「通勤ライナー」はなぜ乗客にも鉄道会社にも得なのかー有料座席列車導入は鉄道活性化のカギ

こんにちは。大塚良治『「通勤ライナー」はなぜ乗客にも鉄道会社にも得なのか』(東京堂出版)で鉄道活性化策を提言しています。

北総線値下げ裁判3・15報告会

2014-03-15 23:33:14 | 日記
皆様、こんにちは。

本日は「北総線値下げ裁判3・15報告会」が、10時から印西市中央駅前地域交流館で、そして14時から白井市中銀ホールで開催され、多くの市民の参加がありました。

千葉ニュータウン中央駅まで北総線を利用しました。千葉ニュータウン鉄道所有の9100形C-Flyer9118編成に当たりました。車端部の一部が2人掛けのクロスシートになっており、この編成はかつて3号車と6号車のカード式公衆電話が設置されていました。



柴田圭子原告団長の司会進行の下、武藤弘裁判の会会長による冒頭あいさつの後、河口まり子弁護士による2月19日の東京高裁判決の解説と参加者の質疑応答が行われました。



河口弁護士からは、一審では認められなかった京成電鉄の原告適格が二審で初めて認定されたことや、北総鉄道と京成電鉄等との線路使用料条件については一審と同じく原告適格すら認められなかった点等、丁寧な解説がありました。

フロアからは熱心な質問が数多く出され、河口弁護士が一つひとつ丁寧に答えておられた点が印象的でした。フロアからの主な質問は以下の通りです。

フロア1:北総鉄道による自力値上げが可能であるとする北総線運賃問題対策協議会(北対協)の報告書について、裁判所が「信用性に疑問がある」としたのはなぜか?
河口弁護士:この報告書が「前提となる情報の正確性については、なんら確認作業を行っておらず、したがって、結論の正確性を保証するものではない」と述べている点を裁判所がうまく利用したと考えている。この文言は訴訟提起を想定した弁護士事務所等による「定型文言」にすぎないが、裁判所はこのことを認識しておらず、かつ国を負かせるわけにいかないので、そのまま文言通りに解釈した結果と考えている。

フロア2:京成が北総に支払う線路使用料は、成田高速鉄道アクセスや成田空港高速鉄道に対する線路使用料と計算の根拠が異なり、やはりおかしいのではないか?
河口弁護士:おっしゃる通りと思う。ただ、鉄道事業法は線路使用条件について金額や計算方法を縛るものとではなく、法律上は違法性を問われないのが現状。

フロア3:東葉高速鉄道が通学定期券を自助努力で値下げするが、このことは裁判所の判断に影響を与えているのだろうか?
河口弁護士:法律は社会正義を実現する手段であるので、裁判所は当然社会の動きを常に気に掛けている。裁判官は当然東葉高速鉄道の動きも見ていると思われる。

フロア4:もしこの裁判が京成成田空港線の運賃認可がなされる前に提起されていたら、結論は変わっていたと考えられるか?
河口弁護士:提訴のタイミングが結論に影響を与えることはないと考えている。

私も「交通権から見た北総線運賃」をテーマとして、少しだけお話しさせていただき、最後に「生活バスちばにう」の若干の説明を行いました。

北総線値下げ裁判原告団は最高裁に上告しました。国は北総線運賃の原告適格については最高裁で争わない姿勢を示したということであり、3審の結論が注目されます。

報告会終了後、白井駅近くの理容店「白井駅前理容店」を訪問させていただきました。



この理容店は、『月刊千葉ニュータウン』の提案で始まった「北総線回数券ばら売りサービス」を一番早くに始めたお店です。取り扱い券種は、昼間券(曜日に関係なく、10時から16時まで利用可)と土・休日券(休日ダイヤの終日利用可)の2種類で、区間は白井~京成高砂間のみです。定価1枚650円のところ、1枚440円で回数券を購入することができます。

こうした意欲あるお店が、「北総線ばら売り回数券サービス」を支えています。北総線利用者にも大変喜ばれているサービスですが、中にはお店に無理難題を言う利用者もいるとのことです。

「北総線回数券ばら売りサービス」は協力店のご厚意(ボランティア)によって提供されていることをきちんと理解し、時間に余裕をもって利用していただくよう切にお願いする次第です。

