続・山形そば黄門漫遊記

記載する情報は、一部のそば好きの食べ歩きによる個人的感覚の押し付です。嘘も少しはあるでしょうから文句はご勝手に。

続 山形そば黄門漫遊記 その45 そばのより道・井戸端会議

2006年08月21日 | そばの細道

 ある日、駅前クラブ黄門様秘書室そばマップFAX係へ、女性名でメールが一通!「毎度毎度の迷惑メール」かと誰かが言う。 普通はそのまま削除なのですが、なにせフルネームで書いてあったものですから一応オープン、するとどっかの雑誌のライターさんからのメールで、”今回「山形蕎麦街道」の特集を組むにあたり、HPを拝見し、是非取材にご協力いただきたく、、、、”という物でした。 以前にも一二度あったことでしたので、連絡をしてみるといくつかお尋ねがありました。 めんどくさいといえばそうなのですが、一応我が山形の観光発展につながることかも知れませんのであくまで”前向き”に、早速黄門様の私的諮問機関である”常識者会議”に諮ることといたしました。 一通りお尋ねの内容を読んで、該当する情報の作成を行いましたが、意見としては 1.様々な雑誌などで結構取り上げられているので、取材される方も慣れがないだろうか、おなじ事の繰り返しだったら読む方も新鮮味がないのではないだろうか。 2.山形のそばには定番がないので、何を基準にお奨めしようか。 3.おかずについてよく聞かれるが、今回も多少誤解があるようだ。どう説明しようか。 4.そもそもこの手の取材というのは、そば屋に宣伝料を求めて書くのだろうか。 5.このライターさんは何度か食ったことあるのだろうか。   ということになりました。 1.については、双方に”スレ”ているところがあったりすると、これまでの雑誌記事の繰り返しになるし、そうなると面白くないだろう。 4.とも絡むのかも知れませんが、どちらかの一方的なものになってしまってはつまらないだろうと言うことです。 2.は3.とほとんどおなじ事なのですが、”山形のそば屋にほとんど来たことのない人”が予備知識をもとに”効率よくまとめ上げよう”としても無理があるんじゃないのだろうかということです。おかずにしても、漬け物くらいはどこでも出てきますが、所詮おまけですので、種類や量はその時々で違います。もちろんない時もあるのです。 そりゃ有料ですと、あるところはありまして、ニシンの煮物やげそ天、山野菜などの天ぷらなどが一般的ですし、ニシンとげそ天はそれぞれの店の味付けが面白いものです。 決定的な思い違いは”板そば”と田舎そば屋には”もり”しか無い!ということです。何度か書きましたが、板に盛るから”板そば”で、極端な話し板そばをそのまま皿にあけて出せばそれで”皿盛り”、鉢にあければ”鉢盛り”ということなのです。 同様に田舎そば屋のそばは”もり”しかありません。 たまに”そばがき”を出すところはありますが、汁を掛けたいわゆる”かけ”すら大概ありません。 まして、他県のようなコースものなど事前に頼んでおくしかないのです。 やはり行き着くところは5.食べたり話したり、手と口と鼻と耳とそして舌で山形そばは食べてみないと分からないし、まして他人に興味を持たせるなんてとてもとても、ということなんでしょうか。 そんな意味ではよくしゃべるそば屋、たとえば慈恩寺のじいさんとか、源蔵の婆さんとか、、、  で、思い出した猪野沢のオヤジ。  話しが変わってしまいます。 なんとなく機会がなく、しばらく行ってなかったのでしたが、いつだったか国道沿いのカンバンがないのに気がつきました。 見落としたかとも思ったのでしたが、その次にはないことを確認したのであります。 「やめちゃったか?」などと思いながらとある会合で話していたら、しばらくして美濃の守様が情報を仕入れてきて電話をくれました。 なな、なんと去年(一昨年?)の話しになってしまうのだそうですが、雪を片付けていて何をしたのか、転んだか落ちたか埋もれたか、誰にも知られず亡くなられたとのことでした。 あれだけ面白いそば屋もなかったような気がします。          
   遅れながらも ”合掌”

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続 山形そば黄門漫遊記 その44   そばのより道・普通のそば

