津軽ジョンがる電源日記

『KOJO TECHNOLOGY』 電源メーカースタッフ日記

Crystalシリーズ_その8

2020-12-25 08:47:11 | Crystal(電源タップ)
こんにちはジョンがる隊長です(>_<)
今回のブログはサージアブソーバ+ノイズフィルタ搭載:Crystal C1Pだ!
同製品はCrystal 3.16.1Crystal ECrystal 3Pに続くシリーズ5作目!

前回のブログ(Crystalシリーズ_その7)で紹介したCrystal 3Pは、シリーズ初の連結コンセント付き電源タップで、連結(合体)の誕生秘話が掲載されているので興味ある方は一読いただきたい。

さて今回のCrystal C1Pもまたシリーズ初となる機能が搭載されている。
大きくは2つあり、ひとつ目は「パワーノイズフィルタ」、二つ目が「サージアブソーバ」である。

1.こうしてノイズフィルタが搭載された!
冒頭にあるように前回のブログ「Crystalシリーズ_その7」では電源タップに必要な「もうひとひねり」が欲しいということで、連結(合体)機能が誕生している。
こうなってくるとやれることがたくさん出てくるのである。
ひとつ課題に上げたのが、先駆者達が手掛けてきたフィルタ入り電源タップだ。
以前(10年も前くらいになるだろうか)巷では「フィルタ入りの電源タップやフィルタ自体は、音がクリーンで綺麗にはなるけど、なんだか寂しい(おとなしい)音になっちゃうんだようなぁ」と言われていた。
普段からアンテナを張っている隊長としては大変気になる情報だった。だってお客さんの不満解消=喜びになるからだ。

そこで何故そのように言われるのか色々調査・確認してみたところ、どうやら産業用ノイズフィルタを利用していることがわかった。
※大体こんな感じのものだろうか!(フィルタ付インレット)

産業用フィルタは、音質的な面にては凡そ考慮されていないものと考えるわけだが、先駆者もその辺は理解しており、大変苦労したんだと思うが、別な部分で音質的な補正等をされていたのだと思う。
しかし、この産業用フィルタ!とにかく(広帯域での)大幅なノイズ減衰を目的に設計、製品化しているのだから、ノイズ抑制という点だけを考えれば、それは強力に作用するのである。
TDKラムダ、NEC/トーキンなどそうそうたる大企業から製品化されているノイズフィルタではあるが、概ね100KHz以下あたりにカットオフ周波数:fcが設定され、モノによっては30K~40KHzぐらい(メーカデータからの想像(。-人-。) ゴメンネ)から減衰が始まり1MHz付近に減衰のピークが置かれている。(ピーク付近は)実にー80dB~90dBほどの減衰だか強力(ノイズフィルタとしては優秀)である。
※ー80dB ノイズレベルが1Vだったら0.1mVまで減衰(10000分の1)させるのだ!😱 

どうやらこのカットオフ周波数:fcの設定場所が音質面に影響しているのではないかと我々は仮説を立てた。

クリーン電源の開発が招いた副産物

一方、時同じくして我々はクリーン電源:Arayの開発を手掛けていた。
この話は別途設ける必要がありそうだが、Arayの開発にあたっては、EL PRODUCE(エルプロデュース)の「井出 祐昭」代表(サウンドスペースコンポーザ)の協力のもと、音質チェックを井出氏に、回路、機構関連は弊社を主体に行われていた。
※同氏は元YAMAHAのチーフプロデューサで、代表的な業績にJR東日本(新宿/渋谷駅)発着音メロディ化がある。
※めちゃくちゃ凄い人なので同社のHPを覗いて見てください。同氏と出会ったきっかけ裏話はまた別途!

ところが、このAray開発の終盤で出力ノイズフィルタを如何にするか検討しなければならない事態に陥った。開発当初より出力フィルタにはTDK製(現TDKラムダ)のノイズフィルタを搭載していたのだが、どうにも音がまとまりきらないのである。他社のものに変えてもダメ!ネジ素材や内部配線材を変更してもダメ!ダメよ~ダメダメぇ(懐かしい💦)

お解りだろう、ここで前述の
「どうやらこのカットオフ周波数:fcの設定場所が音質面に影響しているのではないかと我々は仮説を立てた。」
につながってくるのである。何ともドラマティックである。

隊長はこのことを井出氏話し、「ならばノイズフィルタ作っちゃったら!」と軽~く言われるのである。😰 
で、作った!
※同フィルタは後にJNF(ジョンがるノイズフィルタ略(笑))と名付けられている。