北総線問題に精力的に取り組まれている千葉ニュータウン住民の皆様に敬意を表し、これからも北総線問題を見つめ続けていきたいと考えております。

ファイナルラン!「ホームライナー鴻巣3号」&「ホームライナー古河3号」

2014-03-15 01:39:49 | 日記
皆様、こんにちは。

2014年3月15日(土)のJRダイヤ改正に伴い廃止された、「ホームライナー鴻巣」と「ホームライナー古河」に乗車しました。

8番線ホームのライナー券売機も3月14日限りで役目を終えます。その脇の行列では、係員が3月17日(月)から運行開始の特急「スワローあかぎ」のポケットティッシュを配っていました。



まず、JR東北本線上野18時43分発「ホームライナー鴻巣3号」鴻巣行き(3973M)4号車に乗車しました。



4号車はグリーン車ですが、「ホームライナー鴻巣」「ホームライナー古河」では普通車扱いとなるため、争奪戦になったものです。



JR大宮支社大宮総合車両センター所属185系200番台OM08編成あまぎ色による運行でした。



同じく最終日の「あけぼの」の陰に隠れて地味な存在ですが、上野駅8番線ホームでは大勢の鉄道ファンがホームライナー鴻巣を見送りました。

乗車率は9割と言ったところで、3割くらいは鉄道ファンが占めているようでした。

浦和、大宮、上尾、桶川、北本と各号車数人ずつの下車があり、鴻巣には19時34分定刻に到着しました。ここまで半数程度の旅客が乗り通しました。



3月17日(月)からは朝夕の通勤・通学時間帯に、「ホームライナー鴻巣」に代わって、全車指定制特急「スワローあかぎ」が運行されます。夜は高崎行きや前橋行きの他に、本庄行きが新たに設けられることになっています。

鴻巣到着後、OM08編成は回送として上野に送り込まれ、上野で車内整備を行った上で、上野21時02分発「ホームライナー古河3号」古河行き(3623M)となります。

私も一旦普通列車で上野駅に戻ると、大変なことになっていました。上野駅は「あけぼの」の最後を見送ろうとする人たちでごった返していたのです。



私の方は、21時02分発「ホームライナー古河3号」古河行き(3623M)1号車で最後のお名残乗車に臨みました。「ホームライナー鴻巣3号」で運用された185系200番台OM08編成あまぎ色です。



私は先頭7号車に乗車しました。

8割5分ほどの乗車率で出発しました。列車は「あけぼの」を先導するかのように、大宮駅まで東北本線を先行します。

車内では、上野駅で買い求めた「あけぼの記念弁当」を噛み締め、心の中で「あけぼの」とお別れしました。



「ホームライナー古河3号」は、浦和、大宮と停車し、大宮で信号待ちのため5分遅れで発車しました。ホームは大勢の鉄道ファンで溢れかえっていて、ロープ規制が実施されていました。「あけぼの」の陰に隠れた地味な通勤列車であるにもかかわらず、本当に多くの鉄道ファンに見送られる様子を見て、この列車が本当に多くの人たちに愛されていたことを再認識した次第です。

次に東大宮に停車します。ここまでで6割以上の旅客が下車してしまいました。



蓮田と久喜でもさらに下車があり、22時10分頃に古河に着きました。古河で降りたのは、鉄道ファンばかりになっていました。



「ホームライナー鴻巣3号」と「ホームライナー古河3号」の両方を乗り比べて分かったことは、前者は終着駅まで一定の需要があるものの、後者の需要の太宗が東大宮までに留まること、そして何より前者よりも乗車率が相対的に低いことです。

東北本線では通勤ライナー特急「ホームタウンとちぎ」および特急「おはようとちぎ」が、2010年12月3日に廃止され、今回の「ホームライナー古河」の廃止に伴い、同線大宮以北から通勤ライナーが消滅することとなりました。

「ホームライナー鴻巣」「ホームライナー古河」が廃止されるのは、わざわざ車両基地から上野まで送り込まれる上、終着駅に着いた後、上野駅まで回送しなければならないという手間がかかる割には、1人当たり500円のライナー料金しか入らないため、JRにとってメリットの少ない列車になってしまっています。普通列車グリーン車であれば、わざわざ「別建て」で運行することもなく、人件費の安いグリーンアテンダントに改札業務を任せればよい上に、50kmまででも750円のグリーン料金が入ります。JRとしては、できるだけ手間がかからず、かつ高額な料金収入が得られる普通列車グリーン車に誘導したいのが本音ではないかと推測します。

いずれにせよ、高崎線には通勤ライナーが特急「スワローあかぎ」として残ります。この列車も乗車開始日に乗って確かめるつもりです。また、このブログでご報告できればと思っています。

※「ホームライナー鴻巣」については、拙著『「通勤ライナー」はなぜ乗客にも鉄道会社にも得なのか』(東京堂出版)47~48ページをご覧ください。