JMのバレーボール観戦記

テレビのバレーボール解説では触れられない戦術面や選手個人の特徴について、「全員応援」の立場から語ります。

久光、圧勝!

2013-04-13 17:53:43 | 用語解説
いやいや凄い試合でした。見どころの記事で挙げた項目を中心に振り返ります。

東レ

・迫田さおり選手のバックアタック
不発でした。1セット目で、迫田さおり選手へのバックアタックが2本連続でトスミスになり、その後3人のサイドがバックアタックを試みましたが、バックセンターもバックライトも歯車が狂い続けました。

・荒木絵里香選手がブロックを抜けるか?
久光は、荒木絵里香選手を徹底的に潰しにかかりました。荒木絵里香選手も対角センターも、全くスパイクが通用しませんでした。

・中道瞳選手のトス回し
久光のサーブ戦略で全く仕事が出来ず、迫田さおり選手へのバックライトの2連続トスミスで消極的に。その上両センターが潰されましたから、中道瞳選手は一番頼りないレフトに上げ続けることしか出来ませんでした。

・レフトが持ちこたえられか?
前述のようにレフトに苦しいトスが集まり、苦しい展開になりました。あの場面でパフォーマンスを発揮できるかが、江畑幸子選手や最盛期の木村沙織選手との違いと言えます。

久光

・石田瑞穂選手のポジション
これは私の読みが外れ、石田瑞穂選手は少し後衛で出ただけでした。全日本や来シーズンで、悔しさをぶつけてほしいです。

・今季急成長の両センターの活躍
センターエース的な活躍はありませんでしたが、しっかりとシステムの中で仕事が出来ていました。絶対に決めなければならないスパイクを決定し、その後は囮として働き、最終的には荒木絵里香選手の目の前でスパイクを打つ場面が少なくなっていました。これは古籐千鶴選手の功績ですね。

・座安琴希選手のオーバーでの2段トス
これも私の予想が外れました。オーバーでの2段は無かったです。しかし、アンダーからでも非常に良いトスを上げていました。腕をネットに垂直に使ってアンダーで上げるため、左右のどちらに上げるかが分からないトス回しでした。

・古籐千鶴選手のトス回し
今日は圧勝しながらも、長岡望悠選手の入り方が悪かったため、慎重な判断が要求されたでしょう。センターの使い方も、長岡望悠選手の復調のさせ方も完璧でした。1本1本を見れば、その時の久光の都合に一番合うトス。試合でそれを総和すれば、東レの一番弱い所に漬け込むトスでした。

・何らかの新戦術?
S1での前衛の入れ替えを廃止した以外は、特に何もありませんでした。

今日活躍した選手の全日本での活躍も期待しましょう!

Vリーグ女子3決 見どころ NEC

2013-04-13 00:42:09 | 用語解説
NECは何といっても粘りのバレー。本来のバレーができ、そこにイエリズ選手のパワフルなスパイクが加われば、順当に岡山に勝てます。

・ブロックとレシーブの関係
NECのブロックとレシーブの関係は少し特殊です。普通は、リベロ等のレシーブが良い選手にスパイクが集中するように、レシーブの良い選手以外のコースをブロックで締めます。これが最も効果的なセオリーですが、逆に相手からするとブロックやレシーブの配置が打つ前から分かっていることにもなります。しかし、全員レシーブが良いのがNECの特徴。そのため、NECのブロックとレシーブの関係は、自シームの台所事情に制約されず、相手が一番嫌な形にできます。これはリーグでダントツなので、NECの勝ち負けに関わらずご注目ください。

・センターによるセミ
NECのセンター陣は、杉山祥子選手以外、きちんとセミを打てます。高いトスを打てるセンターと言えば、荒木絵里香選手やヤンヒョジン選手等の韓国女子の選手が思い浮かびますが、NECの両センターは、普通のライトの選手のような助走をし、その助走を活かして打っています。このセンターセミやライトセミが勝利を大きく左右するわけではありませんが、これは全日本的な視点からは大きな事です。全日本では、センター出身の山口舞選手がライト起用されて、センターらしさで全日本を牽引しましたが、高いトスが打てず、そのセミナーらしさが対策されて、通用しなくなってしまいました。同様にセンター出身ライトであるキムヒジン選手やチョウライ選手は、高いトスも打てます。そのため、センターで高いトスが打てれば、全日本でライト起用ができ、全日本の幅が広がります。NECはセンターによるセミに取り組んでいるので、そこにも注目したいです。

