新古今和歌集の部屋

万葉集 吉野

吉野
1-27 淑き人のよしとよく見てよしと言ひし吉野よく見よ良き人よく見
1-36 八隅知し我が大王の聞しめす天の下に国はしも多にあれども山川の清き河内と御心を吉野の国の花散らふ秋津の野辺に宮柱太敷きませば百敷の大宮人は舟並めて朝川渡り舟競ひ夕河渡る。この川の絶ゆることなくこの山のいや高知らず水ぎらふ瀧の宮子は見れども飽かぬかも。
1-37 見れど飽かぬ吉野の川の常滑の絶ゆることなくまたかへり見む
1-38 八隅知し我が大王の神ながら神さびせすと吉野川激つ河内に高殿を高知りまして登り立ち国見を為せば畳はる青垣山山神の奉る御調と春辺は花挿頭持ち秋立てば黄葉挿頭せり逝き副う川の神も大御食に仕え奉ると上つ瀬に鵜川を立ち下つ瀬に小網刺し渡す。山川も寄りて奉れる神の御代かも。
1-52 八隅知し我ご大王の高照らす日の皇子荒たへの藤井が原に大御門始めたまひて埴安の堤の上に在り立たし見したまへば日本の青香具山は日の経の大御門に春山と繁さび立てり。畝傍のこの瑞山は日の緯の大御門に瑞山と山さびいます。耳高の青菅山は背面の大御門に宜しなへ神さび建てり。名ぐはし吉野の山は影面の大御門ゆ雲居にぞ遠く有りける。高知るや天の御蔭天知るや日の御影の水こそは常にあらめ。御井の清水。
2-119 吉野川行く瀬の早みしましくも淀むことなくありこせぬかも
3-315  み吉野の芳野の宮は山柄し貴くあらし。川柄し清けくあらし。天地と長く久しく万代に変わらずあらむ行幸の宮
3-375 吉野なる夏実の川の川淀に鴨そ鳴くなる山影にして
3-429 山の際ゆ出雲の子らは霧なれや吉野の山の嶺にたなびく
3-430 八雲さす出雲の子らが黒髪は吉野の川の沖になづさふ
6-915 千鳥泣くみ吉野川の川音のやむ時なしに思ほゆる君
6-916 あかねさす日並べなくに我が恋は吉野の川の霧に立ちつつ
6-920 足引きのみ山もさやに落ちたぎつ吉野の川は川の瀬の清きを見れば上辺には 千鳥しば鳴く下辺にはかはづ妻呼ぶ。ももしきの 大宮人もをちこちに 繁にしあれば見るごとにあやにともしみ玉葛絶ゆることなく万代にかくしもがもと天地の神をぞ祈る畏くあれども
6-923 皆人の命も我がもみよしのの滝の常磐の常ならぬかも
6-960 隼人の瀬戸の巌も鮎走る吉野の瀧になほしかずけり
6-1005 八隅知し我が大王の見し給ふ芳野の宮は山高み雲ぞたなびく川速み瀬の音ぞ清き神さびて見れば貴く宜しなへ見れば清けしこの山の尽きばのみこそこの川の絶えばのみこそももしきの大宮所止む時もあらめ
6-1006 神代より吉野の宮にあり通ひ高知らせるは山川をよみ
7-1104 音に聞き目にはいまだ見ぬ吉野川六田の淀を今日見つるかも
7-1105 音に聞き目にはいまだ見ぬ吉野川六田の淀を今日見つるかも
7-1134 吉野川巌と栢と常磐なす我れは通はむ万代までに
9-1720 馬並めてうち群れ越え来今日見つる吉野の川をいつかへり見む
9-1721 苦しくも暮れゆく日かも吉野川清き川原を見れど飽かなくに
9-1722 吉野川川波高み滝の浦を見ずかなりなむ恋しけまくに
9-1724 見まく欲り来しくもしるく吉野川音のさやけさ見るにともしく
9-1725 いにしへの賢しき人の遊びけむ吉野の川原見れど飽かぬかも
10-1868 かはづ鳴く吉野の川の滝の上の馬酔木の花ぞはしに置くなゆめ
13-3230 みてぐらを奈良より出でて水蓼穂積に至り鳥網張る坂手を過ぎ石走る神なび山に 朝宮に仕へ奉りて吉野へと入ります見ればいにしへ思ほゆ
13-3294 み雪降る吉野の岳に居る雲の外に見し子に恋ひわたるかも
16-3839 我が背子が犢鼻にするつぶれ石の吉野の山に氷魚ぞ下がれる【懸有、反して「さかれる」と云う】
18-4100 もののふの八十氏人も吉野川絶ゆることなく仕へつつ見む
18-4099 古を思ほすらしも吾ご大王吉野の宮をあり通ひ見す