2006年08月21日 | そばの細道

 先日、以前新庄近辺へ行かれた方から「田舎そばは食べたことがあります。 イメージとだいぶ違ってました。 味はおいしいのですが、あの腰の強さはちょっと...。 そこで普通?のおいしいお蕎麦屋さんを紹介していただければ」とのメールを頂戴いたしまして、黄門様へお伺いを立てたところ、それなりの回答を得られましたが、”普通の”という言葉がのどの刺さった骨のように引っ掛かって何度も議論になりました。 何軒かのそば屋に尋ねてみましたが、「さて」とか「はて」とかで誰もまともな回答を持ち合わせませんでした。自分のに自信があっても”普通”ではなく”とびきり”と思っている方々ですのでこれは至極当然なことなのでしょう。
 たとえばですが、東根の旧国道沿いにあるそば屋で 明け烏 は、そんな疑問に答えてくれそうな感じがします。 「いらっしゃいませぇ」、「もりてんいちまいぃー」、「ありがとございましたぁー」等々、まぁ一回行けば分りますが、”金切り声”と言うよりは”ピンクノ電話?”、”かん高い”と言うより”は、”やかましい”、まぁこれだけ目立っても誰も「うるさい!」と言わないのだから多分”おかみさん”なんでしょう。 行ってみればお分かりになるでしょうが、そば、中華、丼もの、定食といった感じでメニューがあります。 まぁ、町の食堂でありますが見てるとたいがい”そば”を指名するようです。 そんなメニューを見ることもなく「モリ、ダイ」と注文したら「アリガトゴザイマス、モリの大盛りイチマーイ」と”キンキン声”で受けてくれました。 待つうちメニューを眺めていたら気がついたのですが、この店のメニューには”もり”がないのです。 一瞬不安が走るのですが”無くとも受けるんだからあるんだろう”と、勝手に納得したりします。 そばは二八か若干つなぎが多いかくらいのところです。おかずには定番のゲソやニシンや天ぷらがあります。 その他薬味として卵や納豆、とろろなどがあるようですが、揚げ玉とおろしは”サービス”と書いてあります。 ”タダほど何とやら”とは思いませんでしたが、”ゲソ天”を追加してみました。 まぁ、「420円は高いんじゃないの?」とは思いましたが、どれほどの”ゲソ天”が出てくるのか見てみたくなったからです。結果は”これならしょうがないだろうと思えるくらいのもの”で、ゲソだけではありませんでした  話しを戻します。 ”普通のおいしいお蕎麦”が今回のテーマですが、これを私に言えというのは余りにも酷な話しで、不可能です。 主義主張が無く、且つ意味不明、ただひたすら”自分”がうまいとおもえればいい、これじゃ他人様に「これが普通のおいしいおそばです」などとお奨めできるわけがない。マチガイナイ!  ただ「ここのそばがそうじゃない?」といえるとしたら、まず国道または県道に面し場所がわかりやすいこと、そばは二八くらいで硬からず柔らからず、また太すぎず細すぎずほどよい見た目、その日のそばとわかる香りがある。さらに、値段は高からずほどほどで注文すると比較的速やかに出る。 そば以外にも選択の余地があり、昼時は多種多様な人間が結構寄ってくる。 雰囲気が明るく、「そばつゆも少しけねが?」(そばつゆをもう少しいただけませんか)と頼んだ時、いやな顔せずに”ただ”でくれる店。 結局”また行く”のはこんな店、普通のおいしいお蕎麦屋はこんなもんでしょう。ただしこれは地元の人と言うかまぁ常連さん向けの事になってしまうかもしれません。
 それじゃ余所からいらっしゃるお客さんにとってはどうなんどろう、と言うことになるのでしょうが、多少は雰囲気だけでも”おもてなし”が感じられた方が良いのかも知れません。 んー、たとえば、大分前にお話ししました国道113号線、飯豊町東の端くらいでしょうか、
”行人沢そば五合庵”なんかは、そんな意味では普通のそばの美味しいやつだと思います。多分おかみさんが打つからでしょうが、およそ二八くらいのクセのないやわらかな感じのする香りの良いおそばです。 先日久しぶりに言ってみましたが、昼時は相も変わらぬ繁盛で大変結構でした。 おかずに出た手作りの”ふき味噌”が大変美味しかったので、一つ求めてきましたが、そばがきなんかでいただくのも良いような何とも言えぬ逸品でした。 最後に忘れちゃ行けないのが”たれ”、ダシの加減、塩の加減、最後のそば湯で”金を払って食った物”かどうかはっきり分かりますぞ。

