新古今和歌集の部屋

石清水八幡宮 御神楽略記


寶永貳年改之
御神樂略記

 初卯御神樂之次第
庭燎   作法
阿知女  作法
榊    本方  末方
閑韓神  本方  末方
早韓神  人長之舞
阿知女  作法
薦枕   本方  末方
秘曲   本方  末方
篠波   本方  末方
千歳   本方  末方
早歌   七首本方末方
得錢子  本方  末方
木綿作  本方  末方
朝藏   本方  末方
其駒   人長之舞
 社務中俗別當神主已下、神子を先立而、音律を調へ、神樂人悉ク御殿を神樂歌ニ而、一遍宮廻り、退出。人樂屋、御祝之獻有之。

夫神慮をすゝしめ奉る事は、神樂にしくハなしとこそ、そのかミの濫觴は、千早振天ノ磐戸(イワト)の前にして、兒屋根(コヤネ)太玉(フトダマ)のの[かカ]ミ祈りたまひし時、鈿女命(ウズメノミコト)茅纏(チマキ)の矛(ホコ)を持(モチ)て覆槽置(フミトドロカシ)し給ひしとき、日神(ヒノカミ)御心和(ミゴコロヤワ)らぎ玉ひ、岩戸を明給ひしより、常闇(トコヤミ)の雲ハ晴にき。人の世と成てハ、吾
息長足姫(ヲキナガタラシヒメ)三の韓(カラクニ)むけ給はんとて、筑紫の海に舞臺を設け、住吉・武内(タケウヂ)の舞かなでたまふにめでゝ、附曇礒童(アヅミノイソラ)みかどにまいり、ともに舞おさめ給ひ、よその國までなびきたてまつれるも、是神樂の徳ならずや。其宮(ソコノミヤ)そこの社、いづれの神がめでたまハぬハなけれども、大内・石清水の御神樂こそ、なべて世の元なるべし。されど世〃ふりもて行まゝ、二百とせ許にや。男山恒例のつとめハ絶にしを、星に霜に、月に日に、下官ふかく歎かずしもあらず。今も棘路の家/\にハ、その傳え失たまハず。内侍所の御神樂年ごとに行なはるめる。此道の舎人(トネリ)も、雲の上人よりその曲なむうけつぎ奉りぬ。中にも多太神安倍豐原四姓の其等(ソレガシラ)は、此山本の神奴(カンヅコ)なりしを、宮のつとめたえ、庄園おちゆくまゝ、今ハ九重に居をしめ侍るを、志(シ)しあふふたり三たり、誠を一つにして招キかたらひ、延寶四の年彌生午の日、臨時の祭の日を再び興す初として、終夜奏させぬ。たえたるをつぐこゝろざし、神や受給けん。御代(ミヨ)や聖(ヒジリ)、時やいたり剱。同じ六とせの春、吾妻なる大樹の御もとへまかりもうでたりし折しも、政ごち給ふ股肱の御かた/"\へ、しか/"\の事と申たりしかば、とミに、大臣(ヲトゞ)の君へ申させたまひ、祭祀の祿ともたまハり、年ごとの神わざとなりぬ。二月の初卯にハ、天(アメ)の下おだやかに、氏の御子のさかへ久しからん事を、千たびぬかづきかへり申し、霜月の御神樂ハ、鄙(ヒナ)も都もなべて高きいやしきをえらバず、次第不同にその名をしるし、方金一片よりをしるしとゞめ、千歳つきぬ神遊びの料とし、いざ朝倉にかへす/"\も祝(ホギ)たてまつりなば、文ンハ左に武ハ右に、たゞしくさかへまして、おのれ/\の禰宜(ネギ)ごとハ、乙女子(オトメゴ)が鈴の音よりもしるく、人長(ニンヂヤウ)の榊の枝に、八百萬代(ヤホヨロヅヨ)の契りかぎらじと唱ふべしや。敬(イヤ)まふべし之[ママ]や、愼シミて怠たるまじきと社。


参考文献
石清水八幡宮史料叢書 四 年中神事
(417~419ページ)
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