津軽ジョンがる電源日記

『KOJO TECHNOLOGY』 電源メーカースタッフ日記

電源の電力表記

2006-12-14 18:28:53 | インポート

さんは他社の製品も含め、電源の出力容量(表記)をどう捉えているだろうか?これこれの電源の出力容量は○○VA!という表記を目にするし、耳にする。通常、W表示でなれている我々は、VAというものをどう考えたらいいのだろうか?

解説だ(>_<)

大概のオーディオ機材は、コンデンサ負荷(非線形負荷とも言う)と言い、機器電源部の構成は、AC入力→トランス→電解コンデンサ(DC)となっている。
最近は電源部にスイッチング電源を使用しているものも多く、トランスが省かれているものもある。(電解コンデンサの後に高周波トランスがのっかったりするけど・・・)

話はそれるけど、コンデンサ負荷の場合、供給電圧波形のピーク付近で電流が流れる。これが交流電源波形を歪ませる大きな要因の一つなんだ。家庭の家電製品は、このコンデンサ負荷というものが多く存在し、多用すればするほど、電圧波形の頭が潰れ、歪んでいくことになる。同時に電圧低下ももたらす。

直流の場合、電力計算(W)は(1)式に示すようになる。

   Pw=VDC×IDC [W]   --------(1)式 直流の電力計算

これに対し、交流の場合の電力計算(W)には、「力率:φ」というものがかかわりを持つようになる。(2)式参照。ちなみに、(3)式は電力をVA計算するもので、計算式としては(1)式と同様になる。(力率:φは関与しない)これは皮相電力と言われ、これについては後述する。

   Pw=vac × iac ×φ [W]  ------(2)式 交流の電力計算

   Pva=vac × iac [VA]  -------(3)式 交流の電力計算
   

φは、負荷の形態により変わり、抵抗負荷(線形負荷)の場合(電気コタツや電気ストーブをMAXにした状態)、φは1となり直流の電力計算と結果は同じになる。このとき、電流波形は供給電圧波形に相似な形となる。

一方、コンデンサ負荷は、φが0.7(0.6~0.75かな?)程度になり、仮に1000VAの出力容量を持つ電源を準備した場合、供給可能なW数は?

   Pw=100V × 10A × 0.7
     =700W

じゃ、表記方法として1000VAって表示するんじゃなく、700Wと表示すればってなるけど、さっき言ったように、負荷形態によってφが変動するから、単純には行かないんだ。目安にはなるけどね!(>_<)

エェー!じゃーさ、ジャーさ!1000Wは取れないってことなの?

答えは、Yes(取れない)でもありNo(取れる)でもある。

■接続する負荷のφが0.6とか0.7とかだったら、(2)式より、600Wとか700Wになって、Yes。逆に、φが0.6とかって状態で、1000Wがっちり欲しいってなったら、

   Pva=Pw ÷ φ [VA]

      =1000W ÷ 0.6

      ≒1670VA   恐ろしいね!鬼だね!

■接続する負荷のφが1だったら、同様に(2)式より、1000Wになって、No。 1000W取れちゃうんだ。

負荷形態の話をすると、抵抗負荷やコンデンサ負荷の他に、誘導負荷というものもあり、手っ取り早いとこモーターなんかがそうだ。誘導負荷の場合、力率は0.8程度になり、出力容量が1000VAの場合、800Wまでとれるってことになるんだ。ちなみに誘導負荷の電流波形は、電圧波形に相似なんだけど、位相がズレているんだ。

繰り返しになるけど、こんなふうに負荷形態が変わると供給できる電力:ワット数も一緒に変わっちゃうから、VA表示を使うんだ。

これは、他メーカの電源でも同様に言え、トランスもそうなんだ。もし、トランスで出力容量○○○○Wという表記があったら、それは???です。必ず、力率:φが○○においてとつきます。その表記すらなかったら、それこそ??????????だよ!気を付けようぜ(^_^)

ここで皮相電力について説明しておこう!

皮相電力は、前述のようにVAという単位になり、単純に交流の電圧と電流の掛け算こで求まる。これにφを掛け算こすれば、W単位になってたけど、残りの電力はどこ行っちゃうの?

SO-、これは無効電力と言って、接続した負荷側で消費されることなく、電源側に戻している電力のことを言うんだ!一方、Wは消費電力とか有効電力と呼ばれ、負荷側で実際に消費している電力のことを言うんだ。

電力を有効利用するには、皮相電力(VA)と消費電力(W)が同じ場合、つまりφ=1の時が最も良いことになる。ヒーターとかだね!

これに対し、オーディオ機材に見られるコンデンサ負荷は、φが0.7程度だから、残りの0.3(30%)は電源に戻していることになる。でも、φが0.7(消費電力:700W)のオーディオ機材には、その30%分も一旦は電源からもらっておかないと、稼動できないことになるんだ。皮相電力とは、φが幾つなのかわかんないけど、とにかくある負荷を稼動しようとしたときに、消費電力も無効電力もひっくるめて、必要な(あるいは供給できる)電力って意味なんだ!

ああああーー!説明へたくそm(__)m。 ちょっとわかりづれぇーかなぁー。でも、あんまり考えないで、書きてぇーこと書きまくったらサッパリした感じ・・・・

次はどんなお話がいいかなぁー!リクエストない??