美吉野
1-25 み吉野の耳我の嶺に時なくぞ雪は降りける。間なくぞ雨は降りける。その雪の時なきが如その雨の間なきが如隅もおちず念ひつつぞ来る。その山道を。
1-26 み吉野の耳我の山に時じくぞ雪は降るという。間なくぞ降りける。その雪の時じきが如その雨の間なきが如隅もおちず思ひつつぞ来る。その山道を。
1-74 み吉野の山の下風の寒けくにはたや今夜も我が独り寝む
2-113 み吉野の玉松が枝は愛しきかも君が御言を待ちて通はく
3-244 み吉野の三船の山に立つ雲の常にあらむと我が思はなくに 
3-313 み吉野の滝の白波知らねども語りし継げばいにしへ思ほゆ
3-353 み吉野の高城の山に白雲は行きはばかりてたなびけり見ゆ
6-907 瀧の上の三船の山に瑞枝さし繁に生ひたる栂の木のいや継ぎ継ぎに万代にかくし知らさむみ吉野の秋津の宮は神からか貴くあるらむ国からか見が欲しからむ山川を清みさやけみうべし神代ゆ定めけらしも
6-908 年のはにかくも見てしかみ吉野の清き河内のたぎつ白波
6-909 山高み白木綿花におちたぎつ瀧の河内は見れど飽かぬかも
6-910 神からか見が欲しからむみ吉野の滝の河内は見れど飽かぬかも 
6-911 み吉野の秋津の川の万代に絶ゆることなくまたかへり見む
6-912 泊瀬女の造る木綿花み吉野の滝の水沫に咲きにけらずや 
6-913 味凝りあやにともしく鳴る神の音のみ聞きしみ吉野の真木立つ山ゆ 見下ろせば川の瀬ごとに明け来れば 朝霧立ち夕さればかはづ鳴くなへ 紐解かぬ旅にしあれば我のみして清き川原を見らくし惜しも
6-921 万代に見とも飽かめやみ吉野のたぎつ河内の大宮所
6-922 皆人の命も我れもみ吉野の滝の常磐の常ならぬかも
6-924 み吉野の象山の際の木末には ここだもさわく鳥の声かも
6-926 八隅知し我ご大王はみ吉野の秋津の小野の野の上には跡見据ゑ置きてみ山には射目立て渡し朝猟に鹿猪踏み起し夕狩に鳥踏み立て馬並めて御狩ぞ立たす春の茂野に
7-1103 今しくは見めやと思ひしみ吉野の大川淀を今日見つるかも
7-1104 馬並めてみ吉野川を見まく欲りうち越え来てぞ瀧に遊びつる 
7-1120 み吉野の青根が岳の蘿むしろ誰れか織りけむ経緯なしに
7-1130 神さぶる磐根己凝敷み吉野し水分山を見れば悲しも
7-1131 皆人の恋ふるみよしの今日見ればうべも恋ひけり山川清み
10-2161 み吉野の岩もとさらず鳴くかはづうべも鳴きけり川をさやけみ
11-2837 み吉野の水隈が菅を編まなくに刈りのみ刈りて乱りてむとや
12-3065 み吉野の秋津の小野に刈る草の思ひ乱れて寝る夜しぞ多き
13-3232 斧取りて丹生の桧山の 木伐り来て筏に作り真楫貫き礒漕ぎ廻つつ島伝ひ見れども飽かずみ吉野の滝もとどろに落つる白波
13-3233 み吉野の瀧もとどろに落つる白波留まりにし妹に見せまく欲しき白波
13-3293 み吉野の 御金が岳に 間無くぞ 雨は降るといふ時じくぞ 雪は降るといふその雨の間なきがごとその雪の 時じきがごと間もおちず吾はぞ恋ふる妹が正香に
18-4098 高御座天の日嗣と天の下知らしめしける天皇の神の命の畏くも 始め給ひて貴くも定め給へる み吉野のこの大宮にあり通ひ見し給ふらし物部の八十伴の男も己が負へる己が名負ひて大王の任けのまにまに この川の絶ゆることなくこの山のいや継ぎ継ぎにかくしこそ仕へまつらめいや遠永に

六田
9-1723 かはず鳴く六田の川の川楊のねもころ見れど飽かぬ川かも

象山
1-70 倭には鳴きてか来らむ呼子鳥象の中山呼びぞ越ゆなる
3-316 昔見し象の小川を今見ればいよよさやけくなりにけるかも
3-332 吾が命も常にあらぬか昔見し象の小川を行きて見むため

三船山
3-242 滝の上の三船の山に居る雲の常にあらむと吾が思はなくに
3-243 大君は千年に座さむ白雲も三船の山に絶ゆる日あらめや
6-914 滝の上の三船の山は畏けど思ひ忘るる時も日もなし
9-1713 滝の上の三船の山ゆ秋津辺に来鳴き渡るは誰れ呼子鳥
10-1831 朝霧にしののに濡れて呼子鳥三船の山ゆ鳴き渡る見ゆ

菜摘川
9-1736 山高み白木綿花に落ちたぎつ夏身の川門見れど飽かぬかも
9-1737 大滝を過ぎて夏身に近づきて清き川瀬を見るがさやけさ

詞書等
1-39 山川も依りて仕ふる神ながらたぎつ河内に舟出せすかも
2-111 いにしへに恋ふる鳥かも弓絃葉の御井の上より鳴き渡り行く
6-909 山高み白木綿花におちたぎつ瀧の河内は見れど飽かぬかも
6-925 ぬばたまの夜の更けゆけば久木生ふる清き川原に千鳥しば鳴く
6-927 あしひきの山にも野にも御狩人さつ矢手挾み騒きてあり見ゆ
9-1714 落ちたぎち流るる水の岩に触れ淀める淀に月の影見ゆ
19-4224 朝霧のたなびく田居に鳴く雁を留め得むかも我が宿の萩
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