作るのも軽ーく作ったように思われるのもしゃくなので少し説明を!
本フィルタはノーマルモード用のコンデンサとコモンモード用のチョークコイル+コンデンサで構成されているのだが、安に定数を産業用と同じにしたのでは、フィルタとしての効果は抜群でも音的にどうか?となる。そこで、音質とフィルタの減衰効果の因果関係について研究が行われた。勿論、使われるトロイダルコアの素材、巻線材、各種パーツを吟味したうえでだ。
そんな中で、無作為に行うのは何をやっているのかわからなくなってしまうことから、減衰特性が始まるカットオフ周波数:fcをどこに据え置くか検討をつけ進めていった。
するとどうだろう、大体200K~300KHz付近を境目に音質への影響のあるなしが表れてきたのである。それ以下にカットオフ周波数を徐々に下げていくと、やはり「フィルタ入りの電源タップやフィルタ自体は、音がクリーンで綺麗にはなるけど、なんだか寂しい(おとなしい)音になっちゃうんだようなぁ」になってしまったではないか・・・💦
社内でも「へぇ~」となった(笑)

上記経緯を踏まえ、オリジナルで製作されたノイズフィルタ:JNFがArayに搭載。井出氏のアトリエに持参し聴感テストの結果見事クリアできたのである。

さぁ、ここまでくればクリーン電源の副産物として生まれたJNFを利用しない手はないのだ。
画してタップ向けのJNF開発に着手。JNFから更に改良がなされてJNF2へとバージョンアップして行くのである。
以下はJNF2のf特(減衰特性)である。見せてしまって良いの?大丈夫なの?
良いんです。他でも利用さるようになったらもっと良いものを作ればいいんです💦


新規設計されたJNF2は、以降旧モデルForce barS1Pとクリーン電源:DA-6に採用されることになった。

さて、モノは準備できたは良いが、ここからの啓蒙活動が必要である。なんせ大方のユーザは前述の理由からフィルタを毛嫌いしており、それを覆していかなければならないのである。
全国をまたにかけたイベント啓蒙活動、北は北海道、南は鹿児島、都内のイベントにも参加した。大阪にも行った。資金に限りある弊社にとっては辛かったなぁ~💦
でもお陰で沢山の人と知り合えたし、お店のスタッフさんともお話することも出来た。自ずと啓蒙活動も着々と実を結び、Force barS1Pに対する「音痩せ」発言は皆無となった。\(^o^)/

むしろユーザからの声は「フィルタ効果によりS/Nの改善、向上は勿論感じられたが、それにもましてパワー感、力感が感じられる。」と・・・、何とも嬉しいコメントではないか!毎回そうであるが、努力したものが認められた時、この上ない喜びが湧いてき、次のステップへ進む糧になっているのである。
あ~嬉しい!\(^o^)/

2.Crystal C1Pのフィルタ
いよいよ新製品のCrystal C1Pに搭載されたノイズフィルタについてだ。
弊社電源タップにノイズフィルタ入りのものが誕生した秘話は前述の通りだが、Force barS1PからCrystal C1Pにモデルチェンジするに際しては、当然のことながらより良いものにしなければならない。これはメーカの使命でもある。
新製品と称されそれに期待を寄せて購入されたユーザが、「なぁ~んだ!前のモデルの方が良かったじゃないか😠 」ではいけないのである。
だからCrystalシリーズに限らずモデルチェンジはある意味「初回モデル」以上に神経を使うのだ。
写真はCrystal C1Pのサブシャーシに搭載されたノイズフィルタ基板の様子だ。
前述のJNFやJNF2に対しトロイダルコイル(コモンモードチョークコイル)が無くなっているのがお分かりだろう。代わってC1Pに搭載されたコイルはノーマルモード用チョークコイルになる。
C1Pに搭載のノイズフィルタ基板を仮にJNF3としよう。(たぶんそのままになる(笑))JNF3でチョークコイルに変更された理由は、やはり聴感上によるものだ。
コモンモードチョークコイルは、各ラインーアース間にノイズ抑制に働きかけるものであるが、ノーマルモードチョークコイルはラインーライン間に作用するものだ。

実はコモンモードチョークコイル、理想的にはノーマルモードノイズに対し何ら作用するものではないが、実際には漏れインダクタンスというものが存在し、これがノーマルモードノイズに対し有効に働くものなのだが、非常に小さくノイズ抑制効果としてもほぼ無いに等しいものでもあるし、流れる電流によってインダクタンス値が変わるのである。
その点、今回ノーマルモード専用に設けられたチョークコイルは空芯コイルとなっており、コア材を介したものに比較しインダクタンス値を大きくすることは困難なまでも、電流の大小に影響されることなく不飽和特性を有しており、インダクタンス値は一定に保たれるのである。
インダクタンス値の変動は、同時にフィルタ特性のカットオフ周波数:fcも変動することを意味し、負荷変動の大きいオーディオシステムにとっては、音質の変動も起こり得るのである。

