JMのバレーボール観戦記

テレビのバレーボール解説では触れられない戦術面や選手個人の特徴について、「全員応援」の立場から語ります。

背番号11番センター大友愛選手のコンビ

2012-09-27 22:14:02 | 全日本女子 コンビ
・セッター
大友愛選手は、一般的なCワイドとLだけではなく、Cワイドより少し長い位置で踏み切って空中でLに移動するパターンや、Cワイド→Lの一人時間差など、ブロード攻撃のパターンが多彩です。そのため、タイミングや長さを一定に上げられる竹下佳江選手とはトスが合います。中道瞳選手は、タイミングや長さが合えば球質が良いので打ちやすそうですが、やはり竹下佳江選手のトスほどは合っていません。これは、中道瞳選手が全日本入りしてから大友愛選手が怪我で離脱していた次期が長かったからかもしれません。大友愛選手は表センターに入ることが多く、セッターとブロックで並びます。大友愛選手のブロックは、剥がれたり、剥がれないようにすると体が流れたり、あまり上手くないです。そのため、低いセッターと並ぶとかなりの穴になってしまいます。

・表レフト
木村沙織選手の正確なサーブレシーブがあってこその大友愛選手の速攻と言えます。しかし、大友愛選手はBパスからのブロードの囮にもブロッカーを引きつけてくれるため、木村沙織選手のミスをカバーしているとも言えます。大友愛選手の不安定なブロックを抜いたスパイクのレシーブは、主に木村沙織選手が担当しています。

・裏レフト
裏レフトの選手、特に迫田さおり選手は、1枚ブロック時にはかなりの確率で決めてくれます。そのため、大友愛選手はブロードの囮で裏レフトへのマークを1枚減らしています。

・ライト
山口舞選手とはダブルブロード等のコンビがありますが、タイミング等は井上香織選手のダブルブロードよりは合っていません。大友愛選手のCワイドに2枚コミットされた際に山口舞選手がLを決めるパターンはありますが、これはLではなくライト平行でも良かったはずで、ダブルブロードをしているメリットはあまりありません。新鍋理沙選手は、2枚ブロックでクロス側のブロッカーのタイミングがズレている状況で、かなり良いスパイクを打ちます。そのため、大友愛選手は積極的にCワイドに入ってクロス側のブロッカーを遅らせてくれます。またこの動きにより、裏レフトへのブロッカーが減ります。特にロンドンの韓国戦の迫田さおり選手と新鍋理沙選手の得点にはほとんど大友愛選手が絡んでいました。

・リベロ
佐野優子選手のレシーブのおかげで大友愛選手が使えるようになります。サーブ後にはリベロ代行をします。レシーブはかなり厳しいですが、オーバーでの2段トスは打ちやすそうです。

背番号10番リベロ佐野優子選手のコンビ

2012-09-22 01:55:23 | 全日本女子 コンビ
・セッター
佐野優子選手のレシーブは、かなりセッターに配慮した球質になります。全日本のセッター低いためピンポイントでレシーブを返す必要がありますが、佐野優子選手はその上に回転まで殺しています。また、セッターがレシーブした際の2段トスも佐野優子選手が担当します。

・表レフト
木村沙織選手とはサーブレシーブで隣り合います。そのため、佐野優子選手はかなり木村沙織選手のカバーに入ります。しかし、逆に木村沙織選手が佐野優子選手のカバーに入るときも。これは非効率的なので、お互い守備範囲を確認して佐野優子選手に任せるべきでした。スパイクレシーブでも隣り合います。相手のレフト打ちに対して佐野優子選手と木村沙織選手の間のスペースはブロックの真後ろとなります。そこを抜かれたときには、コンビと言うより2人とも食らいつきます。これに何度救われたことか。また、2段トスを担当する佐野優子選手ですが、アンダーからの2段トスは、低い上に落ち際にかなり加速してしまい、ボールが打ち所から逃げてしまいます。そのため、佐野優子選手の2段トスを打ち切れずに木村沙織選手が失点するパターンが多く見られました。