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続 山形そば黄門漫遊記 その43   御蕎麦

2006年08月21日 | そばの細道

 今年もまた「山麺寒ざらしそば」の季節になり、幸運にもまたもその試食会参加のお許しをいただき先日行って参りました。 今年は例年になく大雪で寒さも大変なものがありました。 加えて谷川の冷水にさらす場所を、北蔵王の清水豊かな宝沢地区の方々に絶大なるご支援を受けることが出来、これまた例年になく”バッチリ”確保できたということで、これまた例年になく出来がよろしいものになったそうであります。  恒例のセレモニーがすむとその蕎麦が出されます。 しばし待っていますと私どものところにも運ばれてきましたので、待ってました!と一口いただきます。 セレモニーでもありましたが、今年は誰にでも分かる”甘さ?”がすぐに言葉になりました。 寒ざらしは冷水に長時間つけるせいでしょうか香りがどうしても弱くなりますが、その分甘みが際だってきます。 なかなか文字ではうまく表現できませんが、確かにそうなのです。今年も連休前から市内の組合員の店では提供するようですので、召し上がって見れば分かると思います。 前にも申し上げましたが、乾麺もそのそば屋で販売されますので是非是非お求めになって見てください。 袋にゆで方が書いてありますので、忠実に行ってみてください、その方が良いと思います。 さて、この試食会のもう一つの楽しみは、たまたま同じ机に座った”どっかのオッサンやオバチャン”との蕎麦談義。 蕎麦が好きな方しかいないという前提での話しが結構面白いのです。 今年は西山の上平地区の方でした、比較的近くの彼の狸森のそば祭りが、会場となる小学校の閉鎖でどうなるんだろうの話しから始まりました。 そっちの方は分かりませんでしたが、この上平地区でも毎年そばを振るまっているんだそうで、「九月にすっから来てけろ、一枚500円だげんとよ」と盛んにお誘いをいただきました。ぜひおじゃましてみたいと思っています。 わいわい話していると、さらにご近所の方が話に乗ってきます。今売り出しの「出羽かおり」の講釈がありました。そば粉の中では上等で、最上地方の「最上早生」より甘みも香りも強いのだそうです。そばはそばなりにその土地土地にあうものがあるそうでして一番美味しいのだそうです。山形のそばは、以前国体が開催された時に御来形されました天皇陛下にもお召し上がりいただいたそうであります。なんと仰せになられたのかは知りませんが、好評だったようだと漏れ聞いているのだそうです。 ところでところでところで、だれが打ったのだろうか、切ったのだろうか茹でたのだろうか、どの程度で出したのだろうかなどということが気になります。 さすが陛下ともなりますと誰も知りません。まぁ知っていてもどっかのCEOのように”ペラペラ”しゃべったりはしないのでしょう。ただ、誰かが打ったそばを召し上がったのは確かで、組合員の誰かのはずなのです。まさに神の手を持つ”おやじ”がいるのです。 「聞いでけっが」 (きいてあげましょうか) 「おしぇっかよ」 (教えてくれるでしょうか)  「わがんねったな」 (聞いてみなけりゃわかりませんよ) 「いんねがわがらねたて」 (分からなくても良いんじゃないですか) 「んだんだ、ほのほがいがすんねば」 (そう、その方が良いかもしれませんねぇ) 「なしてや」  (どうしてですか) 「んだてほごばりはやてもんまぐないす、具合いわれくてでぎわれどぎだてもんまぐないてやんないべす、やっでもこまっべす。」 (そこばかり流行っても他のそば屋は面白くないだろうし、調子が悪くて出来がいまいちの時でも「美味しくない」なんて  言いにくいだろうし、言われた方も辛いだろうし) 「んだがした、んだべねぇ」 (そうですか、そうでしょうねぇ) 「んだなおらだも陛下どおんなじの食てっど思てればいいのだっなねぇ」 (そうで すねぇ、私たちも陛下と同じそばをいただけると思っていれば良いんですよねぇ) 「そばんねぞ、”おんそば”てやんなねっだなぁ」 (そばでなく「御そば」といわなくてはねぇ) 「そばはそっばっだなぁ」  (そばはそばですよ)

 

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続 山形そば黄門漫遊記 その42  そばの細道:米沢 

2006年08月21日 | そばの細道

  本編では割と捨て置かれていますが、米沢そばもラーメンに負けることなく成長し続けています。 そして何よりも良いのは、ひなびた街道沿いに結構いい店が散在しますので、四季折々、暇つぶしとそば探訪にははうってつけとなっていることであります。
 ところで、最近よくそば屋の人気投票を見かけます。 比較的ですがこの手のものをやると山形では置賜の店が良く出てきます。 まぁ自画自賛とは言い過ぎなんでしょうが、置賜の方は結構拘る方がいらっしゃいます。 ただし、他人がうまいと言ったからといってそばはあくまで好みですので、結局順位付けはなじまないような気がします。そう言えば以前、山形でもいくつかランキング?見かけたことがありましたが、今はどうなっているのでしょう。 何処かの馬の骨が言った”うまいそば”に、”自己責任”で挑む方がどれだけおられるかは別として、遊び的には面白いかも知れません。 案外意見の合うそばに巡り会ったりして、、、、。 要するにいつも言いますが、山形のそばは大概は上物!不味かろうがなんだろうが全て想定の範囲内、あとは好みの問題(例外は何処に出もありますが)。ラーメンじゃあるまいし、ランキングは成り立たないのではと思う次第であります。
 米沢から、たとえば栗子方面、たとえばスカイバレー方面、川西方面、喜多方方面、などなど、道をたどっていくとうれしいことに例の旗を見かけます。 町中と違って田舎風のたたずまいは、”うまいんじゃないかな”と感じさせるには十分なのであります。 むしろ”ここから入っていいんだろうか”とか”ここってホントにそば屋なんだろうか”と悩んでしまいそうな店もあります。 おおよそそのあたりのそば屋は、建物自体もともとそば屋として作られたのではないのがほとんどです。 ただの百姓家で少し大きめのやつだったり、少しお金持ちだった方のお屋敷だったり様々ですし、今では手に入らないくらい太い柱や太い梁がすすけた色で歴史を感じさせてくれます。 また、米沢は伊達さんや上杉さんのの城下町として栄えたこともあり、その手の家々にはそれなりのお庭があったりして、そばのおかずとしては結構なものです。かの上杉鷹山公の話しでおわかりとは思いますが、貧乏藩で質素倹約が代名詞(言い過ぎ?)の地域ですが、それなりの体面は保っていたようです。 とあるそば屋に入ってみると、やはりそんな風情でいかにも米沢らしい感じを受けました。 さりげなく旅の本やガイドブックなんかが置いてありましたので取り上げてページを捲ろうとすると、おりがはいっています。 なんのことはない自分の店の宣伝や宣伝記事が載っているところをマークしているのです。 こんな小細工がこの町の気質というか、いいところでもありうっとうしいところでもあります。 結論としては”控えめに目立ちたい”とでも言うのでしょうか、こんな事がランキング重視!となってくるのではないでしょうか。
 さて、今回は一つの苦言を言いますのでお店の名前は書きません。 もちろん全部が全部というわけではないのですが、米沢のそばには共通の欠点があります。 「高い!」この一言です。 それでなくてもそばは高いという定評があるのですから、さらに「高い!」のでは困るのであります。価格表も見ないで頼んでしまうと、一人1500円とか1800円とか、およそそばには似つかわしくない伝票がついてきます。 せっかくお出でになって「あら、意外にお高いのねぇ」と思われるのは決していい気持ちはしません。 さて、文句ばっかりいっていても始まりませんが、果たしてそれだけ価値があるのかということになります。 結論から言えば「ある」んじゃないかと思います。 いつか申し上げましたが、そばはそれなりに手間がかかり”日持ち”が悪いので、花屋の花や魚屋の魚のようにその日の状況によっては”投げ”や”処分”が出てしまうものなんだそうです。まぁ”だからといって”と私なんかは思ってしまうのですが。結局美味しければしょうがないかと諦めてしまいます。 よくテレビでごりっぱなそば屋が取材されているのを見かけますが、町中の老舗的なところは別として、行ってみたいと思ったところはありません。そんな意味で米沢の”ザイ”のそば屋は健全です。 見えないところというか、気づかないところにかけていることが多いのです。 お気づきになったら一言お声をかけてみてください、多分うれしそうな顔に出会えるはずです、ただしまけてはくれませんが、、、、、。 やっぱりもっともっと安い方がいいなぁ、と思うのは私だけではないはずです。

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続 山形そば黄門漫遊記 その41  茂吉のふるさと

2006年08月19日 | そばの細道

   山形市にはそれなりに大きな川が2本流れています。1本は馬見ヶ崎川といいまして北蔵王を水源とするまさに清流、県庁の裏側でイワナが釣れたり、芋煮会のメッカだったり、およそ山形で育った子供はこの川で何度もあそんだことがあるはずなのです。 これに比べてもう1本の須川は蔵王温泉などの影響で酸性が強く、魚の住めないまさに”死の川”、近年改善されつつはありますが、少し前までは河原の石が朱色に染まり、まあこの川で遊ぶことはなかったのではないでしょうか。 余談ですが、かの斎藤茂吉はそんな須川が上山から山形へ流れる境界の川べりにある金瓶という集落でで生まれたのです。 そしてこの集落のはずれに温泉が出、一軒の旅館が建ったのは40~50年前くらいの話しだったと思います。    時が流れ道路の環境も代わります。国道もバイパスが通り”旧国道”になってしまった旅館への入り口のところに最近”あの旗”が 目立つようになりました。 旅館の一部が 想耕庵 というそば屋になったようです。   ”さては”というのでもないのでしょうが、一部の人にはピンと来るものがありました。 十年一昔というのならたぶん二昔くらい前になりますが、今は走らなくなった競馬場のそばでそば屋をやった方がおられました。 事情がありましてそば屋はやめてしまったのですが、たしか今はこの温泉宿のオヤジのはずなのです。  旧国道から玄関の方へ車を入れて適当なところに車を止めます。 宿の方も記憶の彼方の昔のままではなく、いつの間にか小ぎれいになっておりました。玄関の方へ行こうとすると、カボチャの葉やツルや花、もちろんカボチャ本体のある 畑? の間に細い道があり、その先に店名を書いた カンバン? がありました。 当然ですがそちらへ進んでみます。 なすやアスパラや、あとで分かりますが中で出される天ぷらの材料が作られている畑を通って、まぁここからはいるらしいと思えるところから入ります。中に入って少し進むと広い座敷がありまして、そこがそば屋なのであります。 オヤジの趣味というか、もともと山形の駅前で旅館もやっていた家でしたので、そこから持ってきた机やなんかかんかがあります。オヤジに言わせれば、ここをそば屋をする時”買ったものはない“のだそうです。 そばは、中だるみがあったにせよ二十数年の年季が入っておりますので結構なもんです。チラシを見るとそば粉100%ということになっています、同行者に疑いの言葉をはいたやつがおりました。  私としてはその件はあまり詮索しないでおくことにします、多分100だと思います。以前はたしかもっと薄ぺったらこい(薄平らな)麺だったと思いましたが、まぁ丸くなったというか何というかでどちらかというと標準的な見かけになっておりました。    よく話題になりますがこのそば粉の比率は、本当はどうでもいいことなのではないでしょうか、あたかも100が“まぼろしのそば”的に言われることが多いのですが、ほんとの“まぼろし“は、お店では食えない”ばぁちゃん名人“や”じいちゃん名人“が打ってくれたものなのです。 そしてそれは100ではないはずなのです。 なぜなら、まさに「一子相伝」とは言わないまでも、代々受け継がれてきた料理?に日持ちの悪い100はあり得ないからなのです。 ところでこのそば屋、みんながみんな外の景色に感激します。 前述のように、知る人にとっては不気味に赤茶けた石の転がる川原が広がっていた印象が強かったものですから、近年甦りつつあるとはいっても、まさか今紅葉の美しい、そして春には桜がさぞ美しいだろうと思わせるような風景になっているなどとは誰も思っていなかったのです。 それだけに初めて来た遠くからの方々にとっては、ただの“いい景色”なんですが、私たちにとっては「ほぉう!こだいいいどごだっけのが」(こんなに良い所だったのか)と何処か不思議に感じられるのです。 さらにさらに、そんな思いでぼんやり眺めていると、川向こうの雑木林の陰を何と山形新幹線が通って行くのが見えるのです、まさに“不思議発見!”。 今昔ごっちゃまぜ、よく分からない。 そんな岸辺でそばを食うのですから、わくわくするのは当たり前。 さすがはわけの分からない茂吉の田舎だなぁ、などとわけの分からない感想が浮かんできます。

 

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