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JMのバレーボール観戦記

テレビのバレーボール解説では触れられない戦術面や選手個人の特徴について、「全員応援」の立場から語ります。

女子の世界標準バレー 守備的ライト型

2013-04-06 00:07:48 | 用語解説
男子の世界標準バレーの連載が終わりましたので、今回からは女子に目を向けたいと思います。

ただ、女子の場合、世界標準バレーと言われているバレーが2通りあり、さらに細かく分けていくときりがありません。そこで、ここでは守備的ライト型とスーパーエース型に大別し、守備的ライト型から取り上げます。

・オーダー
普通のバックオーダーになります。サーブレシーブは、ライト、リベロとあと一人のレフトになりますが、表レフトが参加するか裏レフトが参加するかはそのチーム次第です。S1に難がなければS1スタート、難があればS6スタートになります。

・男子の世界標準バレーとの違い
まず、男子ではサーブレシーブ免除のスーパーエースがいますが、守備的ライトはサーブレシーブに参加します。また、後衛でもサーブレシーブに参加するため、バックライト打ちは非常に少なくなります。もしバックライトが打てない選手でも、その他の点で優れていれば起用されます。

次に、守備免除レフトの存在です。ライトが守備に入るため、守備免除のレフトは攻撃専門として高い能力が要求されます。

最後に、バックライト不在を補うために、センターによるブロード攻撃が多用されます。ライトは後衛では右側からの攻撃に寄与していないように見えますが、ブロードが使えるサーブレシーブを返すことで、間接的に寄与しています。

・組み立て
男子と異なる点として、男子ではレフトへの速い平行でバンチリードをほぐす組み立てが行われるのに対し、女子ではやはりセンターにコミットさせてレフトに楽に決めさせる形が多くなります。ただ、常にセンターが使えるわけでもないため、序盤に種を蒔いて終盤に収穫するのではなく、常にセンターを使える機会を窺う形になる場合が多いです。

男子の世界標準バレーの先にあるもの 全日本男子は何を学べるか?

2013-04-05 15:13:19 | 用語解説
これまで、世界標準バレーを完成させた(といってもそれぞれのレベルでという意味ですが)チームが、世界標準バレーを基礎にしてどんな新しいバレーを作り上げているかをまとめてみました。

その中で取り上げた新戦術は、2つに分類できます。

・マルチポジションや脱分業化
各選手が複数ポジションを経験し、柔軟にポジションスイッチを行えるようにします。

・全く新しい動作
ブロードやバッククイックなど、世界標準バレーには存在しない動作を取り入れます。

後者はフィジカルの影響もあり、全日本男子が取り入れるのは難しいかも知れません。しかし、前者は全日本男子が明日からでも取り入れられるものです。

まず、全日本男子には、これだけのマルチポジションができる選手がいます。
・山本隆弘選手…もう引退ですが、スーパーエースとセンター
・石島雄介選手…レフトとセンター
・福澤達哉選手…レフトと守備的ライトとスーパーエース
・米山裕太選手…レフトとレシーバー

しかし、コート上では、世界標準バレーに従った動きしかしていません。例えば山本隆弘選手や石島雄介選手はダブルクイックに入れますが、そういったコンビさえ無いのです。

これは本当に宝の持ち腐れです。世界標準バレーで同じ土俵でフィジカル同士の戦いにするより、このような多彩な選手を柔軟に起用することは出来ないのでしょうか?

また、全く新しい動作と言いつつ、高校男子ではブロードを打てる選手がたくさんいます。なぜかVリーグに上がると誰も打たなくなりますよね。もちろん、男子のブロックを相手にすると、ブロードには欠陥があります。しかし、利点もあります。利点が活かせるタイプの選手なら、是非Vリーグに上がってもブロードの練習を続けてほしいです。

男子の世界標準バレーの先にあるもの センターの後衛での守備位置

2013-04-05 12:14:34 | 用語解説
今回は、特定のチームは取り上げず、いくつかのチームが採用し始めた戦略について紹介します。

センターは後衛ではリベロと替わり、そのリベロはバックレフトを守るため、センターもサーブ後の守備はバックレフトに入ります。こうして、センターにリベロ代行をさせることにより、レフトの選手によるバックセンターを使うことができます。

しかし、センターサーブ時に、相手スーパーエースがライトからストレートに打ち、センターがレシーブできずに失点する確率が非常に高く、問題となっていました。

そこで、センターサーブ時のみ、センターをバックセンター、レフトをバックレフトに置き、後衛センターを前衛センターの高いブロックで隠す戦略を、いろいろなチームが採用し始めました。つまり、センターサーブ時にも、守備力の不等号をバックレフト>バックセンターとしているわけです。

ただ、どこを守ろうと、センターがレシーブが下手なことには変わりなく、果たしてこの形が今後主流になるかどうかは不透明です。今後、センターをスーパーエースにコンバートするような事例が出てくるかも知れませんし、センターのレシーブ力向上という抜本的な改革が待ち望まれます。