・裏レフト
裏レフトに対しても、佐野優子選手はアンダーで2段トスを集めます。これも失点源となってしまいました。スパイクレシーブの際、迫田さおり選手はバックセンターの助走に入るためにややコート後方を守りますから、佐野優子選手はややコート前方を守ります。そのため、ブロードでバックレフトの長いコースに打たれると拾えなくなります。韓国のキムヒジン選手が楽々決めていたのもこのコースです。

・ライト
山口舞選手はサーブレシーブが苦手なので、佐野優子選手がかなりカバーに入りました。山口舞選手のLに合わせた特別仕様の2段トスも練習していました。新鍋理沙選手ならサーブレシーブは得意なので、佐野優子選手は木村沙織選手のカバーに専念できます。

・センター
センターが使えるかどうかは佐野優子選手の守備に掛かっています。また、佐野優子選手の2段トスから荒木絵里香選手のBクイック、井上香織選手のCワイド、大友愛選手のLに上げるコンビもありました。有効かどうかを検証できるだけの本数はなく、またそんなコンビを練習するならオーバートスを練習して欲しかったというのが私の内心ですが、これは世界でも佐野優子選手にしかできないプレーであることに違いはありません。

背番号8番ライト狩野舞子選手のコンビ

2012-09-21 21:02:35 | 全日本女子 コンビ
・セッター
2枚替えで出場するため、トスは中道瞳選手としか合わせていません。なのに、中道瞳選手とも合っていません。おそらく、怪我前の良いときの感じと現在の感じが合わず、自分の頭と体が合っていないため、他の選手と合わせるには至らないのでしょう。逆に、中道瞳選手が球質を優先してしまいトスのスロットがズレることがあり、そのズレたトスの落ち際を安全に打つと、打点が低くてもかなり決まります。

・表レフト
木村沙織選手とは、2枚替え時に長く前衛に一緒に上がります。ただ、狩野舞子選手にはあまりトスが上がらず木村沙織選手ワンマンバレーとなってしまうので、良いコンビとは言い難いです。サーブレシーブにおいては、山口舞選手より守備範囲が広いため、木村沙織選手にかける負担が非常に少ないです。また、狩野舞子選手はセッター不在時に2段トスを全面的に担当し、木村沙織選手に完璧なオープントスを供給しています。

・裏レフト
裏レフトとはあまり接点がありません。ただ、試合ではたまたま披露されなかっただけで、裏レフトのバックセンターへの2段トスも完璧に合わせていたのだと私は思います。

・センター
攻撃面では、センターとシンクロできるだけの攻撃力はありません。クイック囮のセンターセミへの切り込みはありますが、早い段階でセンターに移動し、セッターと交差するあたりでドタバタと小走りして打ちに行くため、切り込むこともバレバレでクイックともシンクロしません。山口舞選手のセンターセミへの切り込みは、ギリギリまでライトに留まりセンターに全力疾走してクイックとシンクロするか、早い段階からセンターセミに切り込むように見せかけてLでライトに戻る一人時間差になります。このようなセンターとのコンビの幅が狩野舞子選手にはありません。また、ブロックにおいても、センターとはなかなかタイミングのあった2枚ブロックが出来ませんでした。

・リベロ
リベロの佐野優子選手とは、サーブレシーブで隣り合います。狩野舞子選手は守備範囲もそれなりにありますし、常識的なボールは全て拾います。そのため、佐野優子選手は木村沙織選手のカバーに集中できるようになります。また、2段トスを狩野舞子選手が担当することにより、佐野優子選手の下手なアンダートスから失点するパターンを無くせます。

背番号7番センター井上香織選手のコンビ

2012-09-21 19:04:33 | 全日本女子 コンビ
・セッター
井上香織選手は、CワイドやLを得意とするので、竹下佳江選手とはやりたい事の方向性が一致します。井上香織選手のAクイックかCクイックに引っ掛けてLに走る一人時間差のタイミングは、竹下佳江選手がトスを上げるフリをして溜めてタイミングをずらすタイミングと完璧に一致しています。そのため、竹下佳江選手が上げると、一人時間差が全く読めなくなり、有効な攻撃になります。中道瞳選手は、球質は良いのですが、井上香織選手が打ちたい場所とタイミングになかなかトスが来ず、当たり損ないになることもあります。また、セッターとはブロックで隣り合います。井上香織選手は、セッターのカバーに入ると言うよりはクロス方向のコースを完璧につぶすようなブロックをします。