・岡山らしさを発揮させないためには?
岡山から岡山らしさを取り除けば、残るのはへなちょこスパイクだけです。しかし、取り除けなければ、セミファイナルの1、2セットのような展開もあり得ます。大切なのは、やはりサーブ。山口舞選手が前衛時には、山口舞選手のブロードの動線上に落とす。山口舞選手が後衛時には、とにかく強く打って崩してレフトを徹底マーク。これは一例ですが、このような意図のあるサーブが見られるはずです。とても楽しみです。

Vリーグ女子3決 見どころ 岡山

2013-04-12 13:18:29 | 用語解説
岡山はセミファイナル全敗、さらにNECには惜しい負け方をしているので、3決には目の色を変えて臨むでしょう。

・ここに来て大活躍の山口舞選手
ロンドンでは見掛け倒しだった山口舞選手。その見掛け倒しが成功したので良かったですが、もし失敗していたら無駄な一枠だったでしょう。その後怪我で離脱し、復帰後も数字が今一つだった山口舞選手ですが、セミファイナルでは本来のセンターエースとしての働きが出来ています。クイック、ブロード、一人時間差の全てにおいて、安定して得点を重ねています。NEC、東レ戦では強打中心、久光戦では軟打中心でした。3決ではどういった戦い方をしてくるでしょうか?

・福田舞選手のポジション
福田舞選手は、レフトエースとして起用されてレフトから強打を打つことも出来ますし、ライトに入ってCワイドやLも打てます。セミファイナルでも、セットによってレフトもライトもこなしました。チームで一番パワフルな選手が右にいるか左にいるかに注目したいです。

・NECの選手交代に対応できる?
NECには、イエリズ選手という絶対的なエースがいながら、的確な選手交代で、やや力の劣る選手も実力以上のパフォーマンスが出来ています。それにハマってしまったのが、岡山のセミファイナルでの敗因の一つです。岡山はブロックが高いわけでも洗練されているわけでもありませんから、NECの選手交代に合わせて前後の連携を変化させ、拾って繋ぐ本来のバレーが出来れば勝ち目があります。

・サプライズオーダー?
岡山が最近披露したサプライズオーダーで、センターセッターというものがあります。これは、セッター宮下遥選手の対角にセンター山口舞選手を入れ、残りの4枠にレフト対角とライト対角を入れる形です。これは、「Bパス以下になってどうせセンターが使えないし、バックアタックも無いから、サイドの枚数を増やしておこう」という考え方でしょう。本来、センターをライト起用したりするトリプルセンター的な考え方の岡山ですから、シングルセンターは本当に意外です。その効果の程が確かめられると良いですね。

・宮下遥選手のトス回し
宮下遥選手は、これまでずっと我慢して使われているだけあり、かなりの成長を見せています。セミファイナルで岡山に流れが来ている時間帯は、宮下遥選手が攻めのトスを上げられていた時間帯に重なります。全日本入り確実の宮下遥選手のトス回しに注目しましょう。

Vリーグ女子ファイナル 見どころ 久光

2013-04-09 18:47:44 | 用語解説
久光は、皇后杯決勝では、長岡望悠選手にかわって入った石田瑞穂選手が大活躍。さてVリーグ決勝ではどんなドラマが待っているでしょうか?