先般、フルテックから「NFC Clear Line 」なるものが発売された。
フルテックさんとはある意味競合メーカとなるのだが、同社の営業マンとは仲良くさせていただいている。時折り業界に関する情報交換や今後について話し合うなど、互いに信頼する間柄だ。

同品の発売開始前だったと記憶するが、ひょんなことから同品の内部構造について情報を得ることができた。
その際ちょっと衝撃を受けたのが、同品にも空芯コイルを採用されていることだった。してやられた感があったが、同時に競合メーカも同じところに視点が向けられていたことに自信も持つことになった。
後日フルテックの営業マンに連絡を取り、先を越されたことを話したら、電話越しにニヤニヤしている様子が取れた。

それは良しとして、JNF3では前出のようにカットオフ周波数:fcを200KHz付近に据え置くため、ノーマルモード用コンデンサの定数にも見直しをかけている。
これもまた聴感上の確認と特性評価を繰り返しながら実施され、旧モデルのForce barS1Pに比較し、更に透明感や艶感、中域・中低域のハリ感や力感をブラッシュアップさせ、帯域バランス、広帯域化を狙ったモデルでとすることに成功している。

でんき堂スクェア湘南台店様のブログ

先日、弊社製品の取扱店舗:でんき堂スクェア湘南台店様にて、Crystal C1Pのノイズ抑制効果について検証くださり、同店のブログで紹介されていたので掲載しておく。ホントお店の方々にまでご協力いただき毎度のことながら感謝なのである。m(__)m

ブログタイトル:「KOJO CRYSTAL C1P 好評発売中」12/20更新

確実にノイズの減衰効果が確認されているようなので是非参考にしていただきたい。

3.雷対策(サージアブソーバ)
近年、ゲリラ豪雨を伴う雷による家電製品やオーディオ機器の破損を耳にする。この様子は全国的にも広まりつつあり、異常気象の影響というものをダイレクトに感じるようになってきた。
海外製の電源タップはこの雷対策に関しては先進的で、代表的なものにPSオーディオのそれがある。
やはり海外でもいや日本以上に雷に対する対策は予ねてより考慮されているようで、LAN通信に対するそれもまた同時行われているようだ。
今後益々増えると思われる雷被害に対しては、今からでも対処しておくべきであろう。

Crystal C1Pに搭載されるサージアブソーバは、旧モデルのForce barS1Pでも同様に行われている。サージアブソーバもまた電源ラインに挿入されているため、音質的な面でも影響をおよぼすものであるが、Force barS1P/Crystal C1P共に音質的にも良質で実績あるPanasonic製のものが採用されている。
通常OAタップ等に搭載されているサージアブソーバは、電源ライン間のみ利用されているものが殆どだが、この点、大切なオーディオ機器を保護させたいCrystal C1Pにおいては、各ラインーアース間にも適用しており対策を図っている。
※サージアブソーバ:全てに雷に対し保護できるものではありません。



4.連結(合体)機能がもたらすCrystal C1P活用術
Crystal C1Pの連結がもたらすその利用効果については、弊社ホームページやパンフレットにも記載済みではあるが改めて紹介しておく。
合体の一例をあげる!

・Crystal C1P+Crystal 3.1/6.1/3P
お使いのオーディオシステム全体をサージアブソーバ+ノイズフィルタ搭載のC1Pでカバーする場合、壁コンセントに適合する電源ケーブルを差し込み、Crystal C1Pへ接続する。Crystal C1Pは見ての通り供給コンセントはひと口だけだ。
ここで連結(機能)コンセントを活用し、C1Pの後段にCrystal 3.1ないし6.1を接続する。
こうすることで、元々ひと口しかなかった供給コンセントが3.1を連結することで4口+1口(2Pコンセント)に早変わりするのである。あるいは6.1を連結すれば7口+1口(2Pコンセント)に拡張可能である。

ユーザが所有するオーディオシステムもまた千差万別、ご自分のシステムにマッチしたコンセント数にカスタマイズすることで自由度が一気にアップするのである。
それでもなお口数が足りない(そんなことはまれ・・・?)場合は、C1Pの後段にCrystal 3Pを接続し、次いで3.1なり6.1を連結すれば更に口数の増加が可能になるのである。(ちょっと電車みたいに長くなるけど(。-人-。) ゴメンネ)

簡易的デジ/アナ分離!

