新古今和歌集の部屋

俳句集 春風

春 風
      俳句

東京一年目の新春(2002年)から、3年間。


 
善き春に獅子舞ひ踊るめでたさや

あいさつが
  まず先に来る初句会

穏やかな人にも風の小正月


春立つや隣のねこの
      鳴き始め


薄氷の中に光りや秋の泡


窓少し開けてみようか?
        春の風邪


岡山後楽園にて法華経を読みし時
うぐいす
経読鳥のひとひら散らし春進み   


昔の句を推敲して
北國の冷たい雨も春のいろ


思わず口笛を吹きたくなる様な春の岩手山を望みて
ふるさとの春の口笛岩手山

春の嵐の後の桜を見てこの一年を振り返り
しゅんらん
春嵐を過ごして望む花の色


不景気の中新入社員の一団を見て
逆風を乗り越えた顔新社員


深川の句会に出た後の懇親会にて
不動尊泣く子笑ふ子初つばめ

句の評を心に残しあさり飯

ショウガだけちょことつまみぬおぼろ月


晩春の暖かな日に
何もかも動かぬ春の名残かな


福岡の大濠公園で
腕を出し風を感じる初夏の池


半年たって終わらない業務に
梅雨明けを待つという日の
          暗さかな

春夏を過ごして秋の日暮かな


高野山に参詣して
れいざんのふどうのいげんおにのゆり
霊山の不動の威厳鬼の百合

空海の御像に止まりせみしぐれ

じゅのうみ
樹の海の高野に人を寄せ付けず


和歌山にて
きのかわ
紀ノ川の風鈴の中夏景色


鳩もまた日陰を探す大暑かな


彼岸花の赤はひとの血の色と聞き
悲しみを吸い取って赤
         曼珠沙華


 久しぶりに都会では聞こえない虫の音に
虫の音も忘れて過ごし野原道


 成田山を参詣して
我一人鰻ついばむ山の寺


 夜になり道に迷い
虫の音を頼りとしつつ迷い道


クスンデル都会ノ空モ秋ノ色


  秋四句
月の出を待つのも楽しにごり酒

しゅせんにん(李白)
酒仙人とれずにのこる
  盗れずに残る今日の月

黒雲の切れてしばしの月に逢ふ

頬当たる優しく厳しすすき道


 台風の後の華に
荒れた空過ごし後にも秋の華


 待ち合わせに間に合わぬ人に
傘をさすほどもなくてや
           後の月

 正月の帰省する東京駅にて
せわしさを
忙しさを左右に分けて帰省駅

 寒い朝に
りんとした
凛とした朝の寒さよ
        風が行く


寂しげな木の葉一枚小春かな


初雪のおもりをつけて濡れ木立


紅白が初耳となる年の暮れ

 小石川後楽園冬
枯れの烏の中に虹のいろ

冬枯れの池に揺れてるビルと月

何もかも枯れた芝生と巨大屋根

わびさびをこえてそびえる
わびさびを超えて聳える巨大屋根

円錐の衣をまとい雪を待つ


 雲仙普賢岳
ごろごろと春待つ山の土石痕


また空の汚れた町に戻る春


ジョバンニもイーハトーブも雪の中


 六ヶ所村にて
オリオンと風車の回る果ての町


心まで滲みこんでくる氷雨かな

うすものや
羅や輝きながら女学生


控えめな美女の笑みかな七分咲き


 三年ぶりの金沢にて
懐かしき街行く梅雨の中休み


 浅草寺鷺舞を
いやさかを寿ぎ舞うや鷺うらら


藤だなに風吹き渡り
       足を知る


  西行の歌に
死を願ふほどや櫻のちり始め


雨よ降れ!
 罪を許して梅雨の明け


 夏休み小田原まで俳諧し
夏を待ち過ごしたうちに虫の声


 松田
山寺に鳴り響きくる
        滝とせみ


一休み一汗拭いておくの院


   昇る月
富士に沈む日
   浜の秋


夏の日を思い出させる靴の砂


名月を灯台として迷い道


 鎌倉北条氏終焉の場所にて
一族の終焉の場所
        せみしずか


くろんぼが
    裸でかけてく帰り道


浦賀フェリー左右に分かれ
      夏と秋


秋田に帰って
凶作にシャッター上がらぬ店が
           増え


蛸やきをはふはふ食べる時期となり


 何もかも
変わってしまった
 後の月


ドーンと鳴ってザーと降って
         初しぐれ


トンテンと準備も整ふ酉の市


やめ時を
判らぬままに
初しぐれ


  日展に
記憶の中の色探す


新蕎麦の蕎麦湯をすする暖かさ


  初冬長野小海線を行く
  とことこと
 小海の路の
小春かな


  長野市にて
一茶忌に長野の月と歩く夜

一茶忌を兄と歩くや月の夜


 年賀状に
恥をかきまだ居りといふ初便り


八もあり五も有るといふ浦霞


年の瀬に地蔵通りもクリスチャン


枯れ池も落葉敷き詰め冬支度


 後楽園のドームの騒音に
後楽の隣騒がし年の暮

静けさの反対にをり雁眠る


 葬儀にて
善き人を送りて悲し時雨哉


 群馬出張に
我のみに吹かずすごせや
       空っ風


やっちゃ場の競り声寒く旧正月


 駒込くわんのん堂
観音の香に混じ入る梅のはな


 西新井大師にて
探梅の庭に響くや護摩法要


 コートを手に持ち
手荷物が一つ増えたり春うらら

  ※春麗らを一つの季語として


突風もはよ芽を出せと春野告げ


 健康診断で要再検といわれ
我の死といふ名の春の盛りかな

己が死を考える夜は春さかり


 湯島天神で
見納めと思ひて廻るむめ祭り

東風の跡水面に見ゆる花の紅


 上野の桜
人に酔ひさくらによひて夕日落つ

コメント一覧

jikan314
@atelier-kawasemi 翡翠様
俳句を先生に習ってみようとカルチャーセンターに通っていた頃の作です。
自信を持って提出したら、先生は、ホトトギス派でしたので、鶯と春と季重ねなので酷評されました。
実際に見たのはメジロでしたが、メジロじゃあ俳句になりませんもの。
香林坊の北国新聞では、カルチャースクールを開催しておりますので、習い事も良いかも?雪籠りばかりで、つまらないでしょうから。

ちょい前に、金沢1次時代の俳句も掲載しておりますので、笑覧頂ければ幸いです。
atelier-kawasemi
おはようございます(*^-^*)

鶯のことを経読鳥と言うのだと
歳時記で知りました。
経ってお経?と思って確認すると
法華経とのことΣ(・ω・ノ)ノ!

ほけきょう~
ホーホケキョウ

なるほどでした(*´艸`*)
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