時々言われてしまうことに、「なしてあそごかがねのや」(どうしてあの店のことは書かないのですか)というのがあることは、これまでも何度かお話ししましたが、訳がある場合となんにもない場合があるのです。 別にそば屋のために書いているわけではありませんのでそうなったのでしょう。 要は”動機”というか”きっかけ”なのであります。
さて、時は1998年のとある日、福島県の旧家の天井裏から「そばの実」が詰まった俵が出て来たそうであります。 これがなんと170年くらい前の天保時代のものだったそうでして、普通なら感心して終わりになったのでしたが、彼の鈴木製粉所の鈴木社長に福島県で製麺業を営む友人から100gほど送られてきたのだそうです。 そうなるとそこはほれ、山形のそば屋のオヤジたち、まぁヤフーあたりで『天保そば』を検索して見て下さい。 結果、その昔のそばは様々な努力と時間を経て商品化されてしまったわけです。
ということで販売に供された『天保そば』、”食べなくっちゃ”ということになった訳ですが、「どこで食う?」となって”重要会議”。 なにせ”域外”の方がわざわざお出でになって”ご所望”とのこと、これはたいへんです。 まず、どこの店でやっているのかを調べます。 組合にお尋ねしたところチラシを下さいまして、12店がのってました、まだあるかチョット不安も過ぎります。 で、もの好き達に調査開始!
すると一本の電話がかかって参りました。 曰く、「天保そばを***で食ったけど納得できなかった、どこで食ったらいいのか俺も知りたい」 だって。
そして、件の”重要会議”の続き。
「***は俺も行ったけど、普段のヤツとあまり変わらない気がした」
「あんたあそこの従来の新そばと区別が付くのかい」
「まずまず、そんな話は後にして」
「***や***なんかは大店だからしょうがないだろう」
「そもそもこの粉はどんな質なんだろ、それで大分違うんじゃない」
「それはオヤジの感覚というか、腕だろう」
「実績の少ない粉だからなぁ」
「まぁまず行って見ないとどうにもなんないだろう」
ということで、***でなく、また大店はチョット置いといて3店をリストアップ。
さっそく出かけてみたのですが、最初にマークした所は ぬぁ~んと『本日休業』、それで行ったのがマークⅡ”伊右エ門”。 何度か行ったのに「なしてあそごかがねのや」といわれていた店の一つデス。 さっそく”大盛り”と注文したのでしたが「大盛りはありません」と冷たい返事。 まぁ予想の範囲内で、限定品はこういうことがよくあります。 ところが、出て来た”板”を見ると盛が少し多そうに見えるではありませんか、実際食べてみても1口2口多いような気がいたしました。 そばはしっかりした歯ごたえで”かめばかむほど”甘みが出るようでまさに上等、気持ちそばに”ねじり?”があるようで縮れ麺と言うほどではないのですがタレがよく絡みこれまた結構でした。 美味いことは美味いのですが、正直黙って出されると「今日のは出来がいいなぁ」てなとこでして、もともとうまいソバを出す店ですのでこう言ってしまってはなんですが”**そばだから特別どうだ”と言うことは無いように感じます。 山形ならではのことかも知れませんが、まぁこんなもんでしょう。 さらにこの季節は大概の店で新そば、水も空気も冷たくよく締まり、一番そばが美味しい季節ということもあるでしょう。
食べ終わってお勘定となった訳ですが、「チョット多めに感じたんですけど、あれで普通盛なんですか、十分でしたが」と聞いてみました。 すると、「大盛り出来なくてすみませんでした。 その代わりですが、チョットですけど多くしておいたんですよ」と返事が戻ってきました。 まぁウソかマコトか誠か嘘か、こういうサービスに弱いんですよね、いずれにしても「褒めてとらす」でありますし、他の方にも知らせてあげたくなることなのです。
ということで 伊右エ門 登場となった訳です。 なお、同行者よりオマケの一言がありましたので蛇足ですが、、、「ラーメンもうまいよ」
さて、今年もアホな政治家のおかげで景気は悪くなる一方でした。 さし当たって目先よくなる予想も立たないのですが、もうすぐ年が暮れます。 来年はいったいどうなるのでしょうか、なんとかなってほしいものでありますが、どうでしょうか。
そば屋も今年もいろいろでした。 何と言うのでしょうか、動きはたしかにありました。いろいろ話しはあったようですが、そば好きの『元祖集まる店』だった 萬盛庵 が消えたのを始め、所詮店も人も時の流れに乗っているのですから仕方のないことなのでしょう。
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皆様どうぞよいお年を。
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