予ねてよりオーディオシステムを取り巻く電源環境において、デジタル系機材とアナログ系機材の電源系統分けはやるべきとされていた。
デジ/アナ分離が推奨される理由として、デジタル機材は装置内部にマイコン等が搭載されており、制御に必要となる基準クロック等の高周波がノイズ成分として電源に回帰、アナログ機材へ悪影響をおよぼすためとされている。
実際、デジ/アナ機材の電源を分離して試聴すると、ノイズ感、S/Nの違いを感じ取れるのであるが、オーディオ機材のデジタル化は今後益々進むこととなり、小型・軽量化には同時に内部電源のスイッチング電源化も行われるようになる。
こと、欧州系のオーディオ機材は省エネ、ECOに対する考え方が進んでおり、スイッチング電源化はある意味必須事項となってきている。
スイッチング電源はその方式の宿命ゆえ、ノイズとは同居しなければならないのである(with Noise)。
勿論ノイズ対策もまた日進月歩。ノイズレベルもどんどん低減されていくものと期待するが、それでもゼロには出来ないのである。

いつもながら前置きが長くなってしまう訳だが、上述の課題に対しCrystal C1Pの連結では簡易的なデジ/アナ分離も可能になるのだ!

・Crystal 3P+Crystal C1P+(Crystal 3.1/6.1)
先ず壁コンセントに適合する電源ケーブルを差し込みCrystal 3Pへ接続。3Pの連結コンセントを活用し、次いでCrystal C1Pを合体させるのである。


一見すると「それが何か?」と言われそうだが、Crystal 3Pは元々フィルタ等は搭載されておらず、壁コンセントからの電力供給をダイレクトに受けることが可能だ。一方、3P後段のC1Pはフィルタ入りとなる。

そうこれでデジ/アナの簡易的な分離が可能な構成となるのだ。

フィルタ未搭載の3Pへアナログ機材(アンプ類!)、フィルタ入りのC1Pにデジタル機材(CDプレーヤなど)を接続。勿論デジタル機材が多い場合はC1Pの後段に3.1や6.1を連結すれば良い。
この連結手法は、デジタル機材から電源に漏れ出るノイズをC1P内のフィルタによって(アナログ機材に悪さしないよう)ブロック、抑制し、デジ/アナ分離による音質的恩恵を受けることが可能になるのだ。
なんとも合理的な電源タップの構築手法である。

前回のブログ(Crystalシリーズ_その7)で、Crystal 3Pの連結(合体)機能はコンセント口数を増加させるメリットがあると説明しているが、この連結機能を用いたCrystalシリーズの組み方次第では、もっともっと利用価値あるものに展開できるのではとお察しいただけたのではないだろうか。

ちょっとしたことから生まれたユニーク且つユーザビリティ溢れる本機能については、Crystal 3P/C1Pに留まることなく、今後のCrystalシリーズへの期待が高まるばかりである。

5.Crystal C1P J_tune(番外編)
ひとつ番外編となるが、Crystal C1Pのジョンがる隊長シグネチャーモデル:「J_tune 」モデルを紹介しておく。

隊長の思い上がり💦が生んだ限定モデルだ!なので、気まぐれで作って気まぐれで販売しているレアものである。

同品のフィルタだが、実は初期の開発段階でノーマルモード用のチョークコイルすら使用していないフィルタが試作で行われていた。

※コンデンサだけで構成されたノイズフィルタ(チョークコイルレスタイプ)

隊長的には非常に気に入ったものだったが、これまでのCrystalシリーズにそぐわないとの判断から、商品化が見送られたものだった。
しかし、よがりと言われるかも知れないが、KOJOはこういう音質のものも作れるんだということを示したく、それこそ隊長の思い上がりで無理に限定モデル化したものである。
フィルタ臭さがなく、元々のエネルギー感も削がれることなく、一聴すると「これ!?なんか変わったの?」と言われるかも知れないが、ジワジワ湧いてくるその音質は手にした方だけがわかるものとなっている。(そりゃ当然だわ!💦)

最後に!
本ブログにて本年も終わりとなりそうだ。
コロナ禍にあって満足な営業活動はできなかったが、反面寝かせておいたSNSなるものに力を注ぐことが出来た。
本来であればSNSとイベントの両輪で活動できればもっと皆さんにお役立て出来たものと考えるところであるが、今できることやれることをこなして何とか乗り越えて行きたいと思う。
皆様におかれましても、どうぞご自愛いただき、良いお年をお迎えできること願っております。

「皆様のオーディオライフがより楽しいものになりますこと願って!」
来年もどうぞよろしくお願い致します。

~世界中の電源をきれいに〜
KOJO TECHNOLOGY