Vリーグ男子3決 見どころ サントリー

2013-04-04 12:31:37 | 用語解説
サントリーは、レギュラーラウンドで堂々の1位から、なんとセミファイナルで全敗。3決では、レギュラーラウンド並の戦いができるかにかかっています。

・細かい連携をキープできるか?
パオロ監督がサントリーにもたらしたもの、それは全ての局面における連携です。ブロックとレシーブの関係はもちろん、例えばスーパーエースのウォレス選手が助走に入れなくなったら、代わりに越川優選手がバックライトに入るなど、攻撃においても互いにスロットを補完し合うようなファインプレーが目立ちます。そのため、相手チームはどこに打っても拾われるし、どこを潰しても他が補完してくるため、攻略が難しい「負けない」チームになっていたのです。セミファイナルでは、そういった連携が長続きしませんでした。試合序盤には何本か良い動きがあっても、なぜかそれが空中分解していったのです。今一度、約束事を再確認し、レギュラーラウンドのような連携を見たいです。

・セッター岡本祥吾選手の終盤でのトス回しは?
セミファイナルでは、第一戦の東レ戦で、流れがあったのにフルセットで負けたことで、負け癖がついたような節があります。その第五セットでは、岡本祥吾選手のトスが大荒れ。バックアタックのトスが戻りすぎるなどです。結果論ではありますが、上げどころの判断ミスもありました。序盤や中盤で種を蒔き、終盤で収穫するという、普段の岡本祥吾選手のトス回しが見られれば、サントリーにも勝ち目があります。

・ウォレス選手がいかに点を取れるか?
東レは、ウォレス選手とボヨビッチ選手をマッチアップさせて、ウォレス選手のライト攻撃をブロックするためにボヨビッチ選手をレフトにスイッチしてくるでしょう。これで、ウォレス選手のライト打ちがワンタッチされると、サントリーとしては厳しくなります。ウォレス選手がこうなっても決められるように、まずは本人の調子の回復に期待し、さらにウォレス選手がブロックアウトを取れるトスが上がるかにも注目したいです。

・ボヨビッチ選手をいかに止めるか?
サントリーも、ボヨビッチ選手のライト攻撃を止めるために、ウォレス選手を前衛でレフトにスイッチするかも知れません。スーパーエースにスーパーエースをぶつけ合う形です。ただ、東レはボヨビッチ選手をレフトにスイッチする作戦を長く続けてきて経験値がありますが、サントリーはどうでしょうか。ほとんどぶっつけ本番になった場合、吉と出るか凶と出るか注目です。

Vリーグ男子3決 見どころ 東レ

2013-04-03 11:04:27 | 用語解説
東レはセミファイナルでも大苦戦。選手の間では、「サントリーが堺に勝っていれば…」という気持ちがあるでしょうが、きっちりと切り替えて3決に臨んで欲しいですね。

・ボヨビッチ選手の完全復帰なるか?ポジションスイッチは?
ボヨビッチ選手はまだ怪我の影響があるようで、なかなか思うようなプレーが出来ていないようです。東レはボヨビッチ選手無しには絶対に勝てないチームですから、何とかボヨビッチ選手の回復を祈るしかありません。また、以前記事にした、前衛でボヨビッチ選手をレフトに置くスイッチも、やはりボヨビッチ選手に2段が上がりやすくなることを考えると、フィジカル的に厳しいのかも知れません。なかなか有効なスイッチで、他のチームも真似したりしていますので、何とか復調してくれるといいのですが。

・近藤茂選手のトスワークが改善されるか?
近藤茂選手のトスワークにはかなり問題があります。まず、クイックが低過ぎ。あんなに低いクイック、見たことがありません。さらに、クイックを使う頻度も低すぎます。セミファイナルでは、クイックを最後の切り札のように温存していた感じはありましたが、しかし最後になってもちょびっと使っただけで、結局宝の持ち腐れになっていました。意図として、ボヨビッチ選手に意識を向けさせてレフトで点を取り、最後にセンターでトドメを刺す、というのは十分に分かります。しかしそれで成功していないので、抜本的なトスワークの改善が必要です。

・繋ぎやブロックフォローを続けられるか?
今シーズンの東レは、繋ぎやブロックフォローが悪すぎます。特に、ボヨビッチ選手の半径1m以内にイージーボールがぽとりと落ちる場面や、ブロックフォローが居なくてアタッカーが弱気になる場面を何回見たでしょうか。これは今シーズンの集大成として、絶対に解決してもらいたい点です。

・コート上でチームが1つになれるか?
普段精神論を語らない私ですが、これだけは言わせていただきたい。東レは、言わば監督不在です。その中で、しっかりとチームがチームとして戦っていくためには、コート上でチームが1つにならなければなりません。キャプテンの米山裕太選手を中心に、チームの結束を全員で高めていき、コート上で作戦を展開できるようなチーム状態を期待します。

と、このように、東レはいかにサントリーを封じるかという以前に、東レ内部の問題解決が必須です。底力に期待しましょう。