・石田瑞穂選手のポジション
皇后杯決勝ではスーパーエースに入った石田瑞穂選手ですが、先日の岡山戦ではサーブレシーブ付の裏レフトに入っていました。これは、もしかすると、単に岡山はサーブが弱いため、石田瑞穂選手のサーブレシーブ力でも事足りたからかも知れません。しかし、サーブが強い東レ相手でも、石田瑞穂選手のレフト起用はあり得ます。なぜなら、ローテをずらして中道瞳選手とマッチアップさせれば、石田瑞穂選手がストレート側を抜くスパイクで大量得点出来るからです。

・今季急成長の両センターの活躍
久光の両センターは、残念ながらオリンピック出場はなりませんでしたが、今季に急成長しています。岩坂名奈選手は、全体的な動きの向上と、AクイックやBクイックの球威の向上が見られます。ブロードにも挑戦中です。サーブが復活すれば完璧でしょう。平井香菜子選手は、もとから安定している選手ですが、センターが全員苦手としている繋ぎや高いトスにも磨きがかかっています。オリンピックに出られなかった選手ですが、是非注目してみてください。

・座安琴希選手のオーバーでの2段トス
いまや、リベロがオーバーで2段トスを上げるのは、世界の常識となっています。それを実践できるのが、セッター出身の座安琴希選手です。この点においては、遥かに佐野優子選手を上回っていますので、是非注目してみてください。

・古籐千鶴選手のトス回し
久光の唯一の弱点と言えば、古籐千鶴選手のトスがバレバレなことです。レシーブがまだ浮かび上がっている時に、すでに上げる場所が大体読めてしまいます。ただ、左右への高速トスを上げるためにはある程度仕方がないので、逆にアタッカーはバレている前提で、ブロックをどれだけ見られるかが重要になります。

・何らかの新戦術?
東レとは皇后杯決勝でも戦っていますが、それと同じ戦い方だと東レも対策してくるでしょう。久光が勝ちを確実にするためには、何らかの新戦術が必要になるのではないでしょうか。全く読めませんが、期待して観戦しようと思います。

Vリーグ女子ファイナル 見どころ 東レ

2013-04-08 21:39:34 | 用語解説
また連載を中断し、Vリーグ女子ファイナルの見どころを私の視点からまとめてみます。まずは東レからです。

・迫田さおり選手のバックアタック
今年は主にスーパーエースで出場の迫田さおり選手ですが、バックアタックに関しては守備免除からバックセンターに入ることが多くなっています。このバックセンターは、前衛のブロードと完全にシンクロしていて、ブラジル男子のCクイックとバックからのAクイックによるダブルクイックと近い状態になっています。これは、それ自体で見どころと言えるでしょう。しかし、これを繰り返したところで、久光のセンター陣は必ず有効なブロックをしてくるはずです。そうなった時には、迫田さおり選手がバックライトに入る形も解禁してくるのではないでしょうか。これは、全日本を占う上でも、絶対に見逃せないポイントになります。

・荒木絵里香選手がブロックを抜けるか?
荒木絵里香選手は東レではセンターながら非常に大きなポイントゲッターですから、荒木絵里香選手がブロックされるかどうかは東レ全体の攻撃システムに関わります。ここ最近、ブロックが買われているわけではない新鍋理沙選手が、荒木絵里香選手のLを気持ち良く止める場面が続いています。これが試合序盤に出てしまうと、そこからガタガタと東レが崩れるかも知れません。

・中道瞳選手のトス回し
中道瞳選手は、セミファイナルでは、トス回しをかなり変えてきました。それに対応できないチームもありました。ただ、「これまでとは違う場所に上げる」のではなく、純粋に「相手ブロックを見て一番抜けそうな場所に上げる」という意識だったように見えます。そのため、逆に久光は、中道瞳選手の気持ちになって考えることで、中道瞳選手のトス回しを読んでくるかも知れません。それのさらに裏をかくようなトス回しを中道瞳選手が出来るかに、試合結果がかかっています。

・レフトが持ちこたえられるか?
東レで一番層が薄いのは、やはりサーブレシーブに入るレフトと言えます。そのため、小平花織選手と高田ありさ選手には、控えは居ないと思って、最大限の活躍を期待しています。特に、小平花織選手のバックアタックを、ここ最近隠しているような節があります。ファイナルではもしかして、小平花織選手バックセンター、迫田さおり選手バックライトを使ってくるのでしょうか。一見一番頼りないレフトが、実は勝利の立役者になるかも知れません。