JMのバレーボール観戦記

テレビのバレーボール解説では触れられない戦術面や選手個人の特徴について、「全員応援」の立場から語ります。

荒木絵里香選手

2012-08-30 22:33:17 | 選手紹介
・基本情報
背番号5番、186cmのセンター

・スパイク
余裕のあるタイミングで打つAクイックやBクイックは、非常に重くパワーがあり、レシーバーを吹き飛ばすこともしばしば。ブロードのCワイドとLも同様にパワーがありますが、助走が遅いためブロックに阻まれることも多いです。Lはストレート打ちをアウトにする悪い癖があります。そのため、AクイックやBクイックの方が得意に見えます。ロンドンでは一人時間差も見せました。センターながら、高いトスも難なく打ちます。センターセミはもちろん、ブロードでライト側に回ってからのラリーではライトセミやライトオープンも打てます。攻撃力の高さを買えば表センター、AクイックやBクイックが得意という特徴を買えば裏センターに入ることになります。

・レシーブ
センターなのでサーブレシーブはしません。スパイクレシーブは、センターらしく、下手です。体重の問題もあるようで、なかなか落下点に体が動いていきません。しかし、大会ごとに僅かながらレシーブが上達していったように見えます。

・トス
2009年などは2段トスを上げる担当でした。印象としては、普通に高く上げているだけでした。

・ブロック
高さと腕の筋肉の盛り上がりを生かし、綺麗に当たれば真下に落ちるブロックをします。荒木選手がコミットすると、相手のAクイックの決定率はかなり落ちる印象があります。ただ、ワンタッチを取った後にボールを見失うことが多く、レシーバーやセッターの動線を遮ったりクイックに入らなかったりという欠点もあります。

・サーブ
主に左側から重いジャンプフローターを打ちます。変化と胸元をえぐる狙いでかなりコンスタントに崩します。ただ、前衛で調子が出ないと、サーブにもそれを引っ張ってしまい、ネットに掛けたりエンドラインを割ってしまうこともあります。

・JMが選ぶ思い出のシーン
ロンドンの中国戦、この試合では荒木選手は大事な局面でのダイレクトスパイクを全て決めています。簡単に見えて、難しいことです。日本がマッチポイントを灯したのも、荒木選手のダイレクトスパイクからでした。

山口舞選手

2012-08-30 01:18:50 | 選手紹介
・基本情報
背番号4番、176cmのライトアタッカー

・スパイク
所属チームではブロードを得意とするセンターなので、代表でもライトからブロードに入ります。その際、まずはライトからセンターに切り込むBセミの助走で右から中央に動き、そこから鋭角的にライトに戻るようにしてCワイドかLを打ちます。ライトアタッカーなのに、Bセミへの切り込みに引っ掛けてブロードに走るため、ほぼ毎回が一人時間差になり、相手ブロッカーを混乱させます。もちろんBセミへの切り込みも上手です。S1でレフトから打つときには、Bクイックに入るか、センターのBクイックの後ろからAセミにブロード助走で入ります。ロンドンのドミニカ戦の第3セット後半とロシア戦では、S1でサーブレシーブに入らずにレフトの端からCワイドまで走る攻撃も見せました。また、どこから打ってもフェイントとブロックアウトを得意としますが、強打すべき時も非力です。ライトオープンやレフトオープンやバックライトなどの攻撃は中学生レベル。2段トスも打てず、後衛では役立たずの場面も目立ちます。

・レシーブ
サーブレシーブに入ります。ただ、非常に不安定で、リベロの佐野選手とレフトの木村選手に負担をかけています。スパイクレシーブは非常に良く、読みもなかなか優れています。フェイントを打たれると分かったら、打たれる前に落下点に入ることもあります。

・トス
所属チームでは、オーバーでクイックやブロードに上げたりとなかなか良い動きをしています。しかし代表では2段トスを任されていないので、なかなかトスを見ることはありません。たまに見せるレフトオープンへのトスは普通の2段トスという感じです。

・ブロック
センター出身のため、かなり綺麗なブロックをします。位置取りが良く、また下半身が流れても肩から上はしっかりと力が入っています。ただ、やはり180cm後半のブロッカーと比べると、全体的に小さくまとまったようなブロックになってしまっています。

・サーブ
やや斜め助走のジャンプフローターを打ちます。腕だけの力でジャンプの推進力をボールに平行に伝える感じで、威力が全くなく、ほとんどAパスを返されてしまいます。

・JMが選ぶ思い出のシーン
WC2011アメリカ戦で、ライトから切り込んで切り返してブロードに走る囮で、ことごとくレフトを1枚ブロックで打たせたシーンです。チーム作戦と自身の動きが完全に融合していました。

竹下佳江選手

2012-08-30 00:40:54 | 選手紹介
・基本情報
背番号3番、159cmのセッター

・スパイク
セッターなので打たないですが、ジャンプ力が驚異的かつミート力も素晴らしいため、ダイレクトスパイクを決めるときがあります。

・レシーブ
セッターなのでサーブレシーブはしません。スパイクレシーブは、強打レシーブとフェイントカバーの両方で、リベロ並と言えます。単に反射神経やボールの扱いが良いだけではなく、読みが良いので必ずコースに入っています。ただ、読みが良すぎるために竹下選手がレシーブをする機械が増え、結果的に2段トスになって自滅することもありました。

・トス
オーバーでもアンダーでも、本当に安定して一定のトスを上げます。Aパスからは、必ずジャンプトスをします。Bパスでもボールの下に素早く入り、下半身は流しながら上半身の体幹だけで完璧なトスを上げられます。ただ、バックトスは姿勢が反るので読まれやすく、またAクイックとBクイックに上げるのは苦手のようです。バックライトはネットから離れすぎることがあります。トスワークは、読みやすい時と読みにくい時の差が激しいです。近年ではアンダーが増え、またオーバーかアンダーかによらず、レフト平行が低すぎたりレフトオープンが割れたりと、やや体力の衰えが見られるようです。

・ブロック
当然低いですが、159cmにしては高く、コンスタントに有効ワンタッチを取ります。また、鋭角に落とすのは無理でも、稀にブロックポイントを取り、取られたアタッカーは本当に嫌な思いをするようです。

・サーブ
コートの右からジャンプフローターを打ちます。ロンドンでは中央付近からも打っていました。無回転で大きく揺れ、また比較的重そうに見えます。また、揺らさずにラインを狙ったり前衛センターに取らせるなど、ピンポイントに打つのも得意なようです。自身がセッターなだけに、相手レシーバーだけではなく相手セッターも嫌がるようなサーブを打ちます。

・JMが選ぶ思い出のシーン
WC2011ブラジル戦でマリ選手のレフト攻撃をブロックし、ブラジルの戦意を喪失させたシーンです。単に単発のブロックではなく、その後マリ選手と同ポジションの選手をこれ見よがしに使ったりと、ナイス判断の連発でした。またこの試合はレフトとバックセンターへのトスが総じて打ちやすそうでした。