・表レフト
木村沙織選手とは、前衛では前衛2枚やS1という厳しい局面で隣り合います。前衛2枚の時には、一人時間差で木村沙織選手へのマークを外します。また、木村沙織選手がAパスを量産できると、井上香織選手が打ちやすくなります。

・裏レフト
裏レフトとは前衛ではあまり隣り合いませんが、井上香織選手が前衛時に井上香織選手の後ろからバックセンターを打つコンビがあります。ただ、このコンビ時にバックセンターがノーマークになる程井上香織選手にマークが集中することはなく、結局は木村沙織選手頼りになることが多いです。さらに、井上香織選手はCワイドやLに早い段階で動いているので、バックセンターの助走が見えてしまう欠点もあります。

・ライト
ライトの山口舞選手とは、本当に素晴らしいコンビがあります。ダブルクイック、ダブルブロード、クイック囮のブロード、クイックを追い越すブロード、クイック囮のセンターセミへの左右からの切り込み、などなど。井上香織選手も山口舞選手も、個々のスパイクの決定力は低いですが、この2人が同時に動くと非常に高い決定率になります。新鍋理沙選手とは、動きやタイミングが合わないため、あまり良いコンビにはなりません。新鍋理沙選手が出場する場合は、井上香織選手は控えに回ることが多いです。

・リベロ
井上香織選手の攻撃は、リベロの佐野優子選手のAパスがあってこそです。また、井上香織選手がサーブを打つときには、リベロの代行をしますが、荒木絵里香選手同様にこの役割は苦手のようです。

背番号5番センター荒木絵里香選手のコンビ

2012-09-21 18:58:37 | 全日本女子 コンビ
・セッター
荒木絵里香選手はAクイックやBクイックを打ちたがるのに対し、竹下佳江選手はCワイドやLを使いたがるため、大きなミスマッチがあると言えます。そのミスマッチを、猛烈な練習で埋めているのでしょう。中道瞳選手は、東レでもチームメートです。そのため、中道瞳選手は荒木絵里香選手が好きなゆったりとしたAクイックやBクイックを良いところで使います。ただ、このゆったりとしたクイックを159cmのセッターが上げると、世界レベルではキルブロックに見舞われることがあります。またセッターとはブロックで横に跳び、かなりカバーに入ります。ブロード後や相手のレフトのストレート打ちを読んでいる場合は、荒木絵里香選手が外側に跳ぶこともあります。その後、ライトオープンやライトセミを強打できるのも荒木絵里香選手の魅力の一つです。

・表レフト
木村沙織選手は、サーブレシーブに入りますので、荒木絵里香選手がクイックを打てるかどうかは木村沙織選手のサーブレシーブの正確性に掛かっています。荒木絵里香選手が表センターの場合は木村沙織選手から離れる方向になるCワイドやLが増えます。荒木絵里香選手が裏センターの場合は、荒木絵里香選手のゆっくりとしたBに引っ掛ける木村沙織選手のレフト平行が増えます。

・裏レフト
荒木絵里香選手が表センターの場合、荒木絵里香選手のBクイック囮のレフト平行が増えます。荒木絵里香選手が裏センターの場合は、荒木絵里香選手がクイックに引きつけてバックセンターをノーマークにする場面が多いです。

・ライト
ライトの新鍋理沙選手は、荒木絵里香選手にマークがついていれば、Cワイドに入ってきていてライト側に2人のブロッカーがいても普通に打てます。ライトの山口舞選手は、荒木絵里香選手とのダブルブロードはタイミングが合わないため、基本的に荒木絵里香選手はクイックで山口舞選手はセンターセミ切り込みに引っ掛けてLに戻る一人時間差をします。荒木絵里香選手が決まらない状況だと、山口舞選手も厳しくなります。

・リベロ
リベロの佐野優子選手は、荒木絵里香選手のクイックを使えるサーブレシーブを量産します。また、荒木絵里香選手がサーブの時には佐野優子選手が不在となるので、荒木絵里香選手には佐野優子選手代行という役割を科せられます。ただ、その役割を全うできたかと言えば、そうではないと思います。今後の課題ですね。