受賞した作家。
 みやこ新聞社協賛の講演会に出席予定だったが、ある事件を起こしてしまって以来、大悲閣に居候するようになる。
 次郎とけいからは受賞作のタイトルに因んで「ムンちゃん」と呼ばれる。
コメント
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