楽園づくり ~わが家のチェンマイ移住日記~

日本とタイで別々に生活してきた私たち家族は、チェンマイに家を建てて一緒に暮らし始めました。日常の出来事を綴っていきます。

チェンマイ大学病院の老医師のこと

2012-10-26 10:28:31 | タイの医療

老医師と言っては失礼にあたるかもしれない。

おそらく、私より5~6歳くらい年上なだけだろう。

妻は昨日、はじめてその年配の医師の診察を受けた。

 

彼は癌の専門医で、若手医師のミーティングには常に姿を見せる。

医師たちの議論をじっと聞いていて、最後に意見を言う立場だ。

優しい言葉遣いで、患者へのいたわりが表情からも伝わってくる。

9月のミーティングでは、抗ホルモン剤の処方を提言した医師だ。

 

CT検査の結果を教えてくれた月曜の医師とは、言うことが違った。

月曜の医師は、妻にこう言ったそうだ。

「前と比べて小さくなったのだから癌に間違いありません。

手術しますか?それとも、また抗がん剤を使ってみますか?

どちらも、癌が小さくなったので保険はききませんけど、

来月14日に来る時までに、よく考えておいてください。」

 

昨日の老医師はまったく違うことを言った。

「これだけ小さくなったら手術の必要はありません。

今は何もしなくても大丈夫ですよ。

飲みはじめた抗ホルモン剤が効いているのかもしれません。

しこりが癌ではない可能性?

う~ん、その可能性も完全に否定はできません。」

 

さらに彼は、カルテをしげしげと見つめてこう言った。

「なぜこんなに頻繁に病院に来てるんですか?

ほとんど同じことがダブってるじゃないですか。

これはひどいね。私が整理してあげましょう。」

 

妻は好き好んで病院通いをしているわけではない。

行くたびに医師が変わり、次回の予約を入れられてしまうのだ。

ところが老医師は来月の予約をすべて取り消してしまった。

次の診察は3か月後でよいというのだ。

「もしそれまでに、何か気になる変化があったら来てください。」

来月の予約は、今後の治療方針を決める医師ミーティングだった。

老医師はその必要がないと言い、キャンセルしてしまった。

 

彼は放射線治療を決めた6月のミーティングでも最後に発言した。

「費用がすごくかかるので、30バーツ保険に入っておきなさい。」

それまでは、チェンマイ大学病院でも自費診療だったのだ。

その気配り発言に、私は深い感謝の念を覚えた。

 

昨日、妻は診察の最後に薬を所望した。

それは、最近便秘がひどいのと、体じゅうが痒いからだ。

でも老医師は、やんわりと妻の要望を断った。

「便秘はつらいが、薬なしで、自力で頑張る方がいい。

マラコー(パパイヤ)を食べなさい。

痒いのもつらいが、かゆみ止めの薬は飲まない方がいい。」

そういう考えの医師だということがやっとわかった。

だから名医というわけではないが、名医は大体このようだ。

 

同じ大学病院にいろいろな医師がいることがよくわかった。

医師の考え方一つで、治療方針は大きく変わる。

これが医療現場の現実だということは知っておかなければならない。

 

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10 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
薬害とサバーイ、サヌック、サドアック (ナッチャン)
2012-10-26 14:06:05
タイ人も日本と同じように、ちょっとでも具合が悪くなると
直ぐに薬に頼る傾向が有ると感じます

日本では処方箋が無いと買えない様な薬でも
何処でも簡単に手に入りますね
それも薬価基準が欧米なので日本より強いです

そうゆう体質の国なので医師の考え方も
そうゆう人が多いのではないでしょうか
患者にしても薬害を意識していないのか
出た薬で直ぐに楽になると
あの医者はいいという評価になるのではないでしょうか
強い薬には必ず体のどこかに負担がかかっている
薬害が有るという事を忘れているように思います

体の抵抗力、免疫力、治癒力を何処まで日出せるかが
名医と思ってます

お大事に。
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不思議ですね (karatodai)
2012-10-26 15:18:21
医師が毎回違うじたい変ですよね
タイでは普通なんですか?
担当医師という人が絶対日本じゃいるのが当然です
そのための予約ですもんね~
前回の医師の説明はいったい何?
なぜこんな診断の違いが出るのか聞くべきですよね
患者にしてみたらこんな極端な医師の見解は不思議でなりません
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Unknown (海外暮らし)
2012-10-26 17:37:33
人によって、毎月診断して欲しい人もいると思いますが、
この老医師のような診断方法もありえますね。
国立病院は医師が選べないので、人によっては混乱するかもしれません。この辺臨機応変に気持ちを持てる人じゃないと厳しいかも知れない、と同じく国立病院利用者の私は思うんですが、
奥様はいかがですか?
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ナッチャンさんへ (うさぎ)
2012-10-26 18:51:23
その通りですね。ちょっと痒いと言っただけで、プレドニゾロン(ステロイド剤)の内服薬を処方したり、タイの医者はきつい薬が好きです。

30バーツ保険があるので、ほとんど無料でくすりを貰えるというのも善し悪しです。ここぞという時には薬は必要ですが、頼り過ぎは禁物ですね。
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karatodaiさんへ (うさぎ)
2012-10-26 18:59:40
病気の内容によりますが、私立病院はたいてい担当医が固定されます。癌であれば100%でしょう。

国公立は毎回医師が変わることが多いようです。しかも、医師によって方針が違うことがあるので、困ってしまいますね。
結局、患者側がよく勉強して賢くなるのが一番だと思います。でも、それって、変ですけどね(笑)。
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海外暮らしさんへ (うさぎ)
2012-10-26 19:03:40
妻は毎回医師が変わることをあまり気にしてないようです。公立ではそれが当たり前だと思っているのでしょう。

日本では、出産以外でほとんど病院のお世話になったことがないので、違和感がないのだと思います。
変な医師についてしまうよりは、変わる方がよいという考えもありますね(笑)。
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Unknown (kaki)
2012-10-27 11:08:03
あるブログに便秘にオリゴ糖が良く効くと書いて有りました、在米13年負け犬の本音、です。3,4日に1回がオリゴ糖を使用してからは毎朝との事、ためしてみては?
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kakiさんへ (うさぎ)
2012-10-27 16:10:45
アドバイスありがとうございます。
さっそく調べてみたら、たくさんの種類の野菜や大豆、バナナなどにオリゴ糖が含まれていることがわかりました。野菜を食べることがいかに大切かが分かりますね。
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Unknown (トトロ)
2012-10-28 09:16:02
よい先生に巡り合えたようで何よりですね。
順調な回復をお祈りしています。
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トトロさんへ (うさぎ)
2012-10-29 00:25:07
毎回その老医師にあたるといいなと思うのですが、医師が毎回変わるのは